ハイスクールに通うティナは最近ある悪夢に悩まされていた。
それはケロイド状に焼けただれた顔に赤と緑のセーターを着、鋭いナイフのような爪をつけた男に殺されかかる夢であった。

ティナがみていた同じような悪夢を実は友人のナンシーらもみていることが判明する。
そのシンクロ性に恐怖を覚え怯えるティナは自身が見ている夢を解決してもらおうとナンシーや彼女の恋人グレンを呼び、自分の部屋に一緒に泊まってもらう。

不安に駆られる彼女はさらに恋人ロッドもよぶ。
恋人との一時にふと悪夢を忘れていたティナはロッドとベッドを共にするが、その夜彼女は再びあの男の悪夢をみてしまい、その男によってとなりに眠るロッドの目の前で彼女は惨殺される。

彼女の遺体をみたナンシーらによって呼ばれた警察は殺人犯としてロッドが疑うのだが、彼女が死んだ翌日から通報したナンシーの夢にもあの男が出現し始める。

やがてロッドは警察に捕まってしまう。
しかしナンシーはその間も死んだティナの悪夢に苛まれ、男から刺傷まで負ってしまう。

事態を重くみた母親マージは医療科学で謎を探ろうとするもナンシーの悪夢の原因解明には結びつくことはなかった。
しかし夢の中で犯人から奪ったという帽子を見てマージは過去の忌まわしき記憶を思いだし言葉を失う。

数日後ナンシーの悪夢内で収監中のロッドが殺され、実際に拘置されているロッドが死体で見つかる。
標的となっているナンシーは様子のおかしいマージを問い詰めると、自分の夢に現れる殺人鬼を知っていた。

彼の名はフレディ・クルーガーといい子供ばかり20人を殺害した凶悪な殺人鬼だったが、手違いで罪に問われず、犠牲者となった子供たち親である当時の街の住人達がボイラー室におい詰めて彼を焼き殺したのはずだった。

ナンシーは覚悟を決めグレンと協力しフレディと戦おうとするが、そのグレンもフレディによって大量の血しぶきと共に八つ裂きの死体となって発見される。

もはや誰の助けもない中ナンシーは一人フレディと戦うこととなるのだが…

夢で殺されると本当に死んでしまうという斬新なアイデアをもとに製作された人気スラッシャーホラーシリーズ第1弾。

空前のスラッシャーホラーブームの最中、とある都市伝説をもとに監督のウェス・クレイブンが作り上げた本作。夢の中で殺される夢を見ると現実でも死んでしまうという話はアメリカでは結構有名な都市伝説話のひとつとされているが、この話に独自のキャラクターを持ってきたことにより、ホラーブームの潮流にものって希代の大ヒットとなった。
  
こうして生まれた本作の殺人鬼であるフレディ・クルーガーは後に『13日の金曜日』シリーズのジェイソンや『ハロウィン』シリーズのブギーマンことマイケル・マイヤーズに並ぶ人気キャラクターとなる。

このフレディはシリーズを追うごとに自身のキャラはブラックジョークを交えながら趣向を凝らした殺害をするギャグめいたものとなっていくが、第1弾である本編はジョークもなく純粋に怖い狂気の殺人鬼の存在として描かれている。

ただ不気味な怪物への変身やその神出鬼没ぶり、そして人々を生理的に不快にする演出は本作からたっぷり取り入れられている。
トレードマークの金属を爪で引っ掻く音はやはり何度聞いても背筋が寒い。

殺害シーンはこの時期スプラッターホラーが全盛のころにしてはさほど残酷描写が激しくはなく、トレードマークの鉄の爪での殺害シーンも少なめ。むしろその殺害シーンまでの自虐的シーンや精神的に追い詰める恐怖シーンに重きをおいていてティナの口からムカデが這い出るなど生理的嫌悪感を催すシーンは多め。こういった心理的恐怖描写が苦手な方はショックは強いかも。

その恐怖を高めているヒロインのナンシー役ヘザー・ランゲンガンプは本作をきっかけに日本でもブレイクし、しばらく映画雑誌の好きな女優トップ10にランクインしていた。本作では90年代のキュートな魅力と共にバスルームではセミヌードを披露し、あの有名な泡風呂のなかからの鉄の爪出現シーンは彼女の熱演あってこそ。
この他にもフレディの変態的な凌辱シーンにも積極的に挑んでいる

なお余談ではあるがナンシーの父親役に『燃えよドラゴン』のジョン・サクソンが、そしてナンシーの恋人グレン役に後にトップのハリウッドスターとなるジョニー・デップが本作で俳優デビューしている。

ジョニー・デップは豪快に血飛沫をあげて殺されており、下積み時代の彼を見ることができる貴重なシーンである。
『パイレーツオブカリビアン』の彼と見比べては如何だろうか?

ブラックジョークの濃いシリーズ続編とは違い、きちんと『怖い』フレディが味わえる点では本作もまた後世に残るスラッシャーホラーの代表格といっていい作品だろう。

残酷度…★★★

評価…★★★★
(まだお笑い殺人鬼ではなかったシリアスなフレディ。しっかり恐怖描写は残ってます)








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