裸者と裸者〈上〉孤児部隊の世界永久戦争 (角川文庫)/打海 文三
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【両親を亡くした七歳と十一ヶ月の佐々木海人は、妹の恵と、まだ二歳になったばかりの弟の隆を守るため、手段を選ばず生きていくことを選択した――。.】
金融システムの崩壊と経済恐慌と財政破綻があった。(中略)
中国の中央政権が倒されて、各軍管区が覇を争い、チベットと新疆ウイグルの二自治区が独立を宣言した。
P11をほぼそのまま抜粋。うん、よし。
訳解らん。
だって中央政権てなに、とりあえず日本は国家として機能しなくなっちゃったってこと?
わかんない。解んないけど。
みんな、とりあえず争ってる。政府軍と国軍に分かれて新勢力も出てきて反乱中。
他国は入ってこない、海も空も潰れた、ならば残るは陸。
大地を舞台に繰り広げられる“戦争”。
兵に狩られるのは孤児。
視点である海人がそのひとりだ。両親は居ない。
父は布切れを残して死に、母は行方不明で生存は絶望的。
妹で長女で確り者が恵、弟で言葉遣いの悪いのは隆。
途中で会う姉妹は椿子と桜子。
ママの死体を隠すと奮闘していた同世代。
外国人部隊のイリイチ、上司となる女性、マフィアで大根のおじちゃんであるヴァン。
同じ孤児である葉朗、ボリス達、唯一学がある田崎。
死に物狂いで戦った。人も殺した。名目は正当防衛。真実も正当防衛。
だけどそれを背負うのが海人。泣き虫で、学がない、ただの無力な子供が最前線に立たされる。
足が痛いと言った子供が目の前で撃たれる様な。死体を野に捨てることが平然とある。
汚いお金しか手に入らない。ねぇキレイなお金はどこにあるの。
そのお金で買うのは恵と隆の安全。徴兵を免除され、勉強が出来る場所。
訳が解らない。著者の言いたいことの半分も、きっと解っていない。
解っていなくて尚、面白い。面白いという枠に収めるのが聊か不誠実であるほど。
どれだけ言葉を使っても表現しきれない。しきれるとも、しきろうとも思わない。
そうした時点でイメージが固まってしまうなら、言葉で縛りたくはない。言葉を縄に変えたくもない。
形容しがたく、娯楽と言うには重い部分が多いけれど、ふっと糸が緩むことだってある。
著者が急逝のため、未完のままではあるけれど、そんなこととは関係ナシに面白い。
数回のベッドシーン。でも中学生なら読める。
相も変わらずリリナさんをどんどん嫌いになっていくのは苦笑せざるをえない。
単行本時の感想はこちらです。上下巻での感想、要注意。