■お笑い番組によくありがちな、相方をからかい小馬鹿にして笑いをとるという安易な方法に、子供達が影響を受けているということも、良く耳にする話である

 桐生市の小6女児いじめ自殺の件、どこのチャンネルだったかは忘れたが、TVのニュース番組でも特番を組んで報道していた。
 教育現場はもちろんだが、マスコミの真摯な報道姿勢が問われていると思う。これまでにも、いじめによる数え切れないほどの自殺者が出ている。
 にもかかわらず、減少しているとは思えないのは、一つには、お笑い番組によくありがちな、相方をからかい小馬鹿にして笑いをとるという安易な方法に、子供達が影響を受けているということも、良く耳にする話である。
 ちなみに、拙宅では、テレビ番組(映画やドラマも含む)やDVDで見る映画は、親がチェックし、セレクトして見せている
 子供たちが目や耳にする本やドラマや映画の影響は、私たちが思っている以上に大きいのだから。
 マスコミの側にその気はなくても、知らない間に人々を傷つけたり、社会に悪影響を与えてしまっていることに気づき、番組作りを修整していくべきであろう。

 明子さんのご両親は、いじめを受けていると明子さんから相談を受け、来年3月に大阪方面に引っ越そうと考えており、
「卒業するまで頑張ろう」
 と励ましていた。
 明子さんに友達から手紙が届いた時、大喜びしながら父親の竜二さんのところへ見せに来て、
「前の学校に戻りたい」
 としきりに訴えていたという。

 以下、最新ニュースである。内容が重複するが、群馬のタウン誌(あるいは紙か)であれば、もっと詳しく報道してほしいものだ。

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桐生の小6自殺、担任教諭らが自宅を訪れ謝罪
2010年11月1日「マイタウン群馬」

 桐生市の市立小学校6年、上村明子さん(12)が自宅で自殺し、家族がいじめが原因だと訴えている問題で、担任の教諭が10月31日、校長と教頭らとともに明子さんの自宅を訪れ、謝罪した。
 家族によると、担任が上村さん宅を訪ねたのは明子さんが亡くなった23日以降、初めて。校長と教頭は今回が3回目の訪問という。担任は家族に対し
「私の指導力不足で申し訳ありません」
 とわびたという。
 いじめの有無について家族がただすと、校長は
「まだ調査中です」
 と答えたという。
 父親は
「担任はなぜもっと早く来てくれなかったのか。明子の死をもっと深く受け止めてほしい」
 と話した。
 同校はいじめの実態を把握するため、全児童を対象にアンケートを行い、1日以降に回収する予定。

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いじめ明言せず…小6自殺で担任が遺族に謝罪 

 群馬県桐生市の小学6年、上村明子さん(12)が10月23日に自殺し、家族がいじめが原因だと訴えている問題で、小学校の担任の女性教諭が31日、亡くなってから初めて明子さん宅を訪れた。
 父親の竜二さん(50)によると、担任は
「私の指導力不足でこういうことになって申し訳ございません」
 と謝罪したが、同席した校長は、いじめの有無について
「調査中です」
 と述べるにとどまり、認めることはなかったという。
 担任は校長や教頭、5年生時の担任など学校関係者7~8人で訪れた。
「話し合いに来たんですか」
 と竜二さんが聞くと、校長は
「初七日が終わったので、お線香だけ上げさせてください」
 と述べたという。
 担任に対し、竜二さんが
「給食を1人で食べていたのを見ていたんでしょ」
「いじめがあったことを知っていたんでしょ」
「いじめを認めて」
 と問いつめると、担任は下を向いて
「すいません」
 と繰り返すばかりだったという。
 途中、校長が話に割って入り
「(29日に回収した児童への)アンケートなどを実施し調査中です」
「いじめを認めないわけではありません」
 と話したという。
 竜二さんは
「担任の謝罪はいじめを認めたも同じ。
アンケート結果はクラス全員分見せてほしい」
 と話していた。
(2010年11月1日10時05分 読売新聞)


