姉の幸せ
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2011-10-18 01:49:59 テーマ:創作

姉の幸せ
テーマ:創作
2011-10-18 01:49:59
姉はアタシが小さなころ、母とアタシ達と別に、あ
アタシ達の父と家政婦さんと暮らしていた時期があり、
何かを隠すためなのか、母、アタシ達が半袖なのに長袖を着ている写真が多い。
姉は、アタシ達と違ってなかなか洋服を買ってもらえなかったのもあり、
つんつるてんの洋服、浴衣やオーバーコートをしばしば着ていて、成人式の写真もない。
アタシ達姉妹とは違うこの待遇に、アタシ達はある種の納得を感じていた。
姉はアタシ達とは、生まれた由来が違うために、母にもアタシ達の父にもまるで不用品の様に
無視されていた。
小さい時の姉の近くにいたのは名前を付けたうさぎのぬいぐるみだった。
そんな姉は家に居場所がなく、とても寂しかったのか、野球選手の追っかけをやって、
アメリカに渡ることで学校を変え、ジャーナリストたちに追いかけ回され、帰国して
アタシ達の父のコネで就職し、
姉は何を考えているか解らないので“ブラックボックス”というあだ名がつけられ、
帰国しても、アタシ達の父の代わりを探し続け、
結果的に嫁ぎ先が全く見つからない状態になって
嫁候補と報じられ「あんな家には行かない」と言い放ち、
六本木でブイブイ言わせていた姉が婚約発表の前には泣き崩れ、
家に遊びに来た妹の友達に婚約者のことを「本当は大っ嫌いなのよっ!!!」
と吐き捨てるように断言し、
それを思い出したアタシは、思わず家の前の路地に待機してるジャーナリストたちに、
「姉は、幸せになれますよね、なれますよね??」
と問いただした。
生まれた由来からして他人にとても言えない様な不幸の連続だった姉には、
たとえアタシ達にとって敵国の中枢と教えられている所が嫁ぎ先だとしても、
せめて嫁ぎ先では幸せになって欲しいから、
とりわけ姉を追い回して事情をよく知っているジャーナリストから
姉が絶対に幸せになれるという言質が欲しかった。
それほど、アタシにとっては姉のことが心配だった。
その心配は、予感通りに的中した。
子供を流してしまう姉のために、姉を結婚させたマフィアと医療機関とアタシ達が協力した
のは言うまでもないことだった。
アタシは子供を授からない体になった。
アタシ達の祖国の生贄となった姉の居場所の確保のために。