初めて読む、近藤史恵さんの作品。
「あとがき」を読んで知ったのですが、近藤史恵さんはデビュー以降、大藪賞を受賞するまで約15年かかったのだとか・・・
私が好きな言葉の一つに「大器晩成」があるのだが、デビューから15年もずっと書き続けることは、苦しい時間もあったのではないだろうか。
いいこともあれば悪いこともある。
人生は潮の満ち引きに例えられることがあるように
何をやってもうまくいくと感じる時期がくれば、何をしてもうまくいかないと感じる時期もある。
一つのことを続けていく難しさ
この歳になるとよくわかる。
近藤史恵さんの人柄を垣間見た気がする。
主人公は21歳の久理子。
バイト先のファミレスの常連である「国枝老人」と、ひょんなことから近所の公園で会い、ご近所問題を解決していく。
21歳の久理子が、「国枝老人」を邪険にしたり馬鹿にすることなく、一人の人間として接していることが嬉しく思う。
年齢を重ねるたびに、若い頃のように動くことは難しくなる。
歩く速度もゆっくりになり、生活リズムも変わってくる。
傍から見ると「おじいちゃんと孫」のようであるが、当の本人たちからすると、年の離れた友人関係なのだろう。
本の中の一節
そう、焦らなくても、人生は長い。国枝と同じ景色が見えるようになるのには、気の遠くなるほどの時間があるのだ。
国枝老人の年齢は不明だが、おそらく70代後半。
久理子との歳の差は50歳とするならば、21歳の久理子からすると「気の遠くなるほどの時間」だろう。
21歳の時の私も同じだ。
すでに祖父は他界しており祖母しかいなかったのだが、祖母の歳になるまで無限に時間があるように感じていた。
時間は無限ではなく限りあるもの。
若い頃には気づかなかった大切なこと。
私が国枝老人と同じ年になると、どんな景色が見えるのか。
楽しみではあるが、とりあえず今見える景色を目に焼き付けよう。
