悪阻は余り治まる事なく、定期的に点滴を打つ日々が続く。
主治医が心配して入院を勧めてくれたが「こいつは大丈夫やから」と勝手に断り
家に帰ると「お前、面倒くさい。妊娠は病気じゃないのになぜ入院なんや!俺に恥欠かすな!」
と殴られる。

何がよくて何が良くないのかわからなくなってくる。
毎日ビクビク生活をして、お金をくれないので僅かな貯金を切り崩しながら検診費用、栄養の取れるものを購入。

生まれてくる子供のグッズ等も買ってはくれず、頭を下げてお下がりを頂く。
私とお腹の子はないがしろにされながら、先妻の子はよく泊まりにくるし、私に無理難題を押し付けてくる。

笑顔になれないと主人から殴られ、暴言を吐かれ「お前は去ね!」と何度も言われる。

精神的におかしくなっていたんだろうと思う。


こんな場所から解放されたい・・・けど逃げ場所がない。


暴力が酷過ぎ、何度か警察を呼ぶが主人の愛想に騙され私が悪いと注意をされる。
警察って弱者の味方じゃないから、助けを求めてはいけないんだ・・・。

逃げれない。

逃げると見つかりまた殴られる。

もう自分の存在価値すらわからなくなってくる・・・
監視される日々

ご飯を食べても体重も増えない私を心配してくれる主治医。

ただ一つの希望はこんな私のお腹の中でも小さいながらも大きく育ってくれている命だった。


ある日彼が「お前の家に挨拶にいくぞ」といい

私は「えっ?本当に!?嬉しい音譜」といいつつ・・・何かたくらんでるって思ってた。

だって、あの自己中な彼が、自分の家族の事しか頭にない彼が私の実家にいくなんて

ありえないって知っていたから。


案の定、私の実家へ行くなり

父に「こいつは大阪で出産させるから、心配いらないから」とだけ言って

ほんの1時間程度実家へお邪魔し、その後彼の実家へ。。。。

私は久しぶりの実家だったからゆっくりしたかったし、田舎で出産したかったのに私の意志はそこでも

勝手に無視されたのだ。


彼の実家では

「こいつ、悪阻なんて当たり前なのに大げさに騒いで最悪やった」

とか

「おかんになるのに気が弱くて最悪や」

とか

私を褒める事は一度もなく、自分が私のせいで苦労している事を印象付けていた。

私の初めての出産は・・・彼に勝手に取り決められて行った。

私の意志や、思いは通じることなくだ・・・
妊娠中ひどい悪阻に悩まされ

増えない体重と私の体力を心配してくれた主治医


「今は小さな命を育ててるんだから頑張ろう」

そんな・・・そんな一言が私の強い支えになっていた。

実家に帰りたいけど帰れなかった。

私の事を心配してくれて、いつもなきながら電話していたお姉ちゃん。

いつも・・・こんな勝手な私に


「帰っておいで。一人じゃないよ」といい続けてくれた。

だけど帰れなかった。

なんでだろう。。。

あの時は帰りたいというと

「お前は逃げるんだろうが、そうはさせない。お前の親父もただじゃすまんと思え」って毎日言われていた。

母が亡くなってから不器用ながらに私を育ててくれた父には感謝している。

私が逃げるという事は=父にも何か危害を加えるつもり

なんだという事は彼および彼の周りを見ていれば判った。

皆・・・普通じゃなかったから。

私はある日震える唇にキュッと力を入れ彼に言ったんだ

「私、実家に帰って子供を産みたい」

その一言が彼を怒らせたみたい。

私は3度目の包丁をお腹に向けられた。

何度この光景を見たことだろう。

何度、彼に訴えた事だろう。

私の思いは彼に通じる事はなく・・・再度言われたんだ

「お前とガキ殺すぞ」って。



ホント殺して・・・・。

もう殺してよってその時心底思った。

ここで死ぬことが出来たら、私はお腹の子と永遠に暴力・脅迫に悩まされることなくずっと幸せに居れるんだって

心底思った。

私は彼に言った

「いいよ。私とお腹の子一緒に殺してよ。そうしたらあなたと前妻の子供そして前妻はなっとくするんでしょ?」

って。

その瞬間、彼の信頼する人が部屋に入ってきた。

そして彼の事を止めている・・・けど聞こえた

「悪いのは彼女の方だけど・・」って

悪いのは私?

ただ・・実家に帰って出産したいって言っただけだった私が悪いの?


もう孤独感でいっぱいだった。

私は益々彼らに心を閉ざしていったんだ。

そして「なんであの時殺してくれなかったんだろう」って悔しさと恐怖と入り混じり・・・自分の思考回路が崩壊していくことに気がついていたけど・・止めることはできなかった。