■「犬がもの欲しそうに星を見続けている姿から、手に入らないものを求める人のことを指す」
4日(金)である。
せっかくのゴールデン・ウィークとは申せ、我が家は、息子はサッカーの練習や試合があるなどして、それぞれに都合があって、なかなかどこかへみんなで出かけるなどというわけにはいかないのだが、それでも何とか実現できたのが、子供たちと私の3人で、越川禮子先生宅にお邪魔させて頂くことであった。
3日の夕方5時頃にお邪魔させて頂き、夕食に出前の釜飯を御馳走になり、子供たちは好物のウナギのかば焼きの釜飯であった、夜は、久々に団らんさせて頂いた。
越川先生は、私が手渡させて頂いた講演録
「陽明学に学ぶ知行合一の本質」(『マネジメントトレンド、vol.16』、経営研究所・刊)
をずっとご覧になっておられた。
内容は、陽明学入門の話なので、先生は先刻ご承知済みのはずなのだが・・・、ただし鍵山秀三郎先生が松下政経塾でお話しされた時の枯葉の掃除に関してのエピソードや、香川県の滝宮小学校での「子どもが作る〈弁当の日〉」のエピソードを使っての万物一体の話は、初耳だったに違いない。
先生宅に一泊させて頂いたのだが、床に就く前にたまたまテレビで放映中だったのが、西田敏行・主演の映画
『星守る犬』(2011年)
であった。
「変なタイトル」
と思ったのは、私だけではなく、越川先生もそう思われたようである(笑)。
タイトルのことは、映画の中で、次のように説明があった。
「犬がもの欲しそうに星を見続けている姿から、手に入らないものを求める人のことを指す」
途中から見たのだが、
「重いなぁ」
と思いながらも、どうしても結末が気になり、最後まで見てしまう。
ハッピー・エンドであれば、気分良く床に就けたのだが、作者の意図はどうであれ、私に言わせると、決してそうではなかった。
ざっとストーリーめいたものを紹介させて頂く。
リーマンショックによる不況の嵐の中、勤め先の工場をリストラされた西田敏行演じる主人公のおとうさんは、なかなか次の仕事が見つからない。
やがて一人娘がグレだし、さらには外で働き始めた妻(岸本加世子)との折り合いも悪くなり、やがて離婚を迫られて止むなく離婚、妻子は家を出て行ってしまう。
残されたおとうさんには、持病があった。おとうさんは、愛犬のハッピーを伴い、見知らぬ土地での死を覚悟して車で宛て度も無い旅に出る・・・。
リアルな西田氏の演技もさることながら、いかにも現実にありそうな話だけに、他人事とも思われず、なんとも身につまされる映画だった。
「心が洗われる映画だった」
などという感想をお持ちの方もいらっしゃるようだが、私には、他人事とは思えず、暗澹たる思いが残ってしまった(苦笑)。
ネットで調べてみると、
「村上たかし」
という漫画家の同名の作品が映画化されたのだった。村上たかし氏は、現在、広島県東広島市在住であるという。
■「間違わない奴ほど世の中でイヤな人間はいない」
映画を見終わり、暗い気分を引きずったまま、たまたまベッドの上で手にした本が、会田雄次
『日本人の忘れもの、日本的叡知の再評価』
という本であった。
流し読みをしているうちに、ビルマ戦線での体験談の話に目が釘付けとなってしまった。
会田雄次(1916~97)氏は、当時、マラリヤにかかり、野戦病院に入っておられた。作戦の失敗から、重傷者が毎日のように担ぎ込まれてきたために、40余歳の女性看護婦は、一日2時間の睡眠時間で、150日あまり働き続けだったという。そのために、ある日仕事中に、突然、ひざから崩れ落ちるようにして死んでしまったというのである。
その時、彼女の献身的な仕事ぶりを見てきた患者たちは、全員、泣きながら合掌して拝んだのだそうで、そんな立派な日本人がいた、という話であった。
おかげで、さらにウエットな気持ちになって、なかなか寝付けなくなってしまっていた(苦笑)。
越川先生に上記の話をしたところ、なんと、かつて、会田雄二氏を講師としてお招きしたことがあったのだそうである。酷い戦争体験をお持ちの元軍人だけに、他人に厳しい方だったとのこと。
以下、同書にある会田氏の言葉。
「私たちは、間違わない奴ほど世の中でイヤな人間はいないのだ、ということを本当に知り、過ちを恐れず、自分の欠点も隠さず、もっと気楽に世の中を送るようになるべきだと思う」
自分にも、失敗経験があるからこそ、失敗した人には優しくなれるのである。
「失敗を恐れるな」
などと言葉では簡単に言えるが、現実は、誰もが失敗を恐れざるを得ない程、今の日本社会には、敗者復活を許さない不寛容の精神が蔓延しているようだ。
しかし、失敗からしか学べないのも事実なのである。
私自身、思い返せば赤面するほど、失敗は数限りなくある(苦笑)。
それでも、勇気を振り絞って生きてきた。
かつて、ある歌舞伎役者が、
『娘道成寺』
という演目で、大きな鐘に入り込む役を演じたとき、なんと、天井から降りてきた鐘の中に入ることが出来ず、舞台で棒立ちになるという大失敗の経験をしたのだとのこと。それもその時のビデオが残っていて、それがテレビでも放映されたのだが・・・、忘れもしないその大失敗から立ち直って今日があるとのことであった。
生きて行く上で、やはり勇気は大事なものなのである。
というわけで、翌日の今日、午前10時半頃に御暇させて頂き、帰宅したのは12時過ぎであった。
