「マジョのシマ」は、残酷な魔女の支配のもと外部と隔絶された島を舞台にした謎解きアドベンチャーゲームです。細密で美しいドット絵グラフィック、ミステリアスで幻想的な雰囲気、魔女と島の謎が徐々に明らかになる読み応えのあるストーリーがとにかく秀逸で、無料配信されているのが不思議に思えてくるほど完成度の高いタイトルです。運営は「アルパカにいさん」などの奇ゲーで知られるCOCOSOLAですが、プレイすればきっとそのイメージが覆るでしょう。
暖かな民家の灯り、霧で曇っている魔女の城、雲の隙間から見える月と星空、もうドットで描かれているのが信じられない空気感!
島の全景からぐーっとある一軒の民家に近づき…
そこには一人の少女が。
ある晩、少女は突然魔女にに「盗賊に盗まれた壺を朝の4時までに探してこい」と命じられます。ここの住人は魔女に支配され、その指示は絶対。もし4:00までに壺を探さなければ魔女に殺されてしまいます。このゲームは制限時間が設定された謎解きアドベンチャーなんですね。ちなみにこの魔女の話を聞いている間も刻々とゲーム内の時間は過ぎていきます。会話パートは早送りすることもできますが、早送りしたところでゲーム内の時間も連動して早送りになるだけで時間の節約にはなりません。
とにかく急いで行動しないと!主人公もそうですがプレイヤーも焦ります。主人公とプレイヤーの心理状態がリンクするのも本作の面白い要素の一つです。
まず最初にやることは、開いているお店や民家に入って片っ端から住民の話を聞くこと。鍵がかかっていたり「zzz...」(寝ている)と表示されているところには入れませんが、寝ている家は時間が経つと起きて入れるようになります。
島の住民たちは謎解きには直接関係のない世間話や愚痴を吐露したりしますが、それらの会話から島の現状が少しずつ明らかになっていきます。島の住民は魔女の呪いのため島外へ出ることができず、また島外から上陸した外国人もまた魔女の呪いによって記憶を失い島に取り込まれてしまいます。そして住民たちは魔女の気まぐれで生贄に…。なぜ島はそんな魔女に支配されているのか?なぜ住民たちはそんな魔女にされるがままになっているのか?謎が謎を呼びます。
住民の話は一見取り止めのないものばかりに見えますが、ちょっとしたところにストーリーを進めるヒントが隠れています。
また住民と話すごとにキャラクター図鑑に登録され、いつでもバックグラウンドを確認できるようになります。どうやらこの図鑑をコンプリートしたかどうかもエンディングに影響するらしいので、先を急ぎつつもできる限りたくさんの人と話さなければなりません。
島の一番上の層はほとんど空き家になっていて、その中央が木々で埋もれています。おそらくここが魔女の城への入り口ですが、一体どうすれば入れるようになるのでしょうか?
若者は魔女を憎んではいても恐れてはいない様子。過去を知っている老人だけが魔女を恐れつつも敬っているようです。昔は悪い魔女ではなかったのかも?
こうして住民の話を聞きながら島のあちこちを巡ると、自然と島の形状や島の状況、歴史、文化といったゲームの設定がすんなりと頭に入ってきます。そして特定の場所で特定のことをするとストーリーを進めるヒント「キー」が開放されたりカットシーンが再生されたりします。この「キー」のおかげで謎解きとはいえ簡単にどういった行動をすればいいのか分かるので、謎解き初心者でもスムーズにプレイすることができます。
ところが何かを聞き出そうとしたまさにその時、盗賊は魔女の呪いによって記憶を失ってしまいました。せっかく謎に迫ったと思ったのに…
なお、「キー」は特定の場所で特定の行動をすると開放されますが、どうしても分からない場合は動画広告を視聴することで開放することもできます。時間がない時は手っ取り早く広告を見た方がいいかも。
島の中にはいろいろな建物がありますが、一回訪れたところも再度行くとまた違ったキャラクターや物、新たなルートが登場することもあります。
最初来たときには特になにもなかった鐘楼に猫と肝心の「魔女の壺」があるのを発見!しかし当然これでクリアではありません。
主人公の少女は、この壺をただ正直に魔女に渡すのではなく、島のためにこれを使って戦うことにしました。
そうして少女は島の中を探索し、島のあちこちに隠されていたかつての魔女に関する情報を得ていきます…が、
あと少しで魔女の城へ行ける!…というところでタイムオーバー!あとゲーム内時間が30分あったら間に合ったのに…
ということで最初のプレイはマバッドエンドになってしまいました。
ただどのようなエンドであってもリプレイすることは可能で、リプライの際はキャラクター図鑑とキーを前のプレイから引き継げるようになっているので周回はかなり簡単になっています。一回あたりのプレイ時間は少ないですが、周回させることによってじっくりゲームの世界観を堪能させようという意図なのでしょう。とりあえずもう一回やってみたいと思います。