■イスラム教、ユダヤ教、キリスト教の価値観の中に、男尊女卑と、労働は、神から与えられた罰、苦役であるとする見解が含まれている。

 宗教は、普段は意識されることはないが、日本人の私は、年齢を経るにつれて自分の根っこが神道であることを思い知らされている。幼いころから、そう刷り込まれてきたことによる成果なのだろう。 
 幼いころから教会に通ったり、『聖書』に触れてきたであろう欧米人の場合にも、そういえるのではないだろうか。
 ある本にこんなくだりがあった。

「『旧約聖書』によると、人間は昔、楽園に住んでいた。そこでは働くこともなく、何でも手に入った。ところが、イヴが禁じられた知恵の実を食べてしまったため、楽園を追放される。
 このときから人間は働いて生きていかなくてはならなくなった」

 
 以下、私の見解というより、巷に流布している見解でもあることをお断りしておく。
 今、引用した個所は、『旧訳聖書』の「創世記」にある話である。
 人間は、禁断の木の実を食べたイヴのせいで、楽園を追放されてしまった、というこの記述の中に、
「男尊女卑」
 を肯定する価値観を覗き見たのは、私だけではあるまい。
 また、人間が働くことに関しては、神から与えられた罰、つまり苦役と受け止めていることがうかがえる。
 つまり、イスラム教、ユダヤ教、キリスト教の価値観の中に、男尊女卑と、労働は、神から与えられた罰、苦役であるとする見解が含まれているのである。
 働くことを嫌えば、当然のことながら、奴隷を必要とすることになる。

 では、日本人はと言えば、労働、つまり仕事を苦役だというふうには思わないで生きてきたように思う。
 むしろ、人の役に立つという意味で、仕事をすることを喜びとする傾向の方が強いのではないだろうか。

 「創世記」にあるこのエデンの園からの追放談に関しては、木の実がリンゴだとされていること(ビートルズのアップル・レコード、S・ジョブズのアップル)、蛇が嫌われるようになった起源だという説や人類の祖先は草食だったのでは、などという意見もあり、興味が尽きない。

▼ルーベンス「エデンの園」(1615年、マウリッツハイス美術館)

00b ルーベンス 1615年


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