「ズデニェック・ミレルの世界」 | チェコチェコランドのイベント・商品情報ブログ

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チェコアニメのキャラクターたちを中心にチェコの絵本などを紹介しているチェコ・チェコランドのイベント・商品情報ブログです。

 
年明け1月25日(土)~2月7日(金)まで2週間
渋谷のユーロスペースで、上映いたします
「映画祭 チェコアニメのすべて」


10月に好評いただきました
「Best of チェコアニメ映画祭」の上映プログラムに
さらに新しいプログラムを加えました。

今日は、その新しいプログラムの一つ、
「ズデニェック・ミレル」の世界」
上映作品を紹介させていただこうと思います。

このプログラムは、一昨年亡くなられた
ズデニェック・ミレルのクルテク以外の作品で
構成しております。
ミレルと言えばクルテクですが、
実は、他にもたくさんの名作を残しているのです。

ここで改めて、ズデニェック・ミレルについて
お話させていただこうと思います。

チェコアニメには、数多くの巨匠がいますが、
ミレルは、ちょっと別格です。

このブログでも紹介させていただきましたが、
2011年には、新しく発見された星に
なんと、”ズデニェック・ミレル”という名前がつけられらのです。
なかなか星の名前になることは、ありません。
そのミレルの名声は、クルテクの影響がほとんどです。
世界中の多くの専門家が、
クルテクを”世界一のこども向けのアニメ”と言い、
ミレルを”こども向けの世界一の作家”と言います。
でも、ミレルの作品は、クルテクだけではありません。
たくさんの作品を残しております。
その作風はとても多彩です。

 人形アニメだって作っていますし、
実写と2Dアニメを合わせた作品もあります。
でも、どれもが、”優しい”アニメです。
そして、美しい映像です。

チェコアニメの根本というべき、
詩と優しさが調和したような世界が繰り広げられています。
心に染み入る「ズデニェック・ミレルの世界」の上映作品を
一つ一つご紹介させていただきます。


1.知りたがりワンちゃんとお水(1960年 8分)
1960年ベネツィア国際映画祭子ども向け部門銀賞
 
Krátký Film Praha, a.s.


ワンちゃんが昼寝から起きると、
お皿にあった水がなくなっています。
一体、どこに行ったのでしょうか?

水を探しているときのワンちゃんの
しぐさと、ワンちゃんの”声”がとてもかわいいです。
 

Krátký Film Praha, a.s. 

とてもとても平和なお話しです。
ワンちゃんにキュンキュンするはずです。

 

Krátký Film Praha, a.s.



2.コオロギくんとバイオリン(1978年 5分)
  
Krátký Film Praha, a.s.

クルテクと並ぶ、ミレルの人気アニメシリーズ
「コオロギくん」のシリーズのひとつ。
コオロギくんもクルテク同様、
優しくて、友達思いです。
クルテクと違うのは、コオロギくんは、
ミュージシャンなのです。
 
   
  Krátký Film Praha, a.s.

得意のバイオリンで素敵な音楽を奏でます。
そして、クルテクも泣き虫ですが、
コオロギくんは、ワンワン泣きます。
クルテクより、少し幼いですかね。
 
  Krátký Film Praha, a.s.


3.コオロギくんとコントラバス(1979年 5分) 
 
   Krátký Film Praha, a.s.

「コオロギくん」シリーズの1作。
風に強い日、人間の家に避難に入ったら、
見たこともない大きな楽器が!?
小さなコオロギくんと
大きなコントラバスとの夢のコラボです!


4.くいしんぼうのすずめ(1962年 8分)
 
   Krátký Film Praha, a.s.

雪の中から現れたすずめの兄弟。
とても寒そうです。でも、それ以上に
おなかがすいている様子です。

 
   Krátký Film Praha, a.s.

食べ物を探すすずめたち。
食べ物は見つかるのでしょうか?

 
   Krátký Film Praha, a.s.

無表情ながら、すずめたちの動きやしぐさが
かわいくてしょうがありません。
ミレルは、アニメの動きに徹底的に
こだわった作家です。

かわいい作品ですが、
本当の”幸せ”を教えてくれる
奥の深い作品でもあります。
でも、素直に楽しい作品です。
(どっちやねん!!)


5.おひさまを盗んだ億万長者(1948年 8分)
1948年ベネツィア国際映画祭特別賞受賞
 
  Krátký Film Praha, a.s.

ミレルの監督デビュー作です。
そして、弱冠27歳でベネツィアで賞をとった作品です。
1948年の作品なので、まだモノクロです。
クルテクやワンちゃんのようにかわいい作品ではなく、
社会派の作品です。
チェコでアニメ制作がスタートして間もないころの作品ですが、
描写がとても迫力あります。
はっきり言っておきます。
クルテクと同じ作家が描いたアニメです。
 
  Krátký Film Praha, a.s.


6.誰が一番強いのか(1951年 11分)
 
  Krátký Film Praha, a.s.

この作品は、ミレルは、監督だけ担当し、
美術は、別の作家が担当しました。
「おひさまを盗んだ億万長者」と同様、
ミレルの初期の作品で、”教訓”めいた作品ですが、
とても詩的で、エンターテイメント性が優れた作品です。
ストーリーの展開が秀逸で、魅入ってしまいます。


7.キツネとオオカミ(1956年 18分)
 
    Krátký Film Praha, a.s.

なんと人形アニメです。
人形をミレルが担当しています。

クルテクが誕生する前の年の作品です。

子ギツネたちのために魚を捕る親ギツネですが、
乱暴者のオオカミに横取りされます。
でも、キツネには知恵があります…。

この作品、音楽がとてもいいです。
ゆったりした音楽にのって
話がゆっくりと、そしてユーモラスに進みます。

そして、夕日のシーンがとてもきれいです。
 
   Krátký Film Praha, a.s.

↑この写真だと、ちょっと暗いのですが、
とてもきれいな夕焼けです。

雪の降る季節が舞台ですが、この作品を見ると
雪国に住みたくなります。
 
   Krátký Film Praha, a.s.
 


8.月のお話(1958年 13分)
 
   Krátký Film Praha, a.s.

絵の具を使った珍しいアニメです。
雪の結晶がところどころに使われ、
とても幻想的で美しく、優しく、
そして儚いアニメーションです。

 
   Krátký Film Praha, a.s.

これほど、冬の美しさと、神々しさを描いた
アニメを私は見たことがありません。

ラストは、泣けちゃうかもしれません。



9.イモムシくんは大スター(1967年 15分)
 
   Krátký Film Praha, a.s.

はっきり言って、この作品を
お見せしたいがためにこのプログラムを
作ったと言っても過言ではありません。

少年とイモムシくんとの
優しい優しい友情のお話です。

どなた様にも、忘れられない
友達との思い出があると思います。
思いやることで、"優しさ”を感じたことが
あると思います。
このアニメを見ると
いろいろなことが思い出され、
涙が出るかもしれません。

古いフィルムなので、上映に使うのはどうしようかと
思ったのですが、是非見ていただきたいので
上映することにしました。

どなた様にも見ていただきたいです。

  ズデニェック・ミレルの素敵な素敵なプレゼントです。
 
Krátký Film Praha, a.s.


"心が洗われる”と言いますが、
そんな作品ばかりの
「ズデニェック・ミレルの世界」です。
上映日は、
1月25日(土)19:00
1月27日(月)19:00
1月29日(水)13:00
2月3日(月)19:00
2月4日(火)15:00
の5回です。
手前味噌ですが、本当に素敵な上映プログラムです。
多くの方に観ていただきたいです。

次回のブログは、
やはり新しいプログラム
「ブジェチスラフ・ポヤルのすべて」の上映作品を
ご紹介いたします。

よろしくお願いいたします。