心霊探偵八雲 (1) (角川文庫 (か51-1))/神永 学
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【大人気ハイスピード・スピリチュアル・ミステリー文庫化開始!
霊を見たり、会話できる不思議な能力を持つ大学生・斉藤八雲。
ある日、大学で起こった幽霊騒動を調査することになるが……次々と起こる怪事件の謎に八雲が迫る大人気シリーズ、大幅改稿&追加エピソード収録で登場。 】

「ファイルⅠ 開かずの間」
「ファイルⅡ トンネルの闇」
「ファイルⅢ 死者からの伝言」
「添付ファイル 忘れ物」
収録。

ミステリー、なんだけど。推理に期待すると肩透かし。
短編連作の場合余程上手くなければ、登場人物限られてくるわけだし、
割れるページも少ないわけで、ミステリーとして成功しているのは、
推理小説をほとんど読んだことがないというのも相まって、少ない。
で、まぁそもそも“心霊”を引き合いに出すわけで、
じゃあオカルト方面?と聞かれると、出てくることは出てくるんだけどなー。ってな回答。 
名前だけ借りて、事件に関わらせたり、助けてもらってる。


その二点さえ除けば、一般ですが気負えず読めるし、
文量も然程ではなく、それぞれキャラもしっかりしているので、
よかったのかなと思います。
左目が紅く、生まれたときから開いていたそれに恐怖した母親に殺されかけた八雲と、
トラブルメーカーな晴香、刑事の後藤、変態監察医の畠。
左目は死者の魂を、右目は生きている人間を見ることが出来る八雲の隠れ家のドアを叩く少数派の人間。


八雲は言っちゃえばありがちな男の子で、捻くれ者の天邪鬼、
口を開けば皮肉と嫌味、大切にする仕方が解っていない人でした。
或いはそもそも、自分の変化に気付いていない。
で、女の子の方が、泣きやすくトラブル背負ってへこたれない元気な子。
学習能力を発揮できる所がないので地雷は踏んでいませんが…
ねーさん、泣きすぎ。そこだけかなぁ、引っ掛かるとしたら。


危機に陥る晴香への焦りっぷりがどんどんと増していく八雲が非常に可愛い。
三コールで奇跡的な早さってのも凄いな。
5分間待ち続けた後藤刑事は凄く偉いと思うんだー。
全体的に、レギュラー陣以外の人間は、悪意の塊。
意図的にそう仕向けたんだろうけど。
「ゴキブリ以下」だそうで。
悪意に慣れていない女の子なのかな、ちょっと世間知らず。真っ当な感性ともいうか。
安っぽい所もあったけど、まぁ次も買ってみる。
2人の会話のテンポもいいし。久し振りにある種王道の本を読んだ気がします。



「君はぼくの目を見ても逃げなかった。それだけでいい。」



“風景の一部”ではなくなった瞬間かなー。


心霊探偵八雲2 魂をつなぐもの (角川文庫 か 51-2)/神永 学
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