■「つまずいたり、走ったりするのは気〔の作用〕であるが、それで逆に心を動かしてハッとさせたり、せかせかさせたりするものだ」 

11月1日(月)である。
 昨晩、洗濯物を干そうとベランダに出る時、ベランダ用のビーチ・サンダルを履こうとしていて、左足をサンダルに乗せたのだが、そのサンダルが思うように動かず、かがんで手でずらせばよかったのだが、そのまま足でサンダルを移動させようと無理祖したのが良くなかった。
「ギクッ」
 という感覚と共に、左足の薬指に激痛が走った(驚)。
 数十分後には、指先が赤紫色になり腫れてしまったのである。
 これには参った(苦笑)。

 で、つくづく思いだしたことがある(苦笑)。
 どんなことを思い出したのかと言えば、私の新著
『山田方谷の思想を巡って、陽明左派入門』(明徳出版社)
 に書かせて頂いたことだが、
『孟子』
 公孫丑(こうそんちゅう)章句上篇にある次のような言葉である。

「たとえば、つまずいたり、走ったりするのは気〔の作用〕であるが、それで逆に心を動かしてハッとさせたり、せかせかさせたりするものだ」

 この孟子の言葉に対して、山田方谷はこう語っている。

「この言葉は、公孫丑のためにその疑問を解いてあげようと、分かり易い喩(たと)え話を引いてきたのですが、実は、この喩えから孟子の深意が分かるのです。
 つまり、躓(つまず)くのも走るのも、これは、心でやろうとして気が働いたわけです。
 ですが、心はただ前に行こうと欲するだけで、何も躓こうと思う心はそこにはありません。
 それが、気が一方だけに偏(かたよ)り心が空になるときは、図(はか)らずも躓いてしまい、かえって心を動揺させ、前に行こうとする心をも引き止め、気が嫌がるようになってしまうのです。
 これが
〈気が一つことに集中すれば、心を動かす〉
 ということなのです。
 ですから、心が大事ではあるのですが、気の方がむしろ大切なのです
 だからこそ、
〈気をそこない乱さずに養わねばならぬ(気を暴する勿かれ)〉
 と言うのです。」(同上、附録「山田方谷・講述、門人・筆記『孟子養氣章講義(王陽明の説による)』抄訳」より)

■焦るということは、平常心を失ったということなのである

 
何を言いたいのかと言えば、「行動の源泉は、思いだ」ということは誰でも分かっていることだと思うのだが、そうはいっても、私には、躓いて足の指を捻挫しようという思いなど毛頭なかったのだ(笑)。
 にも拘らず、躓いて足の指を痛めてしまったのは、サンダルが思う方向に動かせなかったために、焦ったからである。
 言いかえれば、気が急(せ)いた、慌てたのである。
 人間、焦ったり、助長したりすると、まずろくなことはない。
 焦るということは、平常心を失ったということなのである。
 焦ってしどろもどろになるということもあるくらいだ。
 つまり、日常生活の中で、平常心を保つ工夫と努力を心がけることはとても大切なのである。
 料理中に焦ると、刃物で怪我したり、火傷をしたり、食器を割ったりすることになりかねない(苦笑)。
 焦りは禁物である。
 焦る癖のある人は、特に要注意で、事故につながるので、逆に、焦らない癖、つまり平常心を心がけることだ。
 平常心については、ぜひ拙著『イヤな「仕事」もニッコリやれる陽明学』等を一読頂きたい(笑)。

■「中国が嫌い」「どちらかというと嫌い」と答えた生徒の割合は66%。理由は「偽物を作るから」の41・4%が最多で、「治安が悪そう」「清潔感がなさそう」がともに18・9%

 以下は、昨今の日中関係を象徴するニュースと言っていい。
 一読頂ければお分かりのように、中学生たちの答えの背後には、彼らの両親の判断があるはずなのだ。
 つまり、中学生たちの両親を含めてのアンケート結果であって、中国への印象の悪さを物語っているのだ。
 市長は、立場上、中国の友好都市への配慮もあるのだろうが、市民の声を真摯に受け止めるべきであろう。

「行きたくない」88%、中学生訪中事業が中止

 無料で中国を訪問できる長野県須坂市の中学生中国訪問事業が、参加希望者が少ないため中止になった。
 希望者の定員割れが原因の中止は2回目。市が中学生対象に行ったアンケートでは、
「行きたくない」
 などと中国訪問に消極的な回答が88%に上り、市は
「隣国への理解が足りないようだ。今後も訪問事業は続けたい」
 としている。
 市教委学校教育課によると、友好都市の吉林省四平市を訪問して交流する同事業は、1993年から2004年までは毎年、以降は隔年で行っている。今年は7月29日~8月4日の日程で、12人の中学生を4月から募集した。
 保護者同伴で生徒は無料とする条件だったが、5月末までの正式申し込みは1人だけ。
 中学生の訪問事業は2006年も応募者が少なく中止となり、08年は四川大地震や中国製冷凍ギョーザ中毒事件の影響で急きょ取りやめており、今回で3回連続の中止となった。
 希望者が少ない原因を探るため、市教委は、中学生100人にアンケートを実施。
「四平市に行ってみたいと思わない」
「行きたくない」
 と答えた生徒の割合は88%に上り、理由を複数回答で聞いたところ、
「時間がない」(26・4%)、
「中国に関心がない」(25・0%)
 などが目立った。
 「中国が嫌い」「どちらかというと嫌い」と答えた生徒の割合は66%。理由は
「偽物を作るから」
 の41・4%が最多で、
「治安が悪そう」
「清潔感がなさそう」
 がともに18・9%だった。
 同課は
「父母の休みが取れないとの意見もあった。次は、生徒だけで参加できるようにするなど、改善したい」
 とし、三木正夫市長は
「中学生は昔のイメージを引きずっている。よく知ってもらうことが大事」
 と話している。
(2010年11月1日 読売新聞)


 参考までに、吉林省四平市についてである。

「四平市(しへい-し)は中華人民共和国吉林省西南部に位置する地級市。
 各方面に連絡する道路・鉄道網により中国東北部の交通の要衝となっており
〈東方のマドリード〉
 とも称される新興工業都市である。
 漢族をはじめ満族、蒙古族、回族、朝鮮族、壮族、錫伯族など30の民族が住み、漢族が人口の91%を占める」(ウィキペディアより)

 また、この四平市は、韓国人留学生が多いことでも知られている。
 

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