著・高里 椎奈 風牙天明―フェンネル大陸偽王伝



偽王の存在が明らかになります。


ちょっとこれは――1巻からは全く違う方向に話が進んだというか。
面白いことには変わりないんですが、どっちかって言うと、
わたしはフェンが「偽王」の記録をする、語り歩く、という方にいくかと思ってたので。
そうすれば全世界を旅すると言う当初の目的にも合うし、
テオとかサチとかは同行者、てわけでもないけど、
その旅の中でなにかを知ったり、なにかを選んだりするのかなあ、と。



シスタスはここに宣言する。
己が唯一の皇王であることを宣言する。
他国で王を名乗る輩があるようであれば粛清をすることを。

文章抜粋じゃないんですが雰囲気はこんな感じです。


フェンはラビッジ王・リノやソルドの上層部の依頼により、
コンフリーの領主に書簡を届けることになる。
王よりも王らしいとされる賢哲な領主の元へ出向く途中、宣誓のことを知った。

ロカはリー・レイを護衛に、サルトリィ国にやはりこちらも王に書簡を届けに。
しかしそこは入国審査が一風変わった傭兵の国。
そこでは国民全員が傭兵のようなものだった。


「算数なんて嘘つきよ。パパを五番目に好きな人が五人いても1番にはなれない。
パパは助けて貰えないで、5回死んじゃうんだわ。
1番好きな人に同じように想ってもらう事と、
百人の好きな人に百番目に好きだと言われる事は同じじゃない」

領主であるエストラゴンの娘であるマリィが父親との喧嘩中です。
だからこそ唯一になりたいし、特別になりたいんでしょ。
なれない人は誰が悪いわけでもないし突き詰めれば自分が悪いんだよね。
だって選ばれるだけの価値と魅力が自分にないんだもん。
って言うと極悪人のようなのでここら辺でやめときます。



リノがリーク双貴国に出向いたときのキキとカレンへの、
「アンタ達もその子供と一緒だって言ってんだよ、クソ貴族共」が嗤えました。
こいつ王様だってのに意外と子供っぽくて短気なのねと。
それを言えばフェンもですけれど止める役のリッテ……じゃない、マットが止めないんで、
終いには退出間際に嫌味を言われて自分の座っていたイスを蹴り飛ばす始末。
やーいいなーこいつ。立場ある人間のくせに乱暴者ってのは好きだー。
キキとカレンは本当だったら王たる地位に就いちゃいけないように書かれている人間です。
自分勝手。自己完結した煌びやかな世界で生きている。
守るべき民とは自分達のことで、実際の城下町に居る民も貧民窟の民も想っちゃいません。
だからこそ、今回のシスタス皇王宣言も中立の立場を歩きます。
綱渡り状態ですよね。落ちちゃえお前ら。って感じです。


エストラゴンの「意外と良い最期じゃないか」は、
そこで死んだらダメでしょあんた!とか突っ込んでました。
なんとか生きていてくれてホッとしたですよわたし。
フェンの偽王宣言も潔くてカッコいい。
民も領地も国も家臣もなにもなくても王だと言えば打たれる。
だけどそれが唯一シスタス王に弓引く者。
サチはフェンを担ぐって解ってたけど、テオはまるっきり巻き込まれたなあ。
リノがこれからどうフェンの評価を変えてくかは解りませんが、
リークで出会ったオゼイユ奪還の祭の戦でのことを聞けば、
まあ少しは変わるでしょう。エルーカの占いに頼りすぎて自分の目を腐らせんなよ。

ロカ――は頑張ってます。
隻腕ですが頑張ってます。
リーさんがイリスだったのは驚きました。
ゴードンが恩義の方向を間違ってないので安心。
アシュレイがフェンに弓引くような任務ではないことを祈ります。
諜報に長けたニールでも解らない人間と評価されたサチが好きです。

怒涛のようにあげました。
打ち飽きました。
それではおやすみなさい、よい夢を。
また明日からはバイトの日々です。
期末試験なんてしらねぇや。


フェンネル大陸偽王伝シリーズ:
Ⅰ 孤狼と月
Ⅱ 岸の系譜
Ⅲ 虚空と王者
Ⅳ 闇と光の双翼
Ⅵ 雲の花嫁
Ⅶ 終焉の詩


他の作品:
小説 のだめカンタービレ
玻璃月蜻蛉縁物語