静かに笑う -2ページ目

静かに笑う

りっくと夫の日常との格闘日記。

ぼんやりと部屋を眺めてから、もう一度掃除機のスイッチを入れた。

つい1時間前までは掃除機をかける隙間さえないほど散らかっていたけど

なんとか片付いてきた。


床のゴミを一気に吸い上げながら、りっくは昨日の旦那さんの言葉を思い出す。


【そしたら、子供でもつくろうか?】


突然そんな事をいった旦那さん。

昨日からずっと考えてるけど、

やっぱりそれらしい答えは出てこないから、りっくは昼から掃除を続けてる。

考え事をするときは大掃除に限るもの。


りっくの旦那さんは、【ゆっくり生きる人】。

ゆっくり、っていうのは別にのろまだって事じゃないんだけど

人生のペースが、りっくにくらべて【ゆっくり】。


付き合い始めたのも、最初のHも、結婚も、全部とっくにりっくが

気にしなくなってからやってくる。

慎重で、現実主義で、決して無理はしない。

だからりっくはいつも拍子抜けで、きょとんとする。

【今なの?】って。


もう5年も一緒にいたら少しは慣れてきたけど

このゆっくり生きる人には驚かされてばっかりのりっく。


だって、ついこの間まで【うちは、子供はいらないね】っていってたんだから。

別にりっくが子供が欲しくてたまらない、ってわけではないけど

もちろん、欲しくないわけでもないけど。


いつもかけ足で生きてくりっく。

だけど、さすがにひとつの命をはぐくむって事はそう簡単に決められない。

大切に、大切に、そして正しく、って難しいことだと思うもの。

ちゃんと心の準備ができないとって尻ごみしてしまう。


・・・かわいいかな?かわいいだろうな。

大事に、大事に一緒に育つんだろうな。

でも、もしも何かが起きたら?


色んな事を考えてしまうからりっくは子供の事はちょっとおいておく事にした。

でも、おいておく事にした矢先に、コレだもの。

やっぱりきょとんとしてしまう。


【なんで、そう思ったの?】


って聞いたけど、旦那さんはきょとんとしてるりっくの方が面白いみたいで

あんまりちゃんとは答えてくれなかった。


また気まぐれでいったのかな?

いつもひとりではしゃいであとからがっかりするんだから。

そう言い聞かせて、掃除機のスイッチを切る。


【片付かなかったなぁ・・・・】


部屋の片隅には、昨日買った本棚に収まりきらなかった本たちが

山積みになっている。


本が片付くころには、

もう少し、前にむかって歩けるようになるのかな?


だけど今は、自分たちのペースで。

人より歩みが遅くても、りっくはちゃんと旦那さんを待ってる。

たまにおいていっちゃうけど、ちゃんと戻って探しにくるよ。


はみ出した本を1冊手にとってそっと戻した。