聖杯の王―アーサー王宮廷物語〈2〉/ひかわ 玲子
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【「わたしは運命に復讐をしたの」 シャロットの姫の悲恋がログレスの運命を織り上げる…。
聖杯をもたらす者誕生の物語。
不思議な力を持つ双子の兄妹が見た宮廷の光と影を描く書き下ろしファンタジー3部作、第2弾。】


■泥沼すぎる人間関係
…………わー。すげー……………。
ここまで楽しめない恋愛も久しぶりに読みました。
泥沼すぎる。1巻でも異父姉との間に子供出来ちゃってますけどね、アーサー王。モードレット王子が。
ミソサザイに変化することが出来るギネヴィア王妃付きのメイウェルと、
鷹に変化することが出来るアーサー王付きのフリン。
塔の奥で予言のタペストリーを織るのはエレイン。
心寄せるユウェインと、寄せられるのはモードレット。
新しく出てくる純真無垢のパーシヴァル、ギネヴィア王妃を愛しているランスロット。

まあ出てくる人出てくる人男の人でカッコいいらしいですが、どーにも好きになれん。
魔術の世界で生きるマーリンとニニアンのことが理解できないメイウェルは、
幼く無知であることを自覚しながらも、息子を傷付ける妖精婦人や、無邪気でわがままな王妃様に対して幾つもの疑問を持つ。
誰かの犠牲の上になりたつ幸せ。
絡まりあった赤い糸。
誰一人として報われない感情の矛先。


恋愛という意味では、フリンが1番大人でした。
フリン! 大人びたレベルじゃなくて君は大人だよ! 凄い大人だよ!
ここで出てくる「誰かを好きな人」では揺らがず弁え理性を保っている分めちゃくちゃ大人だよ!
ランスロットもギネヴィアもエレインも、どうにも突っ走っちゃってるんですよねえ。
主君の奥方を愛した騎士に、夫の部下の一人を愛した王妃、愛されないと解っていて愛される努力をした姫君。
特に、エレインの死後船に乗せてランスロットの元まで、というのを読んだときは、「これなんのホラー?」と思ってしまいました。
恐るべし女。自分に惚れていた人間が死後船で運ばれたら怖すぎるだろう。(しかも原因自分)
というか私は怖い。全力で怖い。申し訳ないけど怖い。率直に怖い。
まあそこでフリンを船頭に選ぶのも酷い話ですけどね。
愛されなかったくらいで「これほどの悲しみ」というのも悲劇のヒロイン浸ってたし。
ギネヴィアさんは1巻から地雷だと解っていましたけど、ランスロットもランスロットで、王への忠義と王妃への愛情のどちらかを選べないならどちらも捨てなさいレベル。

そして、てっきりパーシヴァルが中心と思いきや、最後の最後で新たな人が!
イラストは相変わらず素敵でしたー。これだけ好きだなやっぱり!



キャメロットの鷹―アーサー王宮廷物語〈1〉/ひかわ 玲子
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