■子供達のお手本になるような生き方を大人達が目指さない限り、いじめ問題の真の解決にはならない

 以下は、いじめ問題に関する関連ニュースである。
 私自身、気にしてきたので、娘の中学校の道徳の教科書に目を通したことがあるが、日本の伝統的な挿話がほとんどといっていいほど掲載されていなかった。
 まずは、教科書を作っている人達の日本文化への理解が問題だと私は思っている。日本人でありながら、日本文化への理解度は、外国人並みと言っていいだろう。
和食や着物の着付けや武道や茶道や華道を学び教えているから、だから日本文化を理解できている、と思っているのなら、それは短絡(はやとちり)というものである。
 今やそれらのほとんどは形骸化してしまっているのだから、真に日本文化を理解できている人は、もはや一握りと言っていいだろう。

 以下の埼玉県教育委員会の試みは、教師の質の向上に努めることなく、言葉で子供達のモラル・アップを図ろうというのであるが・・・(苦笑)。
 もちろん、以下の試みがまるで無駄と言いたいのではない。
 子供社会のいじめは、大人社会のいじめの反映なのだ。そして、子供達は、大人の言行不一致の偽善には特に敏感なのだ。
 子供達のお手本になるような生き方を大人達が目指さない限り、いじめ問題の真の解決にはならないはずである。


今こそ道徳、埼玉県教育局が独自資料集

 埼玉県教育局が小中高生向けに作成した道徳資料集。表紙写真やイラスト、物語などは教員らが手がけた
 埼玉県教育局が、県内の公立校に通う小中高生向けに、「道徳」教育用の資料集を独自に製作した。
 暴力行為やいじめなどの問題が深刻化する中、命の大切さや他人の痛み、帰属感といった問題を学ぶきっかけになればと企画された。
 道徳は正式教科としての位置づけがなく、同局によると、高校まで一貫した教材を独自製作するのは、全国的にも異例という。さいたま市の小中学生を除き、4月に配布される。

 資料集は、小学校の低・中・高学年、中学、高校の計5種類(いずれもA4判)で計約65万8800冊。
 昨年5月に発足した作成委員会が準備を進めてきた。
 発達段階などに応じて内容は異なるが、いずれも
「規律ある態度」
「埼玉県の偉人」
「伝統・郷土の話題」
「命の尊重」
 をテーマにした物語やコラムなど、県内の教員らが書いたり選んだりした20~38教材が盛り込まれている。

 140年前から続くという川越市の菓子屋横丁の飴(あめ)屋(小学校中学年用)、東京五輪の聖火台を製作した川口市の鋳物師・鈴木文吾氏(高学年用)ら埼玉ゆかりの人物のエピソードや、携帯電話のメールや自己紹介サイトの「プロフ」で悪口を書かれた生徒の作文(高校生用)を採用。
 進路を親に反対される場面を想定し、自分の気持ちをどう伝えるかを考えるコラムなども掲載されている。
 現在の学習指導要領は、小中学校の道徳の授業について年間35時間行うと定めているものの、正式な教科とは位置づけられていない。
 特に高校は何の規定もないが、県教育局は昨年3月、県内の公立高校に対し
「年5回以上、道徳の授業を行う」
 との推進方針を通知。
 今回の資料集などを通じて高校でも道徳教育を行い、規範意識や命の大切さなどを学んでもらう考えだ。
 同局生徒指導課の担当者は
「資料集は教員らの手作り。学校でぜひ活用してほしいし、家庭に持ち帰り、親子でも読んでみてほしい」
 と話している。
 同局によると、県内の公立小中高校に通う児童生徒の暴力行為は、2008年度に2559件発生し過去最高。インターネット上の掲示板に特定の人の悪口を書き込むなどの
「ネットいじめ」
 も認知されただけで131件あった。
 自殺未遂を起こし、自己中心的で公共マナーが守れない生徒たちも散見されるなど、学校現場が抱える課題は多い。


