マヌエラ・カラスコ。これほどの踊り手はそうそういない | フラメンコ舞踊家 森山みえのブログ

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舞台に対する想い、そして舞台に繋がる教室での日々のこと、私の日常をブログにつづります。

「どのバイラオール(ラ)が一番好き?」

と聞かれても、答えられない程、好きな人はたくさんいます。

 

ただ、マヌエラ・カラスコほどの存在感と華を持ったフラメンコの踊り手を、私は思いつかないかもしれません。

それほどにマヌエラ・カラスコという人には強烈な印象を私は持っています。

 

 

 

 

私はスペイン留学中は、セビージャのトリアーナ地区に住んでいたのもあり、マヌエラとは道ですれ違ったり、レストランに入ったらマヌエラがいた!なんてことが何度かありました。

 

フラメンコのアルティスタ(アーティスト)は、スペインに行くと普通にその辺を歩いているので、よく遭遇します。

でも、雑踏に紛れ込み、いや、雑踏でなくても、人っ子一人いない道ばたでも、その人が舞台ではすんごいオーラを放つような人とは思えない程、普通の人になってる人は多い。

ラファエル・カンパージョなんて、舞台では超かっこいいのに、カジェ(小道)で遭遇した時には、加藤茶が歩いてくると思ったらラファエルだったって感じでした。

 

 

 

そんな中でマヌエラは、太陽の降り注ぐ日中であっても、彼女にだけライトが当たっているかのような、ものすごく明るくて、大きくて、強い光を放っていました。

前からマヌエラが歩いてくるのをちょっと遠くで発見しただけで、私、うろたえました。

柱の陰に隠れて、そっと横から見ていたいと思いました。

真正面からすれ違うなんて、圧がすごすぎて、笑顔がひきつっちゃいます。

舞台の上ではソレア(孤独)のマヌエラ・カラスコですが、道端で遭遇したマヌエラは全然気難しい感じじゃなく、むしろ、

「あれ、この人、もしかしたら、明るい人なのかも」

って思わせるような陽気な笑顔で、すれ違い様に

「オラー!」

と挨拶をしてくれる、気さくな感じの方のでした。

 

セビージャで道を歩いているロングヘアーの日本人なんて、フラメンコの踊りを習いに来てる子だって容易に想像できるので、マヌエラに限らず、スペインのフラメンコ・アルティスタたちは気さくに挨拶してくれたりします。

その辺は日本とは文化の違いがあるように感じます。

マヌエラの場合、マヌエラを舞台以外で見れただけでもお宝経験なのに、視線が合って、挨拶してもらえたなんて、もう、私、くらくらしちゃいました。

 

素晴らしいアルティスタだらけのスペインですが、それ程までに、マヌエラは別格でした。

 

もちろん、彼女もお年を召してきたので、今となっては若い子のような身体能力はないかとは思います。

でも、フラメンコは身体能力ありきで勝負するスポーツの競技とは違い、老いも若きも、それぞれの持ち味を生かして歌を、音楽を、そして自分を表現するアルテ(芸術)。

身体が動かなくなったとしても、動かないなりの表現はあるし、動かなくなったところで衰えない存在感、華、オーラを見せる踊りでもある。

 

 

私はマヌエラの舞台は、それはそれは何度も見ました。

日本でも、へレスでも、セビージャでも。

 

一番印象に残っているのはセビージャでの公演。

 

公演の始まる前、劇場近くのバルで時間をつぶしてたら、話し掛けてきたおっちゃんがいました。

話を聞いてたら、日本に何度も行ったことがあるとのこと。

職業は何をしてるのかと聞いたら、ギタリストだとのこと。

 

そう。

その人は、マヌエラの伴奏をしていた彼女の旦那さんであり、ギタリストでした。

旦那さんは最近、お亡くなりになられました。

 

マヌエラの踊りが素晴らしかったのは、旦那さんという信頼できる人に音楽を任せ、安心して踊れたからじゃないかと私は思ってます。

 

ほら、どんなに綺麗ごとを言っても、男性って、なんのかんの言って、女を舐めたところがあるじゃない。

それは仕方ない。

私たちは男性よりも身体が小さく、声も高く、力も弱い。

現代の理屈ではなく、太古から続く生き物としての本能から、どうしても男性は女性を庇護する対象と見ているし、それは言い方を変えれば、弱いものと舐めている。

仕方ない。

こればかりは仕方ない。

でも、男社会には上下関係があって、強い男の大事な人に対しては、相手が女性であっても舐めた真似をしないっていう暗黙の了解がある。

 

ずらりと黒い男たちを従え、若い頃からマヌエラが女王として振る舞うことができたのは、後ろに彼女を守る旦那さんという存在があったからだと私は思う。

マヌエラの旦那さんがその黒い男たちに圧をかけてくれてたお蔭で、マヌエラは彼らの手綱を自分で引くという大変なことに神経を使わないで済み、自分の踊りに集中できた。

 

エバ・ジェルバブエナの旦那さんも、イサベル・バジョンの旦那さんもギタリスト。

確か、メルセデス・ルイスもそうだったかな。

マリア・デル・マール・モレノの彼氏はカンテさんで、弟がギタリスト。

マチルデ・コラルの旦那さんもカンテさん。

ピラール・オガジャやアリシア・マルケスの旦那さんはバイラオール。

旦那さんもフラメンコの人という女性のバイラオールは、結構多い。

彼女たちは旦那さんの力を借りて、自分の踊りを作っているように思う。

それが直接的でなかったとしても、間接的であったとしても。

旦那さんは存在するだけでも、彼女たちの踊りに良い影響を与えている。

 

マヌエラの踊りは、マヌエラだけの踊りじゃない。

旦那さんの力は大きかった筈。

 

 

その人が今はいない…。

 

ああ、なんだか、切ない。

 

マヌエラのソレアを、また別の見方で見ちゃうよ。

泣けてくる😿

 

 

で、何の話だったけ。

 

そうだ。

今日の昼のクラスはソレアを課題としているのですが、

「その姿勢、百歩譲ってタラントならありだけど、ソレアじゃダメ!」

と教える為、手っ取り早くマヌエラの動画を見せました。

 

百聞は一見に如かず。

 

ソレアと言えば、マヌエラ・カラスコです。

絶品ソレア。

 

女王の舞。

 

 

 

目に力があるところ、

立っているだけで威厳のあるところ、

そして、存在するだけで空気を変える華のあるところ、

マヌエラ・カラスコは特別な人。


技術が優れてる人は山ほどいるけど、マヌエラみたいな人はそうそういない。



 

 

 

 

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水曜日15:00-16:30(6月新規開講予定)

 

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水曜日 20:00-21:30

 

料金:12,000円/月(4回)

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