スポーツクラブ店舗で行われているあるスタジオレッスンの一幕を見ていただきましょう。
イントラさんがあるブロックの動きを作り終わって、ブロック全体の動きを繰り返します。
最初はイントラさんが一緒に動きますが、特に問題がないと判断するとイントラさんは動きを止め、デッキに向かって音楽のピッチや音量を調整します。
この時イントラさんの視線はデッキ。
そして、振り返ってメンバーさんたちの方を向いた瞬間
「ありゃりゃ?何故こんなことに・・」
という事態になっていることがあります。
よくあるのはスタジオ全体が崩壊している状態。
言い換えると、ほどんとのメンバーさんが止まっている状態です。
次にあるのが全体の動きが合ってなくて、異なる動きをしているグループがある状態。
これ、ゴールドジムでは結構あります。
皆さんご存知の通り、ゴールドジムのスタジオは大変狭く、参加者はだいたい20名ぐらい。
スタジオの右半分(右グループ)と左半分(左グループ)がキレイに分かれることがあるんです。
ゴールドジム以外のスタジオでは動きを止めてしまうメンバーさんが多いかもしれませんが、ゴールドジムではそんなことしません。
ゴールドジムのメンバーさんたちは自分に自信を持っていますから。
そして、動きを止めてしまうとは自分たちが間違っていることを認めることになるのです。
もし
「私たちが間違っているかも・・・」
と思って動きを止めてしまったら、それはもう『裏切者』。
来週からそのグループには『裏切者』の居場所はありません。
だから、両グループのメンバーさんたちは一致団結してイントラさんにアピールするんです。
「合っているのは私たちで~す」
「こっちのほうが合ってま~す」
そして相手グループに対しては・・・・
「早く私たちの動きに合わせなさいよ!」
「そっちこそ。動きが抜けてるからカウントが合ってないんでしょ!」
さてイントラさんは・・・
まず若手イントラさんの場合は、ほとんどの場合、一度動きを止めてブロックの最初から始めます。
反対にベテランイントラさんの場合は、両グループを見比べて判断し、どちらかのグループの動きを引き継ぎます。
どちらかのグループを『正解認定』して動き始めるんです。
そして、『間違い認定』を受けたグループは、渋々相手チームの動きに合わせます。
しかし、イントラさんの判断が必ずしも正しい訳ではありません。
間違っていたグループの動きを引き継ぐと、当然ブロックの終わりのカウントは合わなくなるんです。
その場合、
「あれ?カウントが合わない」
となって、動きは最初からやり直し。
さて、ここで皆さんに正しい動きをしていたのに『間違い認定』を受けたグループのメンバーさんたちの気持ちを考えてもらいましょう。
もしかして、イントラさんや相手グループを恨んだりしてると思ってませんか?
話を続けましょう。
イントラさんは間違っているグループの動きを選択してしまいました。
でも、ちょっと考えてみてください。
最初から間違っていると分かっていながらそのグループの動きを選択すると思いますか?
イントラさんはそちらのグループが合っていると思ったから選択したのです。
人間は誰しも間違えることがあります。
問題は間違えたイントラさんや相手グループにあるのではないんです。
イントラさんに選択してもらえなかった自分たちの中に問題があるんです。
要するに日々の努力が足りなかったから、イントラさんに信頼してもらえていなかったんです。
なので、正しい動きをしていたのに『間違い認定』を受けたグループのメンバーさんたちは、その悔しさからもっと努力することを誓います。
そして間違っていたのに『正解認定』を受けてしまったグループのメンバーさんたちは・・・・・
最終的にカウントが合わなかったことから、自分たちのグループの動きが違っていたことを悟ります。
「せっかく選んでもらったのに間違っていて、イントラさんにも申し訳ないし、相手グループにも申し訳ない」
「自分たちの気持ちが弛んでいたからこうなったんだ」
そして、これからは気を引き締めていくことを誓います。
こうして、ゴールドジムのスタジオレッスンは日々進化していくんです。