最終日12/26(木)はバルタとシュヴァンクマイエルの長編 | チェコチェコランドのイベント・商品情報ブログ

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京都みなみ会館

「チェコアニメ・クリスマス大フェスティバル!」
~京都に帰ってた”東のディズニー“!圧倒の160作品!~

https://kyoto-minamikaikan.jp/movie/2127/

2週間の京都みなみ会館の

チェコアニメ上映も明日が最終日となります!

 

最終日

12/26(木)は

チェコを代表する鬼才、

イジー・バルタと

ヤン・シュヴァンクマイエルの

21世紀製作の

長編映画を2作上映!

 

☆12月26日(木)18:00【年末は屋根裏のポムネンカ】(計79分)
チェコの人形アニメの集大成であり、21世紀の最高傑作の
「屋根裏のポムネンカ」。吹替上映ですので、お子様にもご覧頂きたいです。
“チェコアニメ最後の巨匠”バルタの21世紀の世界観!
屋根裏のポムネンカ(吹替)(2009年/79分)
監督・美術イジー・バルタ

 

 


 

「屋根裏のポムネンカ」は

いつもご紹介させていただいている

共産時代のチェコアニメの作品と違いまして、

21世紀の作品です。

 

弊社アットアームズが

出資をしたイジー・バルタ監督作品です。

 

 

詩的で芸術性の高いチェコのアニメは
“東のディズニー”と呼ばれ、
カンヌやベネツィア、ベルリンなどの
最高峰と呼ばれる国際映画祭での受賞歴も豊富で、
世界中の常に注目の的でした。
共産時代、チェコはアニメ制作は国策で進められていました。

 

 


当時のアニメ作家は配給や興収を気にすることなく
ひたすらアニメの表現方法を追求し、
そのクオリティに徹底的にこだわり、
数々の名作が誕生し、チェコアニメは
”黄金時代“を迎えました。

 

 


しかし、1989年共産主義が崩壊し、
国策でなくなったため
多くのアニメ作家は、金策に貧窮し、
CMのディレクターやポスターのデザイナーなど、
受注仕事を請け負うようになり、
アニメから離れていきました。

 


しかし、イジー・バルタ監督は
沈黙を貫きました。

 


「チェコアニメの魂」

-それは、
“妥協しない”ということです。

 


資金の技術もスタッフも、
万全を配し、

1ミリたりとも
妥協はしない、

それがチェコアニメの魂なのです。

 

 


でも、“国策”だった時代は終わり
“黄金時代”はもう過去のことなのです。

 

 


しかし、イジー・バルタだけは、
今の時代において唯一、一切の妥協を
拒み、高いクオリティを求め、

あらゆる表現を追求し続けました。

 


この姿勢こそが
“最後のチェコアニメの巨匠”と呼ばれる
所以なのです。
イジー・バルタも金策に困窮しました。
しかし、妥協しない姿勢が、
彼のアニメ制作をストップさせてしまいました。
低い予算の安易な作品制作を一切、拒んだからでした。

 


しかし、弊社アットアームズも含め

出資者を集め

1986年の「笛吹男」以来、
23年振りに制作した長編映画「屋根裏のポムネンカ」が完成し、
2009年発表されました。

 


イジー・バルタは言います。
「チェコアニメには4つの要素があります。
詩であること。
ファンタジーであること。
ユーモアがあること。
そして、

あらゆる表現方法が駆使されていること。
これらが揃ってチェコアニメなのです。」

 


屋根裏を舞台にしたこの作品は、
この4つの要素が
ふんだんに盛り込まれ
“チェコの人形アニメの集大成”と
呼ばれた作品です。



子供達にとって
おもちゃは一番の友達です。
でも、子供たちは
大きく成長するに従い、
屋根裏の奥におもちゃを置いて
忘れます…。

 


でも、おもちゃたちは
屋根裏で人間たちの知らない世界を
作っていたのです…!
夢と冒険の“屋根裏のファンタジー“!



☆12月26日(木)19:40【年末はシュヴァンクマイエル最大のホラー】(計123分)
見れば必ず元気を失くします…。
一年の締めくくりにこんな作品をご覧いただくのも一興…。
シュヴァンクマイエル渾身のホラー…。


ルナシー(2005年/123分)
監督・美術 ヤン・シュヴァンクマイエル


シュヴァンクマイエル作品は、
チェコの作品の中でも
異色です。

様々な作品がございますが、
美しい映像と心温まるお話のものが
多いです。

でも、シュヴァンクマイエル作品は
そういった人間の”優しさ”や”ぬくもり”を
見向きもしないです。

人の〝死”や、非常な現実を
必然としてとらえています。

「ルナシー」はその最たるものです…
 


いつも悪夢を見る青年ベルロが
主人公です。

生きる希望もなく、
陰鬱(いんうつ)に毎日を過ごしています。
 

 

 


奇妙な人物に出会い、
翻弄されるベルロ
 

 

 


治療のために精神病院に入院することに。
しかし、彼の精神はボロボロで、
無気力そのものでした。
 

 

 


でも一人の女性と出会います。
 

 

 


彼女は病院の中でも自分の虐げられた現状を
告白します。
 

 

 


彼女を守るために
消えかかっていたベルトのハートが
燃え上がります。

……
この若者の心を
シュヴァンクマイエルは踏みにじります。

 

この作品を通して大事なのは、
精神病院の医師や看護師を
無条件に信じていいのか?

施される治療が”最善の善意”なのか?

人の言うことは真実なのか?

日常でもよく聞きます。
「○○さんが、言っていましたから。」
何を根拠にその言葉を信じるのか?

「人はゆとりがあるから、
人にやさしく出来るのさ。
ふつうは、人は、他人の幸福をねたみ、
不幸に歓声を上げるのさ。」
そんなシュヴァンクマイエルの言葉が聞こえてきそうです。

「ルナシー」は夢も希望もない話です。
でも、世の中の”真実”を
描いているのかもしれません。
 

 

 

 


果たしてベルロは
生き延びることは出来るでしょうか?
 

 

 


そして彼女との愛は真実なのでしょうか?
 

 

 


…そんな甘い展開をシュヴァンクマイエルが
許すはずがありません。

シュヴァンクマイエルがお贈りする
最大の恐怖、「ルナシー」

見れば必ず元気を失います…。

 

リア充な方には

お勧めしません。

 

最終日は

チェコの映画の醍醐味を

味わってください!