角田 光代
空中庭園

小泉今日子の主演で映画化された作品の原作小説。

父(タカシ)・母(絵里子)・長女(マナ)・長男(コウ)の4人家族の京橋家。その京橋家においては「何事も包み隠さず」が家族のルール。恥ずかしいから隠すのだと。自分たちには隠さなければならない恥ずかしい事など無いと。しかし実は家族それぞれに隠し事があり、そのルールを作った絵里子にもまた、家族に言えない秘密があった。

4人家族と母方の祖母、父の浮気相手にして長男の家庭教師である女。その6人それぞれの視点により各1章が成り立っているので全6章。時間軸は(おそらく)前後していないので、視点が切り替わってもあまり気にする事なくスムーズに読み進めることが出来ました。視点が変わるからこそ明らかになっていく空虚なまでの家族像。

すべてがリアルでは無いけれど、現代の家族っていうものと重なる部分は多いと思います。映画化されたものでは原作から時間軸を変えているのでエピソードの順番が前後してくるけれど、こういう形で書かれていたものをあんな風に映画にしたって事に感心してしまいました。原作の描く世界観も嫌いじゃないけれど、過激な部分がありながらも最後に救いを感じさせる映画版の方が個人的には好きです。

映画だけでは分からない、ある人物のある場面での心理なんかが、視点を変えながら書かれている事により分かってくるのでなかなか面白かったです。