【チャペックの兄弟の世界】「郵便屋さんの話」 | チェコチェコランドのイベント・商品情報ブログ

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チェコアニメのキャラクターたちを中心にチェコの絵本などを紹介しているチェコ・チェコランドのイベント・商品情報ブログです。

いろいろなチェコアニメを

ご紹介しておりますが、

本日からは

チャペック兄弟の作品について

ご紹介いたします。

 

チャペック兄弟は

チェコのおとぎ話の”元祖”と言っていい存在です。

弟のカレル・チャペックは

多才な才能を発揮し、

おとぎ話だけでなく、小説、戯曲など散文も書き、

ジャーナリストや編集者としても活躍しました。

「ロボット」という言葉を作り出した人物として有名で

”ノーベル賞に最も近い人物”と呼ばれました。

 

兄のヨゼフ・チャペックは

数百もの書籍の挿絵を描き、

今も世界中の多くの人々に

その素朴でのんびりした絵が愛されています。

 

19世紀末に生まれた

チャペック兄弟は

第1次世界大戦と第2次世界大戦の間という

世界史上最も過酷な時代に

活動を余儀なくされました。

時代に翻弄されながらも

たくさんの作品を残しました。

 

チェコの人たちは

苦しい時代の中、

チャペック兄弟の

ほのぼのした作品に

癒されていたのです。

 

チェコの多くの作家は

チャペック兄弟の作品を

幼少期に触れ、

影響を受けています。

 

国際アンデルセン賞を「ふしぎな庭」で受賞した

1912年生まれのイジー・トルンカも

 

"色彩の魔術師”と呼ばれ、

チェコの文化庁の”最も美しい絵本賞”の受賞歴も豊富な

1932年生まれのヨゼフ・パレチェク

 

チェコの宝、世界80か国で上映・放送・出版された

もぐらのクルテクの作者1921年生まれの

ズデニェック・ミレルも

 

生涯400冊以上の絵本の挿絵を描いた

1923年生まれのヘルミーナ・ズマトリーコヴァーも

 

みんなチャペック兄弟の絵本に

影響を受けて来ました。

 

ヤン・シュヴァンクマイエル2

あのシュヴァンクマイエルとだって

次の最後の新作にチャペックの戯曲をモチーフに

取り入れています。

 

悲惨な時代背景で最終的にはナチスに

追われ人生の幕を閉じることになった

チャペック兄弟ですが、

彼らの話は、平和でのんびりしたものばかり。

時代を訴えかけるものは一切ありません。

 

次の時代が平和で楽しくなるように、

その思いを次の世代に託すかのごとく、

彼らの作品は

「こんな世の中であればいいのになあ」

と理想に描く世の中のお話ばかりです。

 

その影響か

チェコのアニメや絵本には、

時代背景を反映したような作品は

なかなか見当たりません。

 

20世紀のチェコは激動でした。

1918年にハプスブルク家から独立し

千年近くのドイツ民族からの支配から逃れたものの

ナチスに管轄され、

ソ連に脅かされ、

1989年共産時代から資本主義に

180度国が変わり、

1993年スロヴァキアを分離し、

その後、EUに加盟し、

世の中が大きく変わることを

何度も経験した国です。

 

でも、

パレチェクの絵は、

どんな時代であろうとひたすら美しく、

 

トルンカの絵は、いつだって

幻想的で温かく、優しく

 

ズマトリーコヴァーの絵本は、

甘い匂いが漂うそうな

楽しい世界。

 

チャペック兄弟の残したものが

彼らに受け継がれています。

 

 

チェコの本屋さんには、

”絵本コーナー”というものはございません。

 

その代わり”Pohadky(ポハードキー)”と

書かれたコーナーがございます。

 

Pohadkyとは、”物語”、”お話”と言う意味です。

 

Pohadokyのコーナーには今も

チャペックの絵本が平台に置かれています。

 

元祖”ポハードキー”

チャペック兄弟のお話のアニメ

本日は、

チャペック兄弟の代表作中の代表作

「郵便屋さんの話」

ご紹介いたします。

コルババという郵便局員がいました。

 

コルババは、

毎日の単調な業務に

疑問を持ち、

郵便局員であることに

自信を無くしていました。

 

なので、仕事に身が入らず、

業務はたまるばかり…

 

でも、なんと郵便局には

”郵便の妖精”がいたのです。

 

 

コルババが仕事をしなくても

妖精たちが

テキパキ仕事をしてくれるのです。

 

しかし問題があったようです。

 

宛先の書かれていない手紙を

妖精が発見したようです。

 

 

妖精は中身を透視することができるようです。

本当は違反なのですが、

読んでみると

ある青年からの

プロポーズのようです。

 

でも宛先がわからなければ

配達できません。

 

一体、どうすればいいのでしょうか?

 

このことを知った

コルババの郵便局員としての

魂に火が付きました。

 

局長に相談し、

ラブレターの宛先を探し出すことにしました。

 

コルババはチェコ中を探しました。

 

 

壮大な大捜索です。

 

でも何のてがかりも見つかりません。

 

探し出してから

1年と1日が経ちました。

 

そこへ

ゆっくりとした運転の

1台の自動車がやってきました。

 

自動車に乗っている人たちは

なぜか喪服を着ていました。

 

コルババが事情を聞きますと

運転手が答えます。

「1年と1日前に出した手紙の

返事がもらえない」というのです。

 

「!」

差出人が見つかりました!

 

なんということでしょう!

 

なんでもトライしてみないとわかりません!

 

恋人の住所を聞いて

手紙を届けます!

 

車も気合が入ります!

 

空を飛び、恋人の家に向かいます!

…飛ぶんですね…

 

彼女の家は間近です!

 

1年以上も彼女は待っていてくれるのでしょうか?

 

…というわけで

差出人の運転手は、

結局自分で手紙を届けるわけですが(笑)

 

良い結末であればいいのですが…

…心配ありません。

 

チャペックのお話は、

間違いなくハッピーエンドです。

少し間が抜けた結末ですが…。

 

チャペックの世界、

心が明るくなります。

 

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