田中麗奈さんが主演した映画でご存知の方も多いかも。
ダイアログとイマジネーションのスプラッタホラー。
玩具修理者
小林泰三(著)角川ホラー文庫
短編と中編、2作入ってます。
○玩具修理者
表題作の短編は、映画のアレです。や、みたことないんですが、xx目の田中麗奈さんイメージ、かなり湧きました。語り手の女性の「秘密」を握る、玩具修理者なる人物の思い出を、ダイアログ、というか独り語りで説明していく入れ子細工のようなホラー小説。
壊れたおもちゃを、大人に内緒で何でも直してくれる玩具修理者。ある真夏の日、事故で弟を殺してしまった姉が、死んでいる弟を「直す」ために持って行った先は…
文章全体とぬめっとした感触と、ほとんど印象のみ、そして「変な声」だけで語られる修理者の存在感がとにかく後に引きます。追憶の語りがメインですが、色はセピアではなく、東欧アートの鈍い色。重い。
オチはある意味、よくあるびっくり映像です(これ言っちゃ駄目かな)でも、オチより、そこまでの語りがメインの話だと思うので、まあいいか。
○酔歩する男
こちらも、或る男の独り語りがメインの中編。テーマは時間移動です。わたし、ちょっと途中のとこ小難しくてついてくのめんどくさくなっちゃいましたが、笑。SF風味のホラーなのか、またはその逆か。
ある酒場で偶然にあったある男は「私」を知っているらしい。知っているどころか、親友だったと主張する。大学も、職業も、昔書きためていた詩集のタイトルさえ知っている謎の男。けれど「私」は彼を知らない。納得のいかない「私」は、彼がなぜ「私」の友人たりえるのか、説明を求める。
彼の語りだした「私」との関係をめぐる物語には、もうひとり「てこな」と言う名の女性が登場する。「私」と彼を巻き込んだ三角関係を曖昧にしたまま、電車事故で死んだ彼女。彼が彼女に再開し、死んでしまう過去を改変するために選んだ道とは、脳の「時間を司る器官」の破壊だった。その実験に身を投じた二人が経験する世界は、現実なのか、それとも幻想なのか。
理系の説明が多いです。あと、移り往く過去と未来の描写は、流れ出してくる支離滅裂の演出がそれっぽくていいですね。エリスンとかお好きなら良いんじゃないでしょうか。でも、美しさとかリズムを重視した文章ではないので、個人的には好みじゃないです。割と疲れます。
ただシュレディンガーの猫理論については、今までよく耳にする割に理屈がよくわかってなかったんですが、この本がかるーく説明してくれたおかげで何となく理解できました。ありがとう。にゃん。
興味があれば、こちらで是非どうぞ。
アマゾンインスタントストア「夏への扉」へ。
拍手がわりにクリックお願いしまーす^^
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玩具修理者
小林泰三(著)角川ホラー文庫

短編と中編、2作入ってます。
○玩具修理者
表題作の短編は、映画のアレです。や、みたことないんですが、xx目の田中麗奈さんイメージ、かなり湧きました。語り手の女性の「秘密」を握る、玩具修理者なる人物の思い出を、ダイアログ、というか独り語りで説明していく入れ子細工のようなホラー小説。
壊れたおもちゃを、大人に内緒で何でも直してくれる玩具修理者。ある真夏の日、事故で弟を殺してしまった姉が、死んでいる弟を「直す」ために持って行った先は…
文章全体とぬめっとした感触と、ほとんど印象のみ、そして「変な声」だけで語られる修理者の存在感がとにかく後に引きます。追憶の語りがメインですが、色はセピアではなく、東欧アートの鈍い色。重い。
オチはある意味、よくあるびっくり映像です(これ言っちゃ駄目かな)でも、オチより、そこまでの語りがメインの話だと思うので、まあいいか。
○酔歩する男
こちらも、或る男の独り語りがメインの中編。テーマは時間移動です。わたし、ちょっと途中のとこ小難しくてついてくのめんどくさくなっちゃいましたが、笑。SF風味のホラーなのか、またはその逆か。
ある酒場で偶然にあったある男は「私」を知っているらしい。知っているどころか、親友だったと主張する。大学も、職業も、昔書きためていた詩集のタイトルさえ知っている謎の男。けれど「私」は彼を知らない。納得のいかない「私」は、彼がなぜ「私」の友人たりえるのか、説明を求める。
彼の語りだした「私」との関係をめぐる物語には、もうひとり「てこな」と言う名の女性が登場する。「私」と彼を巻き込んだ三角関係を曖昧にしたまま、電車事故で死んだ彼女。彼が彼女に再開し、死んでしまう過去を改変するために選んだ道とは、脳の「時間を司る器官」の破壊だった。その実験に身を投じた二人が経験する世界は、現実なのか、それとも幻想なのか。
理系の説明が多いです。あと、移り往く過去と未来の描写は、流れ出してくる支離滅裂の演出がそれっぽくていいですね。エリスンとかお好きなら良いんじゃないでしょうか。でも、美しさとかリズムを重視した文章ではないので、個人的には好みじゃないです。割と疲れます。
ただシュレディンガーの猫理論については、今までよく耳にする割に理屈がよくわかってなかったんですが、この本がかるーく説明してくれたおかげで何となく理解できました。ありがとう。にゃん。
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