ドゥカティのシートに関するよくある質問
よくお客さんから言われることがある。
「シートがすべる」
特に、スーパーバイク系やSS系に乗っている人が言うケースが多い。
でもその「すべる」が一概にダメなわけでもなく、
正しい場合もある。
そんな会話を再現してみました。
Aさんは1098オーナー。国産車のSSから1098に乗り換えた方です。
A「シートがすごくすべるので何かいいものないですか?」
僕「どんなときにですか?」
A「ブレーキングするとお尻が前にすべっていくんですよ。ニーグリップで支えれないくらいツルツルと。」
僕「ブレーキングの時にですか~」
A「コーナーの手前でお尻を後ろにして、リアホイールに加重を掛けたいけど、シートがツルツルだから前に滑って後ろに加重がかけれないんです。」
僕「あっなるほど!」
A「なにかいいシートあるんですか?」
僕「いやそうではなくて、ブレーキかけたときに前に滑っていくのはそれが正解なんですよ。」
A「えっ?」
僕「そういう風に設計されているんです。バイクがここに座れって言ってるんですよ。この写真を見てください。」
僕「横から見ると完全にシートが前方に傾斜してます。コレは設計ミスではありません。バイクが座る位置を教えてくれるような設計になっているのです。」
A「でもよくコーナーリングの前には後ろに加重をかけてって・・・聞くんだけど。」
僕「バイクに乗って乗り方が違います。後ろに加重をかけて正解のバイクもあるしそうでないものもあります。特に今の主流は前加重です。下の写真のようにワールドスーパーバイクでもコーナーリング中は完全に前に乗っています。」
僕「前にのってタンクに体を預ける。そうすれば腕の力も抜けます。腕の力が抜けたら下半身に力を入れることができ、ステップに加重をかけやすくなるんです。」
A「なるほど!!」
僕「コーナーリングの基本は、①手、腕に力を入れない ②ニーグリップしない ③下半身やイン側ステップに加重をかける。 だと思います。だから、コーナーの手前でお尻を後ろにずらしていたら今の条件の全く逆のことをしてしまいます。すなわち曲がらないということです。」
A「そうなんですか。でもプロのレースと市販車は違うんじゃないですか?」
僕「レースと市販車に大きな違いを作らないのがドゥカティなんです。パワー面や装備部品面ではコストがかかりますのでレーサーと同じわけにいきませんが、技術面ではレースの技術を市販車にフィードバックしています。特にスーパーバイクシリーズは走りに関しての技術がてんこ盛りに詰まっています。そしてツーリングに使うときのことや、快適性は完全に考えられていないと思います。100%に近いくらい性能面重視のバイクです。市販車のドゥカティが性能がいいといわれるのはこの完全な割り切った考え方、すなわちレーサーに近い120%ロードスポーツバイクという考え方から作られているからと思います。」
A「そうなんだ~、さすがドゥカティですね。」
僕「あとは直線では目いっぱい伏せてください。お尻を完全に後ろにずらして、ヘルメットのあごがタンクにつくぐらい伏せる。下の写真のようにね。コーナーが近づきブレーキングが始まったら体を前方にずらして前加重にしてください。ブレーキを握りながら目線を進行方向に向けてイン側の足に加重をかける。そうすると体全体がイン側に向きます。その状態のままゆっくりブレーキを離せばバイクは進行方向にススッと旋回します。話すと長い動作に感じますが実際は1秒~2秒くらいの間でこの動作をします。だから練習が必要なんです。」
A「そうか!じゃあ早速実践してみます!」
数日後お客様は再度来店されて実践した観想を聞かせてくれました。
もちろんいい感想で、今まで自分が思い込んでいた乗り方との違いにおどかれていました。
もし自分のライディングがどんな感じか見たい場合は、
ディライトの走行会に参加されるとよいですよ。
プロのカメラマンが走行中の写真を取ってくれますから写真で自分のライディングをチェックすることができます。
ライディングポーズで走りは変わってきますので、客観的な視点で見れる写真は最高の教材です。
ディライト走行会は・・・ (PC専用)
携帯からはこちらhttp://jns3.netfarm.ne.jp/~ac204284/index.cgi?site=497ac099
最後に一言。
「ドゥカティは座る位置を教えてくれます。その位置に乗って性能が引き出せます。」