

「好きだ、」
ヨースケとユウという1組の男女を17歳の時と34歳の時に分けて“言いたいのに言えなかった想い”を映像化した作品。2003年9月に撮られた17歳設定ではユウ(宮崎あおい(崎の字は旧字体))視点で物語が進み、ヨースケ役には瑛太。その17年後にあたる34歳設定は2004年1月に撮られ、こちらは一転してヨースケ(西島秀俊)視点で物語が進み、ユウ役は永作博美が演じています。「NANA」で一気に知名度を全国区にした宮崎あおいや、「サマータイムマシン・ブルース」やテレビ・ドラマで活躍する瑛太が2003年当時にキャスティングされていたこともスゴイけれど、個人的には日本の俳優の中で特に注目している西島秀俊と加瀬亮の2人が共演していることの方が興味深いです。また宮崎あおいはNHK連続テレビ小説「純情きらり」の主役に決まり、共演者に西島秀俊がいるという点でも、この作品のキャスティングが時代を先取りしていたものだったのだと感じることが出来ます。
石川寛監督の手法は、ユウとヨースケに別々のキーワードを渡し“最終的な着地点はここに辿り着くはず”という監督なりのビジョンだけを持って、セリフや演技は基本的にアドリブとのこと。監督の描いた着地点になるまで何時間でも同じシーンを撮り続けるという根気の要る作業みたいですが、その甲斐あってリアリティのある映像が撮れていると思います。と言うか、リアリティじゃなくてリアル。相手がどう言ってくるか分からないからリアルな間があるし、息遣いなんかも演技だけでは表現できないものが撮れているように感じました。まあそれも、一流の役者さん達がやっているから形になるんでしょうね。手法自体は某局でやっていた「未来日記」と同じなんじゃないかなって思うし、その映画版は映画としての質は低かったようですし。(実際に観てないので何とも言えない部分ではあるのと、「未来日記」はおそらく撮り直しのない1テイクばかりだろうから比較するのが間違ってるかも)
観るべきは17歳の方。場所は河原、水門、ユウの家、学校くらいしか出てこないし、登場人物も主にユウ、ヨースケ、ユウの姉の3人がほとんど。ギターを弾くヨースケがいて、それを口ずさむユウ、同じく口ずさむユウの姉。書き出してしまえばそれだけなのに、それらが繰り返される中で状況は変わり、心境も変わり、その変化に合わせたかのような空模様が度々映し出される。そんな中でユウの切なさが手に取るように解るリアルな映像。自分の事じゃないのに自分でも驚くほどドキドキしながら観ていました。
対する17年後、34歳。すっかり大人となった彼らの行動する時間帯は夜がメインとなり、スクリーンには暗い映像が多くなる。17年前をそれぞれの主観で編集された映像を観た上で演じているだけあって、本当に彼らが17年の歳月を過ごしてきたかのようにも映る。そんなこだわりは感じるけれど、34歳の設定はなぜかシナリオが素直に受け入れられない。そこが自分にとってこの作品全体を気に入ることの出来ないポイント。
テレビ・ドラマじゃもたないような間があり、それでいて映画らしくないほどリアル。なかなか面白い作品です。まだまだ先の話だろうけれど、DVD化されたらまた観たい。その前に地元で上映されたら観に行くかも。
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