田村 笑美 official blog-091227


マイケル・ラドフォード監督作品、
『イル・ポスティーノ』 (1994 伊・仏) 


※ネタバレあります。


主人公のマリオを演じるのは、
俳優Massimo Troisi。

まばたきひとつ、
口元の動きひとつ、
鼻をすする姿ひとつ、
おろおろする表情ひとつ、

あまりに人間的でリアルなので、
この人は”役を演じている”のではなく、
ここで生まれ育った普通の人なのか?と思いながら。


木々が揺れるザワザワとした音、
海岸の波の音、岩に風が当たる音、
それらを愛したマリオの表情に、動きに、
人の真っすぐさや、本当の美しさを観ました。


マリオが悲しいとき、私も悲しくなって、
マリオが嬉しいとき、私も笑顔になりました。


物語の最後、
マリオは、ある暴動に巻き込まれて死んでしまいます。

集中して映画を観ていても
まったく想像しなかった結末にびっくりしました。



エンドロール、
「Massimo Troisiに捧ぐ」。。。


俳優Massimo Troisiは、この映画の撮影の後、
わずか12時間後に亡くなったそうです。
見終わってから調べて知りました。
41歳。。。


さっきまで映画の中で一緒にいたのに。
Massimo Troisiを、もっと観てみたかった。

マリオの友、パブロ・ネルーダを演じたフィリップ・ノワレ。
マリオの死を知った後、彼の海辺での最後の表情が忘れられません。


ノワレと同じく、
私の心の中が空虚です。