アップさせて頂くのが、ちょっと遅くなってしまった。以下は、10月の記事。寝たり起きたりの日々となっているので、手帳タイプの日記でさえ、空欄が目立っている。私の地方での講演は、年内で終わりとさせていただき、来年からは書きかけの『伝習録』下巻の口語訳に力を入れさせていただくつもりだ。

 ただし、名古屋での陽明学講座が後2回残っている。11月9日(土)と12月7日(土)である。名古屋での陽明学講座についての情報をお求めの方は、FB(日本陽明学研究会、姚江の会https://www.facebook.com/groups/1419123395048381/)をご利用いただきたい。

◆12日(土)午後1時から熊本市民会館で講演
 10月12日(土)の午後1時半から、「心が強くなる先人の教え」と題して、熊本市民会館の大会議室で講演である。前日の11日に、娘の付き添いを得て飛行機で熊本入りの予定。台風19号がちょっと気になるが、帰路は別にして、ぎりぎり熊本までは行けそうだ。13日からは、佐賀の某寺のご住職のところで数日お世話になるつもりだ。

◆ヘーゲルの思想は、まるで私欲を減らせば、心の本体・良知が発揮されると説く王陽明の教えそのものではないか。

 話は変わるが、ドイツ観念論哲学と陽明学の近似性を以前から意識していたが、高橋巌『シュ
タイナー哲学入門、もう一つの近代思想入門』(岩波書店)に、実に興味深い記述を目にした。

「私たちが個人的、日常的な思考の範囲に留まるかぎりは、まだ欲望、情念、気分、意志などによって認識が曇らされています。・・・(中略)・・・私たちの魂の舞台から、欲望の要素、感情の要素など、要するにマーラやアーリマンの要素をつぎつぎに取り去り、その純粋な思考の風景のなかに、私たちが没頭できるなら、その人の心の奥底から、宇宙思考が湧きあがってくるのです。それこそが、フィヒテのいう同一性の体験なのだ、とヘーゲルは考えるのです」(「Ⅳ ヘーゲルとその学派」)

 私がドイツ観念論、なかでも特にヘーゲル哲学に没頭したのは20代の半ば頃のことであった。ヘーゲル哲学については、もう忘れ去る一方だったのだが、当時は陽明学理解は知的レベルでしかなく、通底するとか近似するなどとは思いもよらなかった。
 話を戻そう。
 驚いたことには、ヘーゲルは、人々が私欲を取り去れば、心の奥底から宇宙思考が湧き上がってくる、と説いているのである。
 そして、それこそがフィヒテが言わんとするところの客観と主観との間に共通の根があるという同一性の思想の体験なのだと・・・。上記ヘーゲルの思想は、まるで私欲を減らせば、心の本体・良知が発揮されると説く王陽明の教えそのものではないか。

 良知と私欲の声なき声の違いについて説明する場合、良知の声なき声を実感するとき、
「下の方からふわっと上がってくる感じ」
 であることを、折に触れて口にしてきたが、
「宇宙思考が湧きあがってくる」
 の表現にも、大いに驚かされた。
 内観に努めていないと、味わえない感情だからである。

シュタイナー哲学入門

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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