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4日(金)である。
せっかくのゴールデン・ウィークとは申せ、我が家は、息子はサッカーの練習や試合があるなどして、それぞれに都合があって、なかなかどこかへみんなで出かけるなどというわけにはいかないのだが、それでも何とか実現できたのが、子供たちと私の3人で、越川禮子先生宅にお邪魔させて頂くことであった。
3日の夕方5時頃にお邪魔させて頂き、夕食に出前の釜飯を御馳走になり、子供たちは好物のウナギのかば焼きの釜飯であった、夜は、久々に団らんさせて頂いた。
越川先生は、私が手渡させて頂いた講演録
「陽明学に学ぶ知行合一の本質」(『マネジメントトレンド、vol.16』、経営研究所・刊)
をずっとご覧になっておられた。
内容は、陽明学入門の話なので、先生は先刻ご承知済みのはずなのだが・・・、ただし鍵山秀三郎先生が松下政経塾でお話しされた時の枯葉の掃除に関してのエピソードや、香川県の滝宮小学校での「子どもが作る〈弁当の日〉」のエピソードを使っての万物一体の話は、初耳だったに違いない。
先生宅に一泊させて頂いたのだが、床に就く前にたまたまテレビで放映中だったのが、西田敏行・主演の映画
『星守る犬』(2011年)
であった。
「変なタイトル」
と思ったのは、私だけではなく、越川先生もそう思われたようである(笑)。
タイトルのことは、映画の中で、次のように説明があった。
「犬がもの欲しそうに星を見続けている姿から、手に入らないものを求める人のことを指す」
途中から見たのだが、
「重いなぁ」
と思いながらも、どうしても結末が気になり、最後まで見てしまう。
ハッピー・エンドであれば、気分良く床に就けたのだが、作者の意図はどうであれ、私に言わせると、決してそうではなかった。
ざっとストーリーめいたものを紹介させて頂く。
リーマンショックによる不況の嵐の中、勤め先の工場をリストラされた西田敏行演じる主人公のおとうさんは、なかなか次の仕事が見つからない。
やがて一人娘がグレだし、さらには外で働き始めた妻(岸本加世子)との折り合いも悪くなり、やがて離婚を迫られて止むなく離婚、妻子は家を出て行ってしまう。
残されたおとうさんには、持病があった。おとうさんは、愛犬のハッピーを伴い、見知らぬ土地での死を覚悟して車で宛て度も無い旅に出る・・・。
リアルな西田氏の演技もさることながら、いかにも現実にありそうな話だけに、他人事とも思われず、なんとも身につまされる映画だった。
「心が洗われる映画だった」
などという感想をお持ちの方もいらっしゃるようだが、私には、他人事とは思えず、暗澹たる思いが残ってしまった(苦笑)。
ネットで調べてみると、
「村上たかし」
という漫画家の同名の作品が映画化されたのだった。村上たかし氏は、現在、広島県東広島市在住であるという。
■「間違わない奴ほど世の中でイヤな人間はいない」
映画を見終わり、暗い気分を引きずったまま、たまたまベッドの上で手にした本が、会田雄次
『日本人の忘れもの、日本的叡知の再評価』
という本であった。
流し読みをしているうちに、ビルマ戦線での体験談の話に目が釘付けとなってしまった。
会田雄次(1916~97)氏は、当時、マラリヤにかかり、野戦病院に入っておられた。作戦の失敗から、重傷者が毎日のように担ぎ込まれてきたために、40余歳の女性看護婦は、一日2時間の睡眠時間で、150日あまり働き続けだったという。そのために、ある日仕事中に、突然、ひざから崩れ落ちるようにして死んでしまったというのである。
その時、彼女の献身的な仕事ぶりを見てきた患者たちは、全員、泣きながら合掌して拝んだのだそうで、そんな立派な日本人がいた、という話であった。
おかげで、さらにウエットな気持ちになって、なかなか寝付けなくなってしまっていた(苦笑)。
越川先生に上記の話をしたところ、なんと、かつて、会田雄二氏を講師としてお招きしたことがあったのだそうである。酷い戦争体験をお持ちの元軍人だけに、他人に厳しい方だったとのこと。
以下、同書にある会田氏の言葉。
「私たちは、間違わない奴ほど世の中でイヤな人間はいないのだ、ということを本当に知り、過ちを恐れず、自分の欠点も隠さず、もっと気楽に世の中を送るようになるべきだと思う」
自分にも、失敗経験があるからこそ、失敗した人には優しくなれるのである。
「失敗を恐れるな」
などと言葉では簡単に言えるが、現実は、誰もが失敗を恐れざるを得ない程、今の日本社会には、敗者復活を許さない不寛容の精神が蔓延しているようだ。
しかし、失敗からしか学べないのも事実なのである。
私自身、思い返せば赤面するほど、失敗は数限りなくある(苦笑)。
それでも、勇気を振り絞って生きてきた。
かつて、ある歌舞伎役者が、
『娘道成寺』
という演目で、大きな鐘に入り込む役を演じたとき、なんと、天井から降りてきた鐘の中に入ることが出来ず、舞台で棒立ちになるという大失敗の経験をしたのだとのこと。それもその時のビデオが残っていて、それがテレビでも放映されたのだが・・・、忘れもしないその大失敗から立ち直って今日があるとのことであった。
生きて行く上で、やはり勇気は大事なものなのである。
というわけで、翌日の今日、午前10時半頃に御暇させて頂き、帰宅したのは12時過ぎであった。
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