お借りした本の背には¥360と値段が印刷されてました、笑

古っ!!!

そんな時代で文庫が買えた時代があったのねえっ
まだ生まれてないころに書かれたんだなぁ。

無常の月
ラリイ・ニーブン(著)ハヤカワ文庫SF

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某アーティストのCDアルバムのような構成の短編集。
きっちり練り込んで並びを組んであるみたい。

ここは、編集者のスキルがものすごい高かったんだろうな。

でで、肝心の内容もしーーーーっかり「聴きごたえ」ありましたよ!

■前半 
<多元宇宙ものホラー風味な正統派SF>


今この瞬間には「私がこの本を読む」「読まないで、別のにする」「てか、寝る」と、いろんな選択肢があるわけですよね。「本を読んだ」私の未来と、「読んでない」私の未来は、必ず別々のものになります。

多元宇宙ってのは、今「読む」を選んだ自分以外にも「読まなかった」自分がいる世界があるはずだ、というのを前提にしたアイデアです。

選択それぞれに対応する未来が隣の次元(だか宇宙)だかに存在している。ヴィジュアルで表現すれば、無限大に枝分かれして伸びていく木のような宇宙です。各枝の先が、同時に存在する未来というわけで。

と、素人による無理矢理解説でした!そのアイデアを活かしたちょっとホラーちっくな話が中心で、出だしはかなりよい感じ。

■中盤 
<ファンタジィちっくな話。魔術師ものとか>


いきなり雰囲気変わります。でも、魔法の原理が妙に科学っぽいのがキモ。だんだんノリが緩くなっていく。

■後半 
<不可思議な考察は、真面目にやるほどギャグ>


・異星人であるスーパーマン(地球名:クラーク・ケント)が地球でどうやって子孫を残せるのか、至極真面目に考察していて、その真剣さがオモチロイ。スーパーマンの映画を観てから読んでください。

ほか、テレポーテイションとタイムトラベルに関する、至極真面目な(そして真面目なほど吹かずにはいられない)考察が収録されております。こちらは、古典SFに出てくる上記概念に馴染みがあるほど楽しめます!!

■メインディッシュ 
<無常の月>


或る夜、ロサンゼルス。突然に輝きを増した月の意味。そこから導きだされる、近い破滅の予測。そして、真実を知った人間たちの様々な行動。

輝く月のイメージがあまりにもビジュアル的に訴えてくる作品です。

ここまで面白シリアス考察で変な方向に上がったテンションが、この作品ですっと音をたてるみたいに下がって、その温度差がより銀色の月のビジュアル感を高めてくれます。心理描写をしっかりたどった映像作品で観てみたい。さもなくばトムクルーズが出てたあの終末系映画のよーになってしまうでしょう(それは勘弁!)

■締めにはこちらを 
<正統派でユーモアに満ちたSF>


さて、最後はSF的ユーモアたっぷり、長さもちょうどよい小作品2本で締めくくってください。中盤、SF短編集ってのをちょっと忘れかけたのを、きっちり軌道修正してくれます。あー、面白かった!


さて。

アンソロジー内の短編の並べ方ってのは、それだけで本の善し悪しを左右するみたいです。この並びがまったく違ったら、たぶんまったく違う印象だったはず。

余談

ちなみに、宇多田ヒカル好きなんですが、彼女のアルバムの構成はいつもストーリーがあってとっても好きです。「DEEP RIVER」の、SAKURAドロップスの小雨から、DEEP RIVERの河ー海への流れ、すごく隙のない構成でした。最近は「ULTRA BLUE」の構成が良かった。聞けば聞くほど、アルバムだけの曲の良さが際だってきちゃって、そっちばっかり聴いてたけれど、また通しで聴こうかなーっとニコニコ

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