高知新聞が昨年の11月13日に以下のように報道しています。

 香南市の高知東部自動車道で起きた交通死亡事故で、自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷)罪に問われた高知市瀬戸東町2丁目に住む被告人の初公判が11月12日、高知地方裁判所で開かれ、被告人は起訴内容を認めた。
 起訴状によると、被告人は昨年9月21日午後0時50分ごろ、東部道上り線で運転支援システムを起動させて乗用車を運転。靴を履き替えようと助手席下のサンダルを取ろうとして対向車線に進入し、大阪市のKYさん運転の乗用車に衝突した。チャイルドシートのKKさん(運転していたKYさんの子=当時1歳=)が外傷性ショックで死亡し、KYさんとKKさんの母のKAさん、KKさんの姉が重軽傷を負った―としている。

 KKさんら被害者家族は11月12日、被告人の厳罰を求める署名16万7512筆を高知地検に提出。公判後に会見を開き、「運転支援システムを悪用した極めて悪質なながら運転だ」と訴えたそうです。

 確かに、この事件で亡くなったKKさんの両親が言われるように、犯人(被告人)の過失で子が亡くなったとするのはどう考えてもおかしいと思います。

 しかし、罪刑法定主義からすると、本件を含めた【他のことをし「ながら運転」で人が死傷した事件】に危険運転致死傷罪の適用することはできません。

 では、どうするべきか。

 私は、ながら運転で人を死傷した事件の一部には傷害罪or傷害致死罪を適用するべきだと思います。

 なぜなら、運転者が車両を高速で走行中に、短時間で前方を見ないという決断して、他のことをした場合は、車両の周囲にいる不特人に対する暴行(人の身体に対する有形力の行使)の故意があり、その結果、その車両が人を死傷した場合は傷害罪or傷害致死罪が成立するからです。

 そこで、本件の場合も、犯人が「靴を履き替えようと助手席下のサンダルを取ろう」とした際、前方を見ないでサンダルを取ろうとしたのであれば、過失運転致死ではなく、傷害致死罪を起訴できたのです。

 私が被害者家族から依頼を受けていたら、犯人が起訴される前に、担当検察官を説得して、検察庁内部で起訴罪名の再検討を行ってもらったと思います。