昨日長女は大学を辞めました。


せっかく入った大学だし、管理栄養士の資格を取ってほしかった気持ちはありましたが、長女の気持ちを1番に考えた結果辞めることを選択しました。


長女が栄養学部を選考した理由は息子のためでした。私が息子の料理(塩分制限やカロリー制限などがあったので)を作るのに苦労している姿をみて、もともと料理を作るのが好きだった長女は息子のために役に立ちたいという気持ちが大きかったようです。入院食が苦手な息子をみて、将来病院の管理栄養士になり見た目や味もより良いものを作りたいという夢を持って入学しました。


でもわずか入学1ヶ月ほどで息子が旅立ってしまい長女は目標を失ってしまいました。


それでも長女は頑張って勉強をしていました。コロナ禍でリモート授業がほとんどでしたが、調理実習も多く仲良しの友だちも出来て充実した学生生活を送っていました。



でも本当は送っているように見えただけでした。



長女は自分の気持ちに蓋をしていただけでした。

息子の分まで頑張って生きる

ママに心配かけたくない

管理栄養士の資格をとるために頑張らないと


そんな中、調理実習中の失敗をきっかけに長女は自分にすっかり自信をなくしてしまいました。

『私はこの学部に向いてない、なんの役にも立てない。友だちとも上手く関われない。私なんていてもいなくても一緒になんだ。』

とだんだんネガティブは発言ばかりするようになりました。


長女はしばらくして体調を崩し、食事があまり取れなくなり体重が4kgほど減ってしまいました。もともと細かった長女は体重が35kgまで落ちてしまいました。夜もあまり眠れなくなり朝起きられなくなりました。電車に乗れなくなり学校に行けなくなりました。情緒不安定になり毎日泣いてばかりいました。


それでも最初は卒業だけでも何とかして欲しいと私は長女を説得し続けました。

休学してもいい、単位を落としてもいい、そう思っていました。

私の資格だけでも何とか取って欲しいという思いがさらに長女に負担をかけていました。


その事に気づいた時、長女になんて申し訳ないことをしていたんだろうと思いました。

資格を取って欲しいのは私の気持ちであって

私は長女の気持ちなんて全く考えていなかったんです。私が長女に『管理栄養士の娘』になってほしかっただけだったのだと思います。


親の私たちですら生きる希望をなくし生きる意味が分からなくなっているのに、子どもがましてや息子を溺愛していた長女が息子の分まで生きてという言葉ががどれほど辛いことだったのか…


私は子を喪った親ではあるけれど、きょうだいを喪った長女の気持ちは計り知れません。

孫を喪った祖父母の気持ち、子を喪った子どもの親の気持ち、子を喪った友だちを持つ気持ち、友だちを喪った同級生の気持ち…


それぞれの気持ちがある

それを今まで分からなかった…


子を喪った親の気持ちなんて誰にも分かるはずがないと思うあまりそれを分かろうとしなかったんだと思います。


長女は泣きながら自分の気持ちを話してくれました。『授業で病気や死について学ぶのがずっと辛かった。あおくんをそのたびに思い出して悲しい気持ちになった。実習で病院に行くのが怖い。病院で人の死を目にしてしまうかもしれないと思うと怖い。学校に行くのが辛い。友だちがきょうだいの話をするのが辛い。もう何もかもがいやだ。』

息子が旅立ってから自分の気持ちを口にしなかった長女が初めて語ってくれました。それを聞いて私は涙が止まりませんでした。



長女は11月から体調不良で長期欠席という形をとりずっとお休みしていました。

その間はほとんど外出せず、ずっと家にいました。精神安定剤を飲むようになり気持ちがだんだん落ち着いくると食事も取れるようになり体重も少しずつ戻ってきました。




長女はこの先大学を辞めたことを後悔する日が来るかもしれません。でも今は長女の気持ちを大切にしたかったんです。間違った判断かもしれませんが、今はこれでいいんだと思います。


この経験がいつか長女のためになる日がくる

きっとこうなったのは意味があることなんだ…


そう思いたいです。




最近長女は近くのケーキ屋さんでアルバイトを始めました。まだ薬は手放せませんが少しずつ前を向けるようになりました。



それぞれの思いがある中、それでも生きていく

息子に会えるその日まで。