「若いうちにいろいろ経験しなさい。父さんも頑張るけぇのぉ。」



今日、父と電話して言われたこと。



この言葉にはすごく深い意味を感じる。

「若いうちにいろいろ経験しなさい。」はそのままの意味だ。若いんだから失敗しても構わない。むしろ失敗して学べと言っているのだろう。





「父さんも頑張るけぇのぉ。」



なぜかすごく声が震えていたような気がした。

いつもは「そんなもん簡単じゃあ。」とか「そんなんもできんのんかぁ、父さんならすぐ調べるわぁ。」とかすごく上から目線の父。



今日の電話ではやけに目線が低い印象だった。



父は今日、大阪で3D図面関係のセミナーに参加していたらしい。
そこでは父にとってすごく大切な何かを得られたようだ。わたしにはそれは理解できないが、父が喜んでいる様子は声が物語っていた。


普段はこんなにテンションが高くない頑固な父。

久しく聞いていなかった喜びの声に、わたしはなんだか救われた。


事業に失敗し多額の借金を抱える父に対して、親戚はすごく冷たい視線を送る、そんな日常。
わたしはそんな父を見るのが嫌だった。

父を責める自分と失敗してもなお夢見る父を尊敬し応援する自分とで戦っていた。


夢見る父を応援する自分が勝ったとき、
上京することを決意した。


そして今日、喜ぶ父の声を聞いて、
わたしはもっと今の自分より成長したいと思えた。


父が嬉しそうに、わたしに今の気持ちを伝えようとしてくれていることに感動した。


小さい頃、父と自転車の練習をしていたことを思い出した。
あの頃の父はまだ頑固さはなかったと思う。
事業に失敗し始めたくらいからそうなった。


もしかすると、父にもまだ幼い部分があったのかもしれない。





「父さんも頑張るけぇのぉ。」




これから父もわたしも変わっていくのだろう…



by いたの