例えば,交通犯罪によってある人(被害者)が殺されたとき,被害者(遺族)は加害者に対し損害賠償請求します。その際,重要な損害項目に「逸失利益」というものがあります。
逸失利益とは,要するに,人をお金を稼ぐ機械のように見て,犯罪被害に遭わなければ,あと何年生きていくら稼げるかを計算し,それを,損害額とするものです。
そうすると,例えば,年1000万円を稼いでいた37歳の人が亡くなった場合,あと30年は働けたであろうから,1000万円×30=3億円が逸失利益であると言えそうです。
ところが,30年目に稼ぐはずの1000万円を満額,今,受け取ると,受け取る金額が多すぎることになります。なぜなら,その1000万円を貯金しておけば,本来その1000万円を稼ぐはずの30年後には利息が付いてくるからです。そこで,中間利息の控除という操作を行って,逸失利益を算定します。
ところで,この控除する利息の利率は,法律で決まっているわけではありませんが,裁判所は,民法の定める利率(法定利率)を借用して,年5%としています。
しかし,現在では,銀行の定期預金の利率が年5%などありえないのです。そこで,上記中間利息控除の趣旨から,もっと低い利率で控除を行うべきとの主張が裁判でなされるのです。
この点,今回の民法改正では,上記主張を封じるためか,①被害者が受け取る逸失利益等の算定についての「中間利息控除」について、5% とする規定を新しく作る,さらに,②加害者が,被害者に支払う遅延損害金の利率について年3%程度に軽減する,という方向が打ち出されているのです。
この①は,従来どおりで仕方ない面はあります。しかし,②は,従来は法定利率の年5%とされていたものを引き下げるもので,被害者にとっては厳しいことになります。
お金のことだから,どうでもいいとの意見もありえますが,賠償金が,被害者の命の代わりであることからすると,②で3%とするなら,①でも3%にすべきです。