魔女は世界に嫌われる 3 (ガガガ文庫)/小学館¥660Amazon.co.jp

【旅の終焉。覚醒の時。そして別れ――

ついに旅の目的地である旧ガルディア魔導帝国へと足を踏み入れたネロとアーシェ。
そこは、魔法使いたちの呪いによって荒野と化した不毛の領域だった。
皇都跡地を目指してさらに歩き続けた二人は、水と食料が尽きるころ、中継地点である“小さな古城”へとたどり着く。
そこには、圧政に耐えかね国を追われた人々が寄り添うように暮らしていた……。
一方、“真実の書”を奪ったギルダという名の魔女を追う、エスタルトの軍人モーガンは、300年前にも同じ名前の魔女が存在していたことを知る。
魔導帝国の皇帝となるはずだったその魔女は、帝国の滅亡とともに処刑されたという。
手がかりを求め、モーガンもまた旧魔導帝国の地へと向かう。
そして、皇都跡地ではひとりの魔女が、“その時”が訪れるのを静かに待っていた……。
長い道のりを経て、旅の終わりを迎えたネロとアーシェを待つのは、希望か、それとも……。
優しさと残酷さに満ちた世界を旅する少年と魔女の娘の物語、いよいよ完結。 】
(アマゾンから引用)

■ 感想とかネタバレとか

アーシェを除くみんながいい感じにクズで惚れ惚れした
び…っくりしたっていうかびっくりしたんだけど、いやびっくりするほどアーシェ自身ですらアーシェのことを考えていなくてびっくりした
ミドナさんしかアーシェのこと考えてねえ
アーシェはもっと悪い子でよかった、「人が死ぬのを見たくない」が根っこにあるにしたって。
あそこに至ってまだネロとネロの妹のことを考えるの? びっくりした。びっくりした。
あなた自分のお母さん蘇らせられなくなったの解ってる…よね…?

ネロも途中で行動を共にするマルガレットも、アーシェ自身のことなんかこれっぽっちも考えてない、後者なんて忌み嫌い差別しながらその力だけ頼ってるから嗤うしかない。
楽しかったあ。
ネロもマルガレットもアーシェも、「死者を生き返らせることが出来ない」を突き付けられた点では同じなのに、ネロは一度生き返らせてもう一度殺させ、マルガレットは怒りそのままにアーシェを罵倒するの、読んでて楽しかったあ。
しかもネロなんて妹と話すとき、ミドナの願いを叶えていないにも関わらず、ミドナからの報酬はもらうことを前提に話してたからすっごい楽しかった…。
みんなびっくりするほど自分のことだけで、信愛する母親(魔女)から嘘をつかれ、一緒に旅をしてきた子(人間)から剣を突き付けられ、願いを叶えてもらう目的で同行したマルガレット(角人)から罵られた、角人と魔女の間の子って、もうどうしようもなく行き場がなくて楽しい。
ネロが強襲されていたあの塔を助けたのはアーシェの一言があったからなのに、その恩はネロに行く。
ふっと思い出したのが「七姫物語」の、1巻か2巻で、囲まれた犬相手に刀を抜こうとするヒカゲを止めた空姫と、後日空姫にヒカゲを止めたことに対しお礼を言いに来た犬使いの女の子。

もうあそこらへんのネタバレ万歳のところすごい楽しかった… ちょっと怒ってたし不愉快だったし「はあ?」てのが全体的に散らばっていたので最終的にまとめると「やばいなんだこれ楽しい」だった、楽しくないのにわらっちゃうみたいに楽しかった。


地味に世界征服を邪魔されてるギルダ(笑)、と阻止したアーシェがうける。
マルガレットは敬愛する主君の娘がアーシェとか知ったらどういう反応するんだろう…
アーシェがネロ好き過ぎてるのでなんとか繋がってるけど、あの一部始終見ているミドナさんがなんでネロを認めるのか不思議で仕方ない。
アーシェ→ネロは今更動かしようがないけど、ネロ→アーシェは、寝言は寝て言えという言葉がぴったりである。馬鹿も休み休み言え、でも可。
自分の目的の為にアーシェが必要で、魔女は世界に嫌われているから守らなきゃいけなくて、うっかり勘違いして〝そう〟思い込んでも、目的に支障がないならいいんじゃない?
本人に言われるまで全く思い出さず考えなかったんだから、そのまま捨て置いてくれてもよかったのになあ…。
人間も角人も、乞うてその能力を願ったのに、自分の望みの通りに叶わないと知った途端の手のひらの返しようが楽しかった…。

最後はハッピーエンド。
でもミドナさんが望んだ儀式はしていないんだから、アーシェは「魔法使い」なので、そこらへん(寿命とか)どうなってんだろ。
海辺の娘ともう一度再会してほしい。


イラストレーターはそとさん!
相変わらず可愛らしい…!!


魔女は世界に嫌われる 2 (ガガガ文庫)/小学館¥617Amazon.co.jp
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