
「ミリオンダラー・ベイビー」
実の娘に絶縁された初老のボクシング・トレーナーと、家族の愛に恵まれない女性ボクサーの間に育まれる親子のような絆の物語。
ネタバレありで。
なぜマギー(ヒラリー・スワンク)はフランキー(クリント・イーストウッド)に弟子入りを志願したのか。それはフランキーが名トレーナーだから。それ程のトレーナーの元に弟子入りしておきながらマギーはフランキーの言うことを聞かない。そんなマギーに対してフランキーはどうして娘に対するような愛情を持つことが出来たのか。実の娘に絶縁されているからその代わりなのか。そうだとしたら、マギーは実の娘と似たような感じの女性なのか。実の娘が作品中では登場してこないのでどういう人物像なのかは不明なまま。
観ていてもマギーに魅力を感じない。強引に弟子入りしておきながら、トレーナーの言う事は都合のいい時だけしか聞かないなんて、ただの身勝手な女にしか映らない。素直で、不器用にしか生きられない女性という捉え方が正解なのでしょうけれどね。そうやって彼女に魅力を感じることが出来る人はこの作品の良さを理解出来る人なのだと思います。
物語の後半、マギーがベッド生活になってから。人工呼吸器無しでは生きられなくなった人が、声を出して喋ることは出来てしまう。自分が無知なだけで、もしかしたらそういうものなのかも知れませんね。死を望む姿は「海を飛ぶ夢」同様に尊厳死がテーマなのか。アドレナリンを大量に投与して殺すのなら人工呼吸器を止める必要は無かったように思う。その後ジムに戻ることの無かったフランキーはどこへ行ったのか。その罪の意識から自殺、あるいは警察に自首でしょうか。ここをうやむやにするよりはきちんと描くべきだったのではないでしょうか。
ボクシングの試合のシーンは(ちょっと多すぎる気がするけれど)迫力があるし、主役級の人たちの演技もさすがに上手いとは思います。でも、全体的に演出がわざとらしすぎて自然じゃない。そこはハリウッド映画らしいと言えばそれまでなのですが。
自分としてはテーマが重いだけで感動することは無く、はっきり言って退屈な作品でした。