ギリシャの財政危機を震源とする信用不安が世界の市場を揺さぶっている。世界同時株安とユーロ安の加速である。
欧州のユーロ圏16カ国は緊急首脳会議を開き、ギリシャへの協調融資に加え、同様の危機に陥った国への緊急支援のために基金創設を決めた。日米欧先進7カ国(G7)の財務相も電話会談した。
市場の動揺が、立ち直りかけている実体経済に悪影響を及ぼさないよう万全を期す必要がある。ユーロ圏は断固としたギリシャ支援の決意を、G7は市場安定のための緊密な連携姿勢を、それぞれ示さなくてはならない。
市場が動揺した最大の要因は、ユーロ圏15カ国と国際通貨基金(IMF)がギリシャに3年間で約13兆円の資金支援を決めたものの、果たして実現できるかどうか疑問視されている点だ。
ギリシャでは激しい抗議行動が続く中、議会が財政再建法案を可決した。公務員給与の削減や付加価値税の引き上げなど、痛みを伴う緊縮政策の導入である。ギリシャ政府は国民を説得し、早急に騒乱を鎮めてほしい。また他のユーロ圏諸国も、融資実施のための国内手続きを進めねばならない。
緊急首脳会議では財政危機の克服と再発防止に向け、加盟国の財政規律の監視強化や財政赤字削減でも合意した。スペインやポルトガルなどにも信用不安が広がりつつある。ユーロの信認回復に向けて対策の総動員が必要だ。
さらに気になるのは、世界的に金融システム不安が再燃し始めたことである。米格付け会社がギリシャ国債を投資不適格とした結果、保有金融機関の損失拡大懸念が広がったためだ。欧州中央銀行(ECB)は引き続き、ギリシャ国債を資金供給の担保として受け入れると発表するなど沈静化に躍起となっている。銀行間市場での資金調達が滞らないよう、G7の中央銀行間の協調が不可欠だ。
欧州発の危機は日本にとっても「対岸の火事」ではない。一昨年秋のリーマン・ショックに対応するため、世界各国は巨額の財政出動を行って財政悪化を招いた。市場は欧州だけでなく、米国や日本の財政赤字にも注目している。
日本の国債は大半が国内で消化されており、海外投資家に頼る欧米とは違う。だが財政再建の道筋がないまま、ばらまきを続ける鳩山政権への懸念を市場が強めていることを忘れてはならない。