◇小学校中学年用より「一輪の花」

 少年栄一の近所に、重い病気に苦しむ一人暮らしのりんという娘がいる。感染するとのうわさがあっても、栄一の母えいは娘を案じ、野菜をおすそ分けしたりしている。娘は喜ぶが、栄一は嫌がって近づけない。

 <むすめがいつものお礼にと、ぼたもちを作り持ってきました。(中略)母は、おいしそうにぼたもちをほおばったのです。(中略)むすめが帰るとすぐに、
「お母さんが病気になったらどうするんですか」
 と、母を心配しました。
 しかし、
「あら、そんなことありませんよ。お医者様は『うつりません』とおっしゃったわよ。それに、私が食べることによって、あの子はどんなによろこぶでしょう」
 と、ニコニコしながら話しました>

 母親は共同風呂にも娘を連れていった。居合わせた人々はそそくさと立ち去るが、母親は気にも留めず、娘の背中を流した。
 娘はその後、他界した。

 <栄一は、むすめのはかに一輪の花をたむける母のすがたをそっと見つめていました。栄一は、九十一歳でこの世をさるまで、世の中のこまっている人のためにはたらき続けました。それは、やさしい母えいのすがたが栄一の心の中に生き続けたからです>
 1840年、血洗島村(現在の深谷市)に生まれた渋沢栄一のエピソードだ。
(2010年2月18日 読売新聞)

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「いじめの温床」学校裏サイト・プロフ実態調査
中傷許さぬ

個人への悪質な書き込みが目立つ携帯電話のサイト(奈良県庁で)

 インターネットでのいじめの温床とされる学校非公式サイト
「学校裏サイト」
 や、携帯電話の自己紹介サイト
「プロフ」
 などでの誹謗(ひぼう)中傷、悪質な書き込みを発見するため、奈良県教委は今月から、IT関連企業(東京都)に委託してネットパトロールを始めた。
 来年3月末まで、県内の公立中学校と高校の計142校を対象に裏サイトの実態を調査し、来年度から、いじめに対する指導に生かす。
 
            ◇

 文部科学省が2008年に発表した調査報告書では、「学校裏サイト」は全国で約3万8000件が確認され、児童・生徒への中傷などが多数確認されている。
 県内では、08年度の調査で、いじめを受けた公立高校生の約3割が、パソコンや携帯電話などネットを通じていた。
 個人名を挙げて「きもい」などと中傷し、いじめに発展したケースや、ターゲット1人を決めて複数人に「やってしまおう」と持ちかけ、暴力行為に発展しかけたこともあった。
 県教委が09年度、携帯電話で県内の裏サイトやプロフを検索したところ、「ダサイ」「あほや」などと生徒個人をけなす複数の書き込みを発見。だが、学校や投稿者が特定され、プロバイダへの削除依頼や指導に結びついたものは、わずか5件だった。
 生徒指導の担当者は
「膨大な数の書き込みをチェックしなければならないうえ、パスワードが必要な場合が多いなど、限られた時間と人員では対応しきれない」
 と話す。
 ネットパトロールは、東京都江東区や宮城県などからも請け負っている「ガイアックス」が担当。同社が開発した裏サイト専門の検索システムで、学校名や俗称などからサイトを探し出し、スタッフが文脈を見ながら危険度を判断する。
 実名での誹謗中傷、不適切な写真、書き込みはサイトの管理者やプロバイダに削除を依頼し、自殺・殺人予告や生徒の生命にかかわるものは、県警に通報する。発見した記述や対処法などは毎月まとめ、県教委と市町村教委に提供する。
 県教委学校教育課は「いじめの認知件数が減っているにもかかわらず、学校から寄せられるネットを巡る相談は多く、いじめは見えにくくなっている。プロの力を借りながら、有効な方法を探りたい」と期待している。
(2010年9月3日 読売新聞)


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