山崎バニラの活弁大絵巻 | michyのブログ

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ダラダラした日常で興味を持ったことを、ぼちぼちと書きなぐります。

元々は将棋番組に出てたことからその存在を知った山崎バニラ
金髪ショートのウィッグにヘリウムボイス。何屋さんだろうと思っていたら、本職は活動弁士(サイレント映画の弁士)のマルチタレントとの由。それから将棋関係中心の仕事や文章はよく知っていたが、その本職たる活動弁士のイベントがