2016 ディライト富士山登山部 登山レポ③
PART②のつづき
登山の後は下山が待っている。
登りは夜中の真っ暗の中でしたが、帰りは目の前に絶景が広がる。
見渡す限りの雲海。
山頂の気温は恐らく5℃くらい。
この時点でも防寒着が離せない。
帰りは御殿場ルートから下山し、六合目で富士宮ルートに合流する。
この道なき道を下る。
この傾斜。
富士山の山頂付近はかなりの傾斜が付いている。
富士山の形を見ても分かりますが見ている以上の傾斜です。
すこしバランスを崩すとこうなります。
コケた。
一度や二度こけるのは当たり前です。
地面は一見土に見えるが、土に非ず。
軽石のような火山岩である。
下りながら足を出すと、地面に着いたとたんにずるっと滑る。
それが延々と続く。
絶景。
写真では伝わりにくいが、これが目の前180度広がる。
富士山は樹木が無いので景色のスケールが大きい。
だが、景色を堪能する余裕が無いのも事実。
体力の限界。
出発日(7月11日)の朝7時に起きているとすれば、
この時点で24時間寝ていないことになる。
草が生えているということはここは砂走り。
しばしの休憩。
あごに杖を当てて休憩。
この気持ち良くわかります。
火山岩の足場が、砂に替わる。
しかもこの傾斜。
半分走りながら砂の中を下る。
下りは関節に負担がかかるので全身がきしむ。
でもなぜか私の股関節の痛みは下りでは出ない。
そのかわりつま先が痛い。
きっと靴のサイズが合っていないのであろう。
気温も上がってきた。
まだまだこの傾斜がつづく。
毎回思うのだが、この傾斜を良く登ってきたなと思う。
登っているときは夜なので見えていないのはある意味幸い。
すこしバランスを崩すと転げ落ちそうな斜面。
砂場なので踏ん張りも効かない。
絶妙な姿勢で休憩。寝ている。
それでも空は綺麗なブルー。
砂走りの途中で側道に入る。
そこは宝永山に向かうルートである。
周りは雲で真っ白。
雲が半分かかる。
幻想的な風景に一転。
富士山はこのような不思議な景色が広がる。
宝永山の稜線から火口へ下る。
このくだりが永遠続く。
もちろん永遠ではなのだが、この時点の体力では永遠に感じる。
宝永山の火口を横目に見ながら通り過ぎたところにベンチが設置されている。
そこでAさんがコーヒーを振る舞ってくれた。
ここでのコーヒーは今まで感じたことのないくらい体に沁み込み、
最高においしかった。
食べ物や飲み物のおいしさにはその環境や状況が影響するということがわかる。
後ろは雲で真っ白。
ここで私の体力も限界。
これ以降写真が無い。(笑)
宝永山を通り過ぎ、富士宮ルートの六合目に合流。
そして五合目まで下山。
五合目に着いたのはPM13:30。
下山にかかった時間6時間。
登山開始から28時間。
不眠の富士山登山はやはり過酷である。
この時はつらさのあまり「絶対にもう登らない」と思うのだが、
数日後には登りたくなる。
わたくしはこれで4度目。
年々登るのがつらくなっている。
やはり体力をつけなければならない。
また一年かけて体力をつけよう。
来年も登ります。
五合目に降りてNさんが発したこの言葉に共感。
「平地は素晴らしい、アスファルトはすばらしい。」
本当にそう思った。
登りか下りしかないところを一日以上歩いてきた我々にとっては平地であることが最大の安らぎに感じた。
このあとみんなで温泉に行き、その後はお約束の「さわやか」でハンバーグを頂いた。
20時間ぶりのまともな食事。
生き返る。
こんなつらい体験をしても私はまた登りたくなる。
本当に不思議だ。
誰かに呼ばれているのだろうか?
呼んでいるのは誰だ?
浅間神社に祭られている、木花咲耶姫であろうか。
自他ともに認める強力な晴れ男の私は一体何なのか。
富士山に登ると色んな不思議が湧いてくる。
来年も一緒に登る同志を募集。
では。
~完~