以下、『極限の戦場、メイキング・オブ「太平洋の奇跡」』の続きで、第3回目である。( )内は、筆者注。

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■ストイックなまでに役作りにこだわる唐沢。この映画で初めてスキンヘッドに。さらに筋力トレーニングで5キロのビルド・アップ。

「日本に妻と子を残して戦地へ赴いた尾藤軍曹、演じたのは岡田義徳、33歳。戦争を知らない世代、彼は今回、等身大の若者を演じるように心がけたという」

岡田「自分たちっていうのは、まだ若いし、戦争体験者でもない、ということで、やっぱイメージでしかないじゃないですか、戦争というものが。
 だから、あまり作らずに飾らずに、時間だけをすごく大事にしようと思って、敢えて自分なりに何かを、グーッて作るとか、作り込むってことは一切しなかったんですよね」

「兵士の中で最年長の47歳、任侠の世界に生きる堀内今朝松(けさまつ)一等兵を演じた唐沢寿明」

(唐沢の撮影シーン。唐沢が「今になって泣きごと言うんやったら、何で子供の手、しっかり握っといてやらなんだ!」と台詞を言うシーン。唐沢演じる堀内一等兵とその数名の仲間たちの戦闘シーン)

「自分らのやり方、信念を貫きながら、アメリカ兵に立ち向かい、ゲリラ攻撃を仕掛けていく。
 ストイックなまでに役作りにこだわる唐沢。この映画で初めてスキンヘッドに。さらに筋力トレーニングで5キロのビルド・アップ。
 主演の竹野内とは事務所の先輩後輩という間柄。撮影の合間には竹野内にアドヴァイスをする姿が。リアリティを追い求める2人の思いが、そこにはあった」

唐沢「どんな過酷な状況でも、やるのがね、仕事なんで。うん。竹野内君とかの方が大変なんじゃないかね。うーん。やっぱ主演やる人は、耐えるのがね、仕事だからね。今日も、何か、さっき会ったら、ちょっと疲れてたけどね、流石にね(笑)」

「撮影30日目」

「日米合同製作の『太平洋の奇跡』、ロケ中盤。アメリカのスタッフとキャストが現地入り、撮影に加わった。
 アメリカ側の撮影の指揮を執るのは、チェリン・グラック。各国のスタッフが入り乱れての撮影。現場では、日本語、英語、タイ語が飛び交った。

(非難する地元民たちと上陸してきたアメリカ軍との出会いシーン)

「大場大尉に畏敬の念を抱くアメリカ軍のルイス大尉。演じるのは
ショーン・マクゴーヴァン。『24(トゥェンティフォー)』をはじめとする海外の人気ドラマに出演しているハリウッド俳優だ」

ショーン「戦争映画の多くは、グッドガイの方から、あるいはバッドガイという風に、片方の視点から描かれることが多い。この映画は、日米双方を描いている。日本とアメリカ両方に共感出来ると思う」

「さらにダニエル・ボールドウィン、トリート・ウィリアムスら、アメリカで活躍する豪華俳優陣が作品に挑んだ。
 アメリカ軍の捕虜となり、通訳として日本人とアメリカ人をつなぐ民間人を演じた
阿部サダオ。アメリカ・チームの撮影は、阿部にとって大きな刺激になっていた」

阿部「USチームと日本チーム、というか平山組ってのがあって、何か、お互い、こう、良い撮影体系っていうか、なんかそういう、お互いに盗みあえるというか、良いとこを持ってくみたいなのが、できてくと、いいんでしょうね。
 俳優としてもそうですけど、あの、向こうの俳優さんとかがやってる芝居を見て、
〈あ、こういうやり方があるんだ〉
 って気づいたことが結構あるんで・・・」

「言葉の壁を越え、徐々に信頼を築いていった、日本とアメリカのキャスト、スタッフたち。最高の映画を作りたい、同じ目的に向かう彼らは、いつしかひとつのチームに成っていた」
 
 以下、続く。


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