前田 栄
結晶物語〈2〉 (新書館ウィングス文庫)
【人間だけでなく、幽霊や妖怪などの有象無象に縁の品まで扱う、不思議な質屋の主人・凍雨(とうう)。
現在は昼行灯を決め込んでいる大妖怪・白夜を父に持ち、自身も相手の感情を結晶にし、舐め味わうという彼。
しかし、今まで出会ったことが無いような、底知れぬなにかを抱えた男との出会いが、凍雨を未曾有の危機に遭遇させ―!? 前田栄のあやかし冒険譚、続篇登場。 】
名を聞いただけで数多の妖怪を震え上がらせる、日中は置物と貸し、時を餌とする白夜。
彼の息子で、半分妖怪半分人間、好奇心旺盛な能天気、父よりも格段に低い能力がコンプレックスであるくせに、極限まで高ぶった“感情”を結晶化し、おやつとする凍雨。
そして巻き込まれたのは、孤独な世界で夢を見続ける神様の名を持つ“黄龍”(ホワンロン)。
妹、ファランの形見である「感情の結晶」の預かり賃として、凍雨に力を貸す。
主要キャラ三人は男性。(非BL)
死者であり白夜の妻、凍雨の母として度々名前が挙がるのは「美鈴」。
本来妖怪にないはずの「魂」が宿ってしまうほど白夜を深く愛し、息子を遺して逝った彼女は、白夜の行動の基準となっています。
「就眠儀式」
白夜の貴重な友人である生霊のサヤと、魂を喰らおうとする鵺。
舞台は病院。戦うのはやっぱりホワンロン。
交わした約束を違えるのならば、その原因となった者を殺す。
題材は「白雪姫」。けれどそれは、起こす為ではなく、眠りに付くときのもの。
マザコンでファザコンの凍雨。
「結晶」が変化しました。マジか。
ファランの結晶は、翡翠色。鳥の形を取ったそうです。兄さん壊されない為に必死。
そして、「舐め取る」のはダメだけど、「キス」はいいらしい。
最愛の妻の魂を取り戻す為の情報が欲しかった白夜おとーさんでした。
「ファースト・スノウ」
1巻収録に出てきた「人魚刀」が再登場。
最初は凍雨お気に入りの和菓子屋さんのお孫さんが行方不明で、彼女を探し出して欲しいといった依頼。
それは死せる者を蘇らすために仕立て上げられた舞台。
感情の制御が上手なホワンロンの「結晶」の味を知りたい凍雨がちょっと暴動を起こします。反則だよ!
しかし流石はホワンロン、それさえも取り込むか。兄さん強いなぁ。いいなぁ。
一応、「白雪姫」だそうですが、これだけじゃ解らん。
後書きを読む限りプリンスはまた出てきそうです。
「鳥神の呪い」
1巻では竜宮城(青龍)でしたが、今回は「朱雀」です。
題目は「かぐや姫」。わーちょっとお兄さん二話連続で凄いな!
本能的な感情に抗うのは余程の理性だっつーか可能なのか?
色仕掛けに勝ちました。満ちては欠け、欠けては満ちる月のように、繰り返すのはひとつの生。
お父さんがちょっと怒ります。良くも悪くも彼を動かすのは“美鈴”だけ。
どこにも行かないしそんな動かないしかなりいけ好かないお姉さんでしたが、
この調子だと虎と亀も出てきそうですな。
キャラ読みも出来ますし、「感情」と「童話」と「妖怪」なので私的にツボを突きまくり。
イラスト含め、ストーリーも女性的ではありますが、かなりお気に入り。