狭間の広場
暁の女神ヤクシー〈3〉太陽の踊り子 (角川スニーカー文庫)/小林 めぐみ
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【金の魔女マヒーナタースを弾き飛ばしたのは女神ヤクシーと呼ばれる少女の意志とは違う別の力だった。
自分の内に宿る、もうひとつの意識の存在に気付いた少女は、その衝撃の大きさに心を閉ざしてしまう。
一方シュシは金烏の秘密が隠されたオブルヤの神殿に向かっていた。
だがその背後には、金烏をねらうストゥウラ軍のワズマル少佐が、そして女神に復讐を誓うマヒーナタースの姿があった……。
近未来ファンタジーの決定版、堂々の完結!】

近未来+宗教+自分探しの旅。

■ 感想とか色々~

死ぬなー……… と思った。
うわー……ワズマル殺すとは思わなかった……!
なんなんだこの兄さん報われなさ過ぎだろ!
あの草原さえあれば生きていけるって凄い凄い好きだったのに!
部下の裏切りて。ちょ おま。
魔女さんは死んだかどうか解らんが。哀れみそうになるが 哀れまない哀れまないわたしはこの人に同情しないし肩入れもしない贔屓もしない と唱えながら読んでたなあ。
パンを食べたかっただけ とか好きだけどねー。
決め付けるのは淋しいな、と思った。ワズマルさんの場合は、兄さんが国を――故郷を愛していたのと同じくらい、周りから信用されていなかった。
敵か邪魔者しかいないと言い切ったマヒーナタースはその兄さんをせせら笑った。
どちらも、間違っていたとは思わない。
信用しなかったのも信用したのも、間違いだとか正解だとかそういうんじゃない。淋しいのは、多分、それを揺るがす人がいなかったことかなあ。

ジェイの「生まれ変わり」云々の部分が“近未来”? 「近未来」自体の意味は辞書引きゃ解るが小説の場合の近未来が具体的にどういう世界観をもたらすかは解ってない。
こちらも結構エグかったー 娘さん殺すあたりは特に!
でもそのあとのヤクシーの行動は、なんというか、女性って年齢に関わらず時々ありえんくらい目の前のものを受け入れて抱きしめるな、と思った。
2巻で「楽園楽園うっさいなあ」と思ったんですが、「楽園」は「生まれ変わり」に通じる所でもありました。
「楽園」を――嫌気が差すほど繰り返された興味の沸かないものだと固定していたのは、わたしの方だった。
星をまたいで商売をするERFの会社員さん登場。

シュシが「寂寥たる砂漠の中、ひとりぼっちになった」というなら、姉さんはきっと兄さんを見つけるよ、と思ったのねー。
シュシの半身でも影武者でもなくなったサリスプーラーは、暗器と隠密に長けた、シュシそっくりのそれでも違いなんて幾らでも見つけられる無愛想で動じないサリは、砂漠にいる兄さんを探すだろう、と思ったの。
サリがシュシでなくなるというなら、今度はサリ自身の意志で、お父さんの命令だからでも王子だからでもなく。
姉さん視点ないから解んないけど。でもわたしだってワズマルさんと同じこと思った。
シュシの行動を自分が制限するのは嫌なんだなって思った。
それを兄さんは「逃げ」としたけど。
姉さんが自分を撃ってからのシュシの胸中は、淋しかったり悲しかったり嬉しかったり可愛かったりでなんだか泣いた。
人がふたりいてその片方が独りだと思うなら、もう片方だって独りになると思う。
人を作った神さまの趣味は大分いいなあと思うの。男と女に分けたこと。
(理解し難いものがあること、絶対的に違うのに根本では同じであること、或いは、どうやって足掻いても不完全であること)

1・2巻地味で無理やり3巻読んだら サリとシュシの繋がりや奇妙な関係が表に出てきたからかなり楽しかった。
人工太陽とか「ほー……?」と思ったけど。
最終巻にしてようやく金烏を欲しがった理由が解った。
3巻だけ買おうかな。

イラストレーターはいのまたむつみさん!
カラーページにシュシとサリがいたので喜んだー!!


暁の女神ヤクシー〈2〉楽園を求める男 (角川スニーカー文庫)/小林 めぐみ
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