全人代が開かれている。

李強首相が5%の成長目標を掲げた事に対して、批判する声が多い。

出来ない目標を立てて、実現したというつもりだろうと

昨年実績に対しての不信も重ねて、中国共産党の出す数値そのものを疑っているのだ。

勿論小生などは中国経済はデフレどころか、縮小していると思っている。

当然、経済成長どころか、マイナス成長だという事だ。

それは、今、報告されている世相からすれば当然なのだ。

圧倒的にカネを使わなくなった事で消費経済の縮小が凄まじい。

であるから、GDPが成長などという虚言などデタラメだと断言する。

 

だが、中国共産党という組織、権力からすれば、5%の成長という提示は

当然であり、最低限なのだ。

これを実体に添う形で提示する事など出来る筈もない。

だから、そうだろう、そう言うしかあるまいという事だ。

これは権力という基盤を維持する為であり、それを壊せば政権は倒れる。

今行われているのは、個人が感じている不況感の統合を阻止する事だ。

実体経済の状況を伝える報道を禁じて、ひたすら、

良い数値を垂れ流す努力をしている。

要は隠蔽であり、不況・消耗に耐えるしか無いとか、

自分の周りだけが景気が悪いと思わせる事なのだ。

 

日本のマスコミを外相が当てなかった事、

全人代終了段階での首相会見を取りやめにした事など見れば

明らかに質問を避ける意図があり、実情に詳しい日本マスコミに質問されるのを

嫌がっていると思われる。

日本国内のテレビなどでは中国経済について盛んに不況感を報じているが、

これなど反スパイ法での取締りに該当しないと思っているのか?

共産党政権が中国国内で報じる事を禁じている対象を

日本マスコミは中国国内でインタヴューなどを繰り返している。

危険な行為だと思わないとすればその基準はどこにあるのか?

 

それでは実際の経済を立て直す事が出来るのか?

その方法があるのか?を考えねばならない。

確かに、日本を上回る自動車輸出を果たした。

ロシア市場から撤退した欧米日の空いた隙間が中国経済を支えている。

しかし、ロシア市場の大きさなど知れたものだ。

そして、自動車は過剰生産で在庫が莫大、新車が鉄屑になり、

製造企業の倒産が多発している。

 

問題はこれ迄の成長が開発経済だった事にある。

この開発経済とは投資で需要が無くとも数字を作れるという点にある。

地方政府が土地を売り、不動産業界が上物を作って売る。

これを繰り返せば、GDPが幾らでも増えるのだ。

鉄道も橋もあらゆる投資が可能で、カネを貸す業者?団体が出てくれば、

幾らでも作れる。

この様に架空の経済で膨大に膨らませたのが中国のGDPなのだ。

その結果、日本を遥かに上回る巨大経済となった。

それは全て借金という事になるという事だ。

 

全てが成長、好循環をしている間は雪達磨の様に膨れ上がっても

回り続けるのだが、この循環が止まると、全てが膨大な借金の塊にしかならない。

この負債をどうするのか?これが現在、中国共産党が直面する問題だ。

はっきり言って、どうしようも無い。

手の打ち様が無いのだ。

だから隠蔽するしかない。

習近平も李強も経済が判らないとしても、この現状を知らぬ事は無い。

黙って、国民を騙し続けるしか無いのだ。

 

日本のバブル崩壊どころではないのだ。

巨大な負債が中国全体にのしかかっている。

開発経済の成れの果て、虚像の経済に邁進し続けた結果なのだ。

では、中国はこれで終わりなのか?だ。

この様な言論が一部にある様だが、小生はそうは思わない。

共産党を倒す勢力が現れるとは思えないのだ。

消費経済で豊かさを体現した庶民は腑抜けだ。

これは日本でも同じで、個人の豊かさを守る事しか考えない。

個人レベルで国外に逃亡出来る人が脱出するだけだ。

 

そして、最後の方法が1つだけある。

それは戦後の日本がやった方法だ。

小生はあれを実行したのが渋沢栄一の孫だったとは知らなかった。

もっと極悪人がやったと思っていたのだが、

しかし、国、日本という国を続ける以上はあの方法しか無かったという事だ。

中国は共産党支配であるから、戦後の日本よりも簡単に出来る。

そしてやるなら早いほうが良い。

だが、共産党・習近平がそれを判っているのか?は不明だ。

解決する手として、日本国もこれを選択肢としているが、

それは不要だと先日書いたばかりだ。

日本と中国の状況は異なる。

 

日本も戦後、この開発経済を続けていた時代があった。

郵便貯金を勝手に使って、国家予算以外の巨額の経済が動いていた。

その成れの果てが今の国家財政の借金の基礎にある。

戦争も国債の発行、日銀が政府発行の国債をファイナンスする事でやっていたのだ。

それを一気に精算したのだから、悪党の仕業以外の何物でもない。

そう考えると巨大公共事業というものを国家がやる事を国民は監視するべきなのだ。

フランクリン・ルーズヴェルトが大恐慌から抜け出す為に巨大公共事業をやったのは

労働者にピラミッドを作らせるのと同じだ。

それは雇用、即ち、再分配なのだ。

公共事業は政府の支出で民間に出来ない事業をやるのだが、

要は採算が取れないから民間に出来ないのだ。

採算が取れない事業は国民の借金として残る。

これが積み上がるのが問題なのだが、共産党支配の経済は

あらゆる事業が採算を考えずに行われるのだ。

この構造・この経済は資本主義では原則禁止なのだ。

 

であるから、アメリカでは公共インフラたる新幹線などが遅れている。

個人が車を使って大渋滞になる。

作って、利用する人が居る、運賃を支払っても車より便利で速いか?

投資が回収出来るか?を検証して見合う投資なら、作れる。

それは借金が可能な事業となる。

日本国の税金の使い方を再度徹底検証する意識が国民に問われているという事だ。