◆過去4回の陽明学ブームが起きていたこと、なかでも2回目の江戸中期、4回目の明治後期から昭和初期にかけてのブームについては、全く知られてきませんでした。

 今月30日(日)、都内・品川の「きゅりあん」で、「日本陽明学」をテーマとする講演と、「江戸の生き方に学ぶ」と題して、文芸評論家をお迎えしての対談を開催させて頂くことが、急遽決まりました。
 詳細はアップさせて頂いたチラシに記してありますが、会場の都合で、当日は、20名余の席数しか用意できません。その代わりにオンラインでの視聴が可能です。

 日本陽明学については、戦前までは盛んに研究もされ、講演会も開催されていましたが、戦後は、ほとんどゼロと言って過言ではないほど、全く知られていません。

 一つその証を挙げておきます。
 江戸中期頃から誰からともなく「近江聖人」と称されるようになった中江藤樹(1608~48)を開祖とする「日本陽明学」は、明代中期の思想家で政治家の王陽明の教えである陽明学を神道に接ぎ木したものです。 
 この「日本陽明学」、実は中江藤樹の弟子たちによる江戸前期のブームを第一回目とすれば、その後江戸中期、幕末・明治維新期、そして明治後期から昭和初期にかけての、合計4回の陽明学ブームがありました。
 そういう意味で、本当は、「日本陽明学」を抜きに、日本の近現代史は語れないはずなのです。また、日本にあって、中国や韓国にないものこそが、陽明学なのです。それ故、中国や韓国の人々の道義心(他人を思いやる気持ち)が日本人より圧倒的に低レベルなのです。

 話を戻します。
 3回目の幕末・明治維新期の陽明学ブームについては、比較的によく知られていますが、未だ、その事実を詳説した一般書は、実は、拙著『志士の流儀』(教育評論社)ただ一冊という状況です。
 過去4回の陽明学ブームが起きていたこと、なかでも2回目の江戸中期、4回目の明治後期から昭和初期にかけてのブームについては、全く知られてきませんでした。
 2回目の江戸中期は、1回目のブームとひとくくりにして考えても良いかもしれませんが、江戸中期のときには、二見直養(ふたみ・なおかい)(1657~1733)という大商人が江戸に登場、日本各地にその影響力を発揮したのですが、全くと言っていいほど、知られていません。
 映画『殿、利息でござる!』の穀田屋十三郎(1720~77)らも、日本陽明学を奉じた人で、この江戸中期の人です。
 ちなみに、つい昨年末に故人となられた九州大学名誉教授の故・中野三敏氏は、江戸中期の江戸文化を高く評価した方として知られているのですが、江戸文化の根底には陽明学があるといった趣旨のことも語っておられたのです。
 そして、問題は4回目の陽明学ブームにあります。

◆4回目の陽明学ブーム、実は過去3度のブームを超える、我が国最大規模の全国規模のブームだった。

 4回目の陽明学ブーム、実は、過去3度のブームを超える、我が国最大規模の全国規模のブームだったのです。この事実は、東洋大学名誉教授・吉田公平先生が説き続けて来られたことなのです。私はただ、吉田公平先生の説をなぞっているにすぎません。
 4度目の陽明学ブームについては、昨年刊行させて頂いた拙著『渋沢栄一と陽明学』(ワニプラス)にも触れさせて頂きました。渋沢栄一は、「儒商」として、4度目の陽明学ブームの渦中で、儒学の復興に努めたのです。
 であるにもかかわらず、昭和の陽明学者として名高い安岡正篤(まさひろ)翁が亡くなられてからというもの、我が国では、特に政財界では、儒学、陽明学を学ぶ人が減少する一方なのです。
 私は、ある時から、在野の学術者になることを断念、思想を血肉にする、つまり実践体得に努める道を選んで今日に至っています。その成果の一つと言っていいでしょう、小事大事を区別するという悪癖からも解放されつつあります。というわけで、今回の講演では、私の実体験も交えた話をさせて頂きます。

◆第2部での文芸評論家の小川榮太郎先生との対談は、初の試みです。

 第2部での文芸評論家の小川榮太郎先生との対談は、初の試みです。小川先生には、大変有難いことに、昨年、『新装版・真説「陽明学」入門』と『渋沢栄一と陽明学』(いずれもワニプラス)の両著書に、解説文を寄稿して頂きました。長年の私の体調不良から、今回の小川先生との対談は、最初で最後になるかもしれません。

 現在は、日々、断捨離(特に蔵書と書類)に努めながら、『伝習録』下巻の口語訳の下書きの加筆修正に力を尽くしています。この『伝習録』下巻の口語訳についても、まさか手掛けることになろうとは、10年前の私には、恐れ多くて、思いもつかないことでした。ですが、実践体得に努める日々の中、次第に良知(本当の私)を実感するようになり、今から5年ほど前から、口語訳にチャレンジする勇気を持てるようになっていたのです。
 
 最後になります。
 皆様お誘いあわせのうえ、奮ってご参集くださいますよう、お願い申し上げます。m(_ _"m)


陽明學チラシ (004)  林田明大 小川榮太郎 講演と対談チラシ


























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