SPIRIT

「SPIRIT」

ジェット・リーがマーシャル・アーツで出演する最後の映画となるこの作品は、自らが影響を受けたというマーシャル・アーツの伝説的な人物であるフォ・ユァンジアの半生を描いたアクション巨編。舞台は世界初の異種格闘技戦においてフォ(ジェット・リー)が微笑みさえ浮かべながら外国の格闘家を相手に3連勝するところから始まる。そして時はフォの幼少期へと遡り、彼がそこに至るまでの過程が明らかになってゆく。

最大の見せ場は再び異種格闘技戦の会場に戻ってからの4戦目にあると思うけれど、そこまでの伏線である中盤も(あまり面白味や新鮮さは無いけれど)重要なシーンだと思います。特にすべてを失ってからのフォが辿り着く山村でのシーンは景色も美しく、そこで触れ合う人々の心もまた美しい。

ラストにあるのは、恥ずべき日本と誇るべき日本。フォを通じて、中国の自浄作用的なものを映しながらも、日本人格闘家である田中(中村獅童)を通じて日本の自浄作用的なものも映しているように感じた。政治的な意味合いを持って撮られた作品では無いのかも知れないけれど、本当の強さとは相手を敬うことなのだと、それが出来る両国なのだと訴えかけているようにも感じました。

エンディングで流れる曲は日本版ではHIGH and MIGHTY COLORの曲になっているけれど、オリジナル版ではジェイ・チョウの曲が使われているそうで。この曲はジェット・リーがジェイ・チョウに依頼して、ジェット・リーのファンであるジェイ・チョウが快く引き受けて作曲された曲だそうで、それが差し替えられたことにより一部の人々の間では話題になっているようです。ハイカラの曲も個人的には悪くなかったけれど、ジェイ・チョウの曲を聴いたらハイカラの曲はイメージと違うと思われても仕方ないと思いました。

特別良い作品というわけではないけれど、悪くないと思います。

Official HP
http://www.spirit-movie.net/