某漫画の名言を引用しつつ。

よほど変わった業態・業種だったり、個人事業主もしくは家族経営ぐらいの小さな組織でない限り、ほとんどの企業は効率を考え、チーム編成された組織作りをしていると思います。だとすれば、それぞれのチームには明確なミッションがあり、追うべきKGIやKPIが設定されているのが一般的で、その成果や進捗がチームや個人の評価に落とし込まれていく、というのが普通の企業運営になろうかと思います。

 

こういった仕組み・体制は、リソースを集中し、そこにナレッジを蓄積するという意味で、こと該当ミッションを達成することに限って言えば確かに効率的だし、もちろん良いやり方だと思っています。ただ、このような縦割りの組織作りが行き過ぎて、専門性の追求だけに偏ってしまうと、該当ミッション以外に興味が無い、無頓着な人材がどうしても生まれてしまうんですよね。これはもう、「会社あるある」と言ってしまっていいレベルの事案だと思います。

 

縦割りの組織の衝立板、組織の壁をテニスコートのネットに、そこに打ち込まれるボールを業務に例えるなら、どちら側かのコートに明確に入るようなボールは良いですけど、ゲームをする上では、ネットにはじかれるぐらい際どいボールも絶対に生まれますよね。

某漫画の名セリフをどうしても引用したくてテニスに例えてしまったので、これだとネットにはじかれたボールは必ずどちらかのコートに落ちるのだから、落ちた方のプレイヤーがその時に対処すれば良いとなってしまうのでアレですけど、実際の仕事現場ではネットに突き刺さって、いつまで経ってもどちらのコートにも落ちないボールも存在します。もっと言えば、プレイヤーが居ないコートに、突如として鋭く打ち込まれるボールだってありますよね。

 

大抵、ミッション外の突発案件については、(ルーティン・ワークが比較的手薄、もしくは業務効率が非常に高い場合のいずれかの)ある程度のポジション・役職者が捌いたり、プロジェクト化して解決まで短期的に専門チームを編成して対処したり、という場合が多いと思います。ただ、これはサイズがもう少し小ぶりな場合、プロジェクト化するほどでもない、みたいな日々のルーティン・ワークにはあまりフィットしないので、そういったケースだと放置されがち。役職者も、そこまで細かい事案に目配せできていることは稀だと思います。

 

そんな、ネットに突き刺さったボール=割り振りがまだ明確ではない業務を、明確ではないのだから「誰がやってもいい」と捉えるか、だから「誰もやってはいけない」と捉えるか。もっと言えば、誰がやってもいいのだから「自分がやってもいい、やってみよう」と何らかのアクションを起こすのか、誰もやってはいけないのだから「自分もやってはいけない」と膠着するか。こう書くと、正にドラッカーの「コップの水理論」に他ならないわけで。

イノベーションなんて格好の良いフレーズが出てくると、例え自体が分かりやすく秀逸であっても、読み手の大半が行っているであろう日々のルーティン・ワークとは、どうしても結びつけにくくて非日常な感じが拭きれず、自分ゴトにしにくい人も居るかもしれません。

 

ですが逆に、割り振りがまだ明確ではない業務を、明確ではないのだから「自分が率先してやってみよう」と手を挙げる、もしくは実際に何らかのアクションを起こしてみることが、最も身近で誰でも実現可能な最小単位のイノベーションだと捉えると、何も難しいことではありませんよね。膠着して動かないコトを、兎にも角にも動かしてみる。それに直接携わることで見えてくる物事は、傍観しているだけでは決して知り得なかったコトだと思います。「言うは易く行うは難し」というやつですね。この「難し」の積み上げが、ひいては自身の経験知になり、いわゆる成長に繋がる部分で自分自身への投資の一つだと思います。

 

 

少し長くなりました。

要するに、明確な担当者不在の業務を、だから誰がやってもいいと捉えるか、誰もやってはいけないと捉えるかで個人の業務領域に大きな差が生まれ、それが積み重なれば、ひいてはそんな日々の些細な認識の違いが経験知やスキルに大きく跳ね返ってくる、という話。会社員として日々働いていれば、別に普段から特別なアンテナを立てていなくたって直面する事案なので、日々のルーティン・ワークに慣れて(飽きて)きたと感じたなら、是非参考にしてもらえれば。