とある人気のない田んぼ道。
怯えるように何者かから逃げている女子高生の姿が。
しかし彼女はつまづき道に倒れ転げてしまう。
何とか起きあがろう顔を上げると辺りに白いもやが流れ込み、彼女の周りに立ち込めるとそのもやの中をみた女子高生は目や鼻から血を噴き出し始める。
暗闇の中で女子高生の断末魔の声が響いた……

それからしばらくしたある日。
女子大生の千里は再婚した母の良子とその相手浩平、そして彼の連れ子である遥と共にキャンプへとやってきていた。
再婚し家族の和を深めようと浩平が企画したものであったが、再婚を反対していた千里は良子の頼みで嫌々ながらきていたに過ぎなかった。

そんな中、浩平たちは山奥のキャンプ場を目指すが道に迷ってしまい、途中の村で見かけた村人に道を訊ねる。しかし村人はそんな浩平たちを突き放すように『今すぐ帰った方がいい』と答えるだけであった。

結局キャンプ場は見つからず、一行は仕方なく水辺にある空き地に車を停め、キャンピングの準備を進める。
そんな様子をひとりふてくされて見ている千里。その時近くを白い服を着た女性が一瞬通りすぎる。
気づいた千里は追いかけてみるが、その姿は忽然と消えていた。

夜になり、家族一緒のテントを嫌う千里はひとり車内で泊まることにする。
ぎすぎすした家族間の仲を何とかしたい良子は避けるように離れて休む千里を心配し、夜中にテントを出て様子を伺いにやってくる。
すると彼女の近くを白い服を着た女性が通り、気づいた良子はそれを追いかけてついていく。

すると辺りに白いもやが立ち込め始め、その白い服の女の姿を近くで凝視してしまった良子は目から血を流し全身の骨を折られて殺されてしまう。

翌朝。
良子の姿が見えないことに気づいた浩平と遥は彼女を探しに出ると、あぜ道で無残な死体となっている良子を発見する。
電波も届かない中で、村人に助けを求めた浩平たちは千里を残し、警察を呼ぶため徒歩で村の外を目指していく。

一方、良子の死体を預かった村人たちの目はなぜかみな潰れており、見えなくなっていた。
良子の亡骸の側で佇む千里は村人たちの目がみんな潰れている理由を尋ねる。

かつてこの村に異形の能力を持つ女性『とよ子』がいたが、その特異な能力を恐れた村人たちが彼女を拷問。
その仕打ちにとよ子は自殺し、その恨みによって彼女は怨霊と化し、以来水辺に現れる彼女を見たものは死んでしまうという。
そして村人たちはその姿から彼女を『クネクネ』と呼び、みな彼女にとり殺されないように目を潰してしまったのだという。

さらに村人は千里に『クネクネ』に殺されたものもまた『クネクネ』として甦り、その餌食を探すのだという。

にわかに信じがたい話の中で死んでいるはずの良子が動きだし、千里に襲いかかろうとする。
間一髪、クネクネと化した良子の首を村人が切断し、千里は助かるのだった。

その頃、浩平と遥は川辺で一時休憩をとっていた。
しかしにわかに白いもやが立ち込め始めると浩平は遠くに白い服を着た女の姿を見つける。
近くにいた遥も確かめようとするが、浩平はその姿を見せまいと遥の目を隠すのだが、凝視してしまった浩平はやがて目から血を噴き出しかと思うと首をネジ折られ、さらには全身の骨を折られ、遥の目を隠したまま全身を捻られ絶命する。

父の凄惨な死に立ちすくむなかで、死んだはずの浩平がクネクネとして甦り、遥に襲いかかろうとする。
必死で逃げる遥だが、執拗に追いかける浩平に遂に追い詰められる遥。
その時浩平は突き飛ばされ、千里が遥を助けにやってくる。

浩平をふりきろうと逃げる二人の後ろには白い服を着たとよ子の姿が…
果たして二人は最凶の怨霊であるクネクネたちから生き残ることはできるのか…

令和の怪談より生まれた都市伝説キャラクター『クネクネ』をモチーフにしたホラー作品。

昔から日本ならではの都市伝説として語り継がれている怪物や妖怪たちは後をたたない。
『口裂け女』や『人面犬』や『ひきこさん』などその怪談伝承によってキャラ付けが加わり、一大ホラーキャラとして現在も映画化されたり、創作ホラーとして活用されているものも少なくない。

本作における『クネクネ』は元は2ちゃんねるで作られた創作怪談であったが、そのキャラや話の完成度の高さからキャラが独り立ちして、都市伝説の妖怪としていつの間にかフィクションからノンフィクションへとまことしやかに語り継がれるようになった存在である。

まず本作を語る上で本来の『クネクネ』の特徴であるが、
・水田やあぜ道などの水辺に出現する
・姿は白いものや黒いものなどあり、常にクネクネした動きで佇んでいる
・遠くから見ている分は大丈夫だが、近づいたりしてその正体が分かるととたんに見たものは気が触れて廃人となる
このエピソードをもとにして作られたのだが、その仕上がりは元ネタの恐怖とは全く違うものとなってしまった。

一応は水辺に現れるというのは活かしてはいるものの、実は肝心の妖怪はクネクネをしていない(笑)
襲われて殺されるとその死体が捻られてくねっているようには見えるのだが、本編の元凶はくねっておらず、まるで貞子の劣化リニューアルみたいな感じとなっている。

さらに変な追加要素としてクネクネに殺されたものも『クネクネ』になってしまい、、人を襲い始めるという『ゾンビ』要素が加わっている。
これだけ見るとかなり面白そうな要素に見えるが、結果としてとんでもなく中途半端で退屈な仕上がりとなってしまっている。

クネクネ自体はキャラ名が『とよ子』でその怨霊化するプロセスまでまんま貞子であり、オリジナリティの薄さが気になる。
百歩譲って正体が重なっていたとしても、展開や佇まいまでも貞子のまんまというのがいただけないだろう。

この突っ込みどころ満載な内容ながら退屈な展開といいところなしな感じだが、唯一評価するとすれば、アクティブタイムの短さだろうか。
時間的には50分も満たないので間延びして飽きてくる前に終わるのが救いである。

最後は雨が降って、クネクネが村全域に出現する条件が揃ってしまい、主人公たちが絶望に打ちひしがられるというバッドエンド的な空気感を残して終わる。
この後味の悪さも続編につなげていこうとさら
欲張る感じも見事に空振りではあるが。

本来のクネクネの怖さではなく、エンタメ用にアレンジされてしまって、結果としてはふるわない感じとなってはいるが、都市伝説系ホラーとしてひょっとしたら口裂け女やテケテケのようにシリーズや都市伝説キャラ対決ものになることで化ける可能性も無きにしもあらずなので、ジャパニーズホラー好き、都市伝説ホラー好きは観ておいてもいいだろう


残酷度…★★★


評価…★★
(素人同然の主役に貞子のまねとなる怨霊。何より全然クネクネしないのがもうアウトですわな(^^;)