この映画を観た後長く深い呼吸をした。心が落ち着いた。是枝監督の作品は、誰も知らない、海街diaryなどいくつかみていたが、今回は共感できる部分が多くあった。

現代人は、すくなからず誰もが都会の生活の便利さを知っている。多くのものや情報を操りながら、それぞれが向かうべき方向へつき進んでいく。その一方で何かを失っていることにも気づいているが、毎日の生活に追われてなかなか顧みることができない。この映画に描かれているそのような部分に多くの人が共感しているのではないかと思う。カンヌの審査員賞を受賞したということは、国など関係なく同じような現象が起きているんだと思った。

是枝監督は一貫して同じようなテーマで映画を撮っている。主人公や、設定は変わるが、現代の問題をただ否定するのではなく、それに真摯に向き合う人の魅力をひきだして、観ている多くの人の心に寄り添うような映画だ。それは、本人が生きてきたこれまでの人生の中で感じているものなんだろうと思った。