この胸いっぱいの愛を

「この胸いっぱいの愛を」

梶尾真治の「クロノス・ジョウンターの伝説」を「黄泉がえり」のスタッフが映画化した作品。テーマは“未来からの黄泉がえり”らしいです。北九州は門司に向かう飛行機に乗っていたはずのヒロこと鈴谷比呂志(伊藤英明)は気付くと見慣れた風景の中で10歳の自分(富岡涼)に遭遇する。どうやら20年前にタイムスリップしてしまったらしい。そこでは病死したはずの青木和美(ミムラ)の生きている姿があった。

20年前にタイムスリップした4人の再生の物語。もう一度やり直せるなら、何をするか。

メインになっているのはヒロと和美のラブ・ストーリー。大好きだった和美姉ちゃんに生きていてもらいたいという願いを叶えるべく奔走する。でも個人的にはこのメインのシナリオがあまり心に響きませんでした。子役の富岡涼の熱演は素晴らしいと思いましたけどね。

盲目の角田朋恵(倍賞千恵子)の話はあっさりしすぎな代わりに、臼井光男(宮藤官九郎)の説明がくどい。犬がどういう状況か説明させるんじゃなくて、そこは映像で撮らなきゃダメでしょ。

臼井と“花を愛する男”(中村勘三郎)のシナリオはあっさりしているけれど、これはこれでアリだと思いました。

一番感動したのは、若いヤクザの布川輝良(勝地涼)とその母親である布川靖代(臼田あさ美)のシナリオ。人生が後悔の連続である輝良が靖代に対して言う言葉に涙が溢れました。

感動できる場面は幾つかあったものの、作品自体は細かい所まで配慮が行き届いていなくて、観ていて若干興醒めしてしまう部分がありました。たぶん、気にならない人は全然気にならないんでしょうけれど。SFなんだから“そういうもの”と思って観なきゃいけないのかも知れないけれど、もうちょっと矛盾を減らすことは出来たはず。

柴咲コウが歌うエンディング・テーマが感動的な曲なので、この作品にとても合っていると思いました。本編中に出てくるオーケストラとのバランスから考えても、雰囲気は合ってると思うし。

期待していたほどでは無いにせよ、悪い作品では無いと思います。

Official HP
http://www.kono-ai.com/

河丸 慎, 「この胸いっぱいの愛を」製作委員会, 梶尾 真治(「クロノス・ジョウンターの伝説」朝日ソノラマ刊)
この胸いっぱいの愛を

梶尾 真治
新編クロノス・ジョウンターの伝説

ビデオメーカー
この胸いっぱいの愛を -未来からの“黄泉がえり”-

東宝
黄泉がえり

東宝
黄泉がえり スタンダード・エディション

柴咲コウ, 市川淳, 弦一徹, 華原大輔, REO, 井筒日美, Jin Nakamura
Sweet Mom