ティクシアの澄んだ歌声が、森の中を駆け巡る。
『8番目』は、相変わらず
歌による変化に気づかず、余裕の笑み。
だが、刻々と勝利の女神は レギンとティクシアに笑いかけていた。
歌魔法は、とっくに効果を見せていた。
歌魔法は、口から発する音に 魔力を乗せて空気を振動させて
その歌が届く範囲に 効果を発動させる。
つまり、音が届かない無重力の世界以外では、効果を発揮するのだ。
それは、“者”ではなく“物”でも・・・。
「・・・助けてくれてアリガトな」
ティクシアの歌魔法が止まって、自然に言葉が出てきた。
「後は、お任せします」
そう言って微笑みかけてくるのが見えた。
どっちにしろこのタイミングで失敗したら、貧血で倒れて終りなのだ。
剣を握りしめ、自分へと向かってくる鎖とその先の『8番目』の方を見る。
「向ってくるんだ・・・。死ぬ覚悟は、出来てるんだね」
元の愛らしい表情を だいぶ崩し、ニヤニヤと笑う『8番目』。
「死ぬ覚悟・・・、お前のほうが いるんじゃねーの?」
地面を蹴って、一気に走り詰めよる。
「あたしのもとに来る前に、鎖で、貴方の全てを縛ってあげるわ」
そう言って、唇を軽く、艶やかに舐めて、レギンをにらむ。
しかし、その吸い込まれるような瞳が、揺らいだ。
「・・・どういうこと?鎖が・・・、鎖に宿した魔力が・・・」
余裕の笑みは過去のものとなり、喘ぐような口調に変わった。
「あなたの鎖に宿る魔力は、私に移動させました」
「っ!!!じゃあ、もしかして・・・」
「そうです。あなたの鎖は、すでに 私が主導権を握っています」
鎖の動きが変わった。
レギンを標的に、寸分狂わず動いていた鎖が、
『8番目』を標的に動きだす。
続く