劇団四季のミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」が9月11日、大阪四季劇場(大阪市北区)で初日を迎える。「ドレミの歌」や「エーデルワイス」などの名曲を数多く含む同作品で、重要な役どころとなっているのが、主人公のマリアが家庭教師として赴く“トラップ大佐一家の子供たち”だ。劇団四季では大阪公演にあたり、この子供たちのオーディションを関西で初めて実施した。四季の子役は、どのようにして選ばれるのか…。オーディションの募集開始は、今年4月1日~25日に四季のホームページ(HP)を中心に行われた。希望者はHP上から応募書類をダウンロードし、必要事項を記入して送付。トラップ大佐一家には7人の子供たちが登場するが、長女のリーズル役は四季所属の女優が演じるため、残りの6役を選ぶことになる。1役に対し4人の子供を選ぶため、選ばれるのは24人だ。

■親には厳しい質問
応募書類には氏名や身長・体重、舞台歴、所属する団体(プロダクション)などの基本情報に加え、保護者に対するアンケートも設定されている。子供に対しては「将来の夢は」「長所と短所は」などの項目がある一方、保護者には「学校側は子供の公演参加にどの程度の理解をもっているか」「けいこはかなり厳しいので、(お子さまが)泣きながら自宅に帰ることもあるが、どのような対応をしますか」といった“厳しい”質問も。子役担当の俳優、遠藤剛さんは「団体所属や舞台経験者が優先されることはない」ときっぱり。約200通の応募があり、84人が書類審査に合格した。書類審査をパスした84人による予選(予備審査)は5月1日に大阪四季劇場で実施。歌のソロ(歌唱)とせりふのテストが行われた結果、44人が予選を通過し、翌日の最終審査に挑んだ。

■会場以外で審査の目
最終審査は、44人を6役ごとに振り分け、各役ごとに行われた。課題は劇中で使われる楽曲のコーラスとせりふの言い回し。さらに各役ごとに求められる技術が審査される。例えば、長男のフリードリッヒ役の子供には、劇中で必要な“裏声”が求められた。最も時間をかけて行われたのは、三女のブリギッタ役の選考だ。「せりふが長く、心理変化の表現が重要な役。さまざまな状況に応じた柔軟性も求められる」(遠藤さん)とその難しさを指摘する。実は、審査会場以外の控室や廊下などでも審査の目は光っていた。最終審査はほぼ終日行われる長丁場。廊下などでの子供たちの様子を見て「舞台に必要な集中力をチェックしていた」(遠藤さん)という。こうして24人の子供が舞台の“切符”を手にすることになった。選考のポイントは「技術もさることながら、やる気が満ちあふれているか。自分の考えをはっきりと話すことができるかということを重視した」と遠藤さんは打ち明ける。

■心理変化の練習も
オーディションからまもなくして、本格的なけいこが始まった。けいこは12人ずつの2グループに分けて横浜、大阪で実施。呼吸法や母音法の基本的訓練から場面ごとに求められる心理変化を追求した演技の練習まで徹底したもので、今月に入ってからは追い込みということで24人全員が大阪でけいこを続けている。公演が始まると、子供たちは1役に4人いることをうまく調整し、それぞれの学校にきっちりと通いながら、舞台を務める。夜公演に関しては法律で禁止されている午後9時以降の舞台出演はないように配慮。もちろん、子役といえどもプロの彼らにはしっかりとギャラも支払われる。サウンド・オブ・ミュージック大阪公演は当初、今年12月18日までの公演予定だったが、前売りチケットの販売が好調なことから早くも来年2月26日までの延長が決定した。オーディションを勝ち抜き、厳しいけいこを積んできた子役たちがその実力を発揮する舞台の幕がまもなく上がる。(香西広豊)