初めて飼った犬は、コロと言う真っ黒な雑種犬でした。


小学校5年生のある日


父が


お前、犬欲しいか!と


犬が大好きで大好きで

小さな頃から犬の図鑑や躾方の本を読んでは

夢見ていた私は


う、う、うん!行く!と


夢のような気持ちで父の車に乗りました。


会社の人の家の犬が子どもを産んで


たくさんいるからもらってくれないかと言われたようで


父はカッコつけたかったのだと思います笑


動物好きな人ではないので



連れられたところには


茶色や黒、虎柄のムチムチの子犬がたくさんいました。


すぐに、真っ黒のムチムチを捕まえて


この子がいい!


そして、うちの子になりました。



コロコロしてるから、名前はコロ!


私が決めました


母は、


何にも聞いていない!なんで急に。。。と言いながらも


子どもの時からシェパを飼っていて犬は大好きなので


許してくれました。


きっと母は、


自分が全ての世話をする事になるとわかって


父に怒ったのだと思います。


それからコロは


だんだん大きくなって


20キロの中型犬になりました


毎日、お散歩は母と私と妹で


ご飯はみんなの残りごはん


お給料日は、みなさん懐かしのペディグリーチャム!



子どもだった私


毎日のお散歩に


飽きて行かなくなりました。



母とコロの間では


お散歩の後にファミリーマートに寄って


コロにマテをさせ


ちくわを買って、ちくわだけ別の袋に入れてもらい


コロに持たせて帰ると言う


楽しいことをしてたようです。



ある日の夜のお散歩で


いつものようにマテをさせようとしたら


コンビニ前に


当時のアルアル



ヤンキー集団がうんぴ座りで

たむろっていたみたい。


でも、コロはちゃんとマテをして


ちくわをくわえて帰ろうとしたその時、


ヤンキーが立ち上がり



オレ達も、おばさんみたいな人に育てられたら良かったなーと


言ったんだって


コロは


遊びも、ちゃんと待つと言う躾も


スリッパかんじゃだめ!も、みんな


母から教わったんだね





当時我が家は、


両親の勤める会社の敷地の中にある一軒家に住んでいました。


お昼休みになると、会社の犬好きなおじさん達が[今の私と同い年くらいです)


広いガレージに出てきて、うちの庭のゲートを開けてコロを連れ出しました


会社の男性みんなに可愛がられたコロ


サッカーしたり、


鬼ごっこしたり


今思うと


人間の方がいやされていたのかもしれません



ある日、いつも通り遊んでいたら


ガレージの門、学校の門みたいな大きいのが少し


開いてて


ボールがそこから飛び出しました


コロも追いかけて飛び出して



その瞬間、車にはねられました。



1番、コロに信頼され、コロを大切にしてくれてた会社の人が


首から血を流し意識のないコロを


会社の車に乗せ


病院に走ってくれました。


午後の仕事のこと、会社の車を汚すこと

何も考えずコロを助けるためだけに


その対応が早かったおかげで


コロは一命を取り留めました。


面会に行ったら


首が血でタプタプにたるんでいて


見たこともないオリに入れられていたこと


寂しそうな、元気ない初めて見たコロの顔を今も思い出します、



その後


元気になったコロ



避妊をしていなかったので


近所の野良犬との間に子どもを産みました。


外飼いだったコロ


みんなでハウスの中に新聞や毛布をたくさん敷いて


ある朝、何匹か赤ちゃんが生まれました


羊膜を舐めて取り、おっぱいをあげて


小さくコロコロしていたコロは


立派なお母さんになりました


子供達とコロと、会社の芝生の公園で遊びました



そして


子供達はみんな


もらわれていきました


コロはとても


寂しそうでした


学校で辛いことがあった時


親に内緒でコロを庭から家に入れて


新聞紙の上で一緒に寝たり



コロの匂いが大好きだった




高校1年生の時


社宅が古くなったから


引っ越さなければならなくなりました



みんなで、犬が帰るマンションを探しました


みんなで内見に行って


でも


叶いませんでした


まだ子どもの私には何も出来ず


コロは、埼玉の犬好きの叔父のところに行く事になりました



お別れの日


トラックで来た叔父の車に乗せられて


コロは泣き叫んでいました


我慢してたけど限界で


やだ!やだ!返して!と走る私を抱きしめて止めた母


きっと私よりずっと

辛かったと思います


そこから、楽しかった家庭の火は消え


誰も何も話しませんでした。


コロの話をすると父に叱られました


父も責任を感じてたのだと思います




犬好きの叔父にもらわれて


幸せに暮らしていてほしいと毎日願うしかできることはありません



月日は流れ


30歳くらいの時


親戚から突然聞きました


コロは、もらわれた後すぐに


いなくなってしまったと


探したけれど見つからなくて


うちの母に連絡があり


毎週末、


両親は埼玉に行きコロを探していたようです。


結局


コロは見つかりませんでした


家に帰ろうとしたんだよね




ごめんね


私には何も出来なかった


誰かが捕まえてくれたのか


どうなってしまったのか


インターネットのない時代です


何もわかりません


コロはとっても優しくて思いやりがあり


悲しい時


そっと近くにいてくれた


共働きだった両親のかわり


お母さんのような、


きょうだいのような存在でした




私のはじめての犬


コロ。


決して人間の都合で


命を左右してはならないと


私に教えてくれました