◆痛風に懊悩する私を気遣う母から、「私より先には死なないでよ!」と言われてしまった。

 10月末頃か11月に入ってからのことかは記憶が定かではないけれど、久々に痛風が発症して、尿酸値を下げる薬を飲んでいるのだけれど、日増しに悪化して2週間が経った。
 薬の飲み合わせに問題があることが分かり、4,5日前から、持病の肝硬変の薬の服用をいったん中止して、痛風の治療に専念してきた。
 もちろん、肝硬変の薬を止めたこともあり、今まで以上に食事には気を付けた。好きな豆乳オレも飲むのを激減した。コーヒーの利尿作用は有難いので、1、2杯は飲んでいる。
 医師の話では、
「痛みがなくなるのに、通常2週間から20日はかかる」
 と言われていたので、そのつもりでいるのだが、13日は、ずっと痛み止めを飲んでいたために、好転したものとばかり思いこんで、家事や仕事に手を出してしまってつい無理をしてしまったこと気づいたのは、念のためにと、痛み止めを飲むのを止めてみた12日のこと。
 超激痛ではないにしても、激痛に襲われ、前日の無理がたたったことを自覚、14日は、「陽明学研究会・姚江(ようこう)の会・東京」の日であったにもかかわらず、初めて会への出席を断念した。
 私が、私主宰の会を欠席したのは、30歳代のルドルフ・シュタイナーの研究会の頃からのことを含めて、生まれて初めてでは無いだろうか。
 それも、2、30万円の講師料での講演依頼を頂戴させて頂きながら、
「その日は、私主宰の陽明学の研究会の開催日ですから」
 と断ってでも、先約最優先を貫いてきたにもかかわらず、である。

 さて、気が付いたら、私は、私が私淑する、日本陽明学の祖・中江藤樹(40歳)、陽明学の祖・王陽明(58歳)、人智学の創始者・ルドルフ・シュタイナー(64歳)、アーティスト・ヨーゼフ・ボイス(64歳)を超えて、65歳になっている。
 とはいえ、もう一人、私が20代で私淑した作家・コリン・ウィルソンは、82歳で没している。とはいえ、私の健康状態化からして、82歳まで生きる自信はゼロと言っていい。
 数日前、母に電話した時、痛風に懊悩する私を気遣う母から、
「私より先には死なないでよ!」
 と言われてしまった。
 そんな母は、もう80代後半である。
 四方山話はこれくらいにしておこう。

◆「藤樹先生が、かつて次のようにおっしゃいました。『私が良知を知ってからというもの、出世や蓄財についての興味はまるでなくなりました』 と。藤樹先生は、大悟されていたのです」

 9月に、6年ぶりの新著
『評伝・中江藤樹』(三五館)
 を刊行させて頂いて、その後1か月も経たないうちに、版元の三五館が営業停止になるという悲しい出来事を味わったが、編集段階で、『評伝・中江藤樹』に漏れた記事は数えきれないほどあるので、今後、少しづつ披露させて頂くことにする。

 まず、藤樹の二大高弟のひとり、淵岡山(ふち・こうざん)の残した言葉に、こんなのがある。

「先師曾(かつ)ての玉(たまわ)く、彼事(良知)を知てからは侍の望も知行の望もなきこと也と仰(おお)せられき。先師は御見得(ごけんとく)なされての御事(おんこと)ならん」(「岡山先生示教録」)

 現代語で意訳する。

「藤樹先生が、かつて次のようにおっしゃいました。
『私が良知を知ってからというもの、出世や蓄財についての興味はまるでなくなりました』
 と。
 藤樹先生は、大悟されていたのです」


 「見得(けんとく)」
 とは、仏教用語で、その意味は
「自らの智慧(ちえ)を働かせて真理を悟ること」
 です。

 立身出世や蓄財(必要最低限の収入を超えるお金儲け)への興味は、雲散霧消したというのは、私も良知を実感して以来、大いに共感するところです。
 良知を信じ切るということは、日々小善や陰徳を積むだけで、後は運を天に任せるということなのですから。

51Yuy+e+ixL__SX344_BO1,204,203,200_ 評伝・中江藤樹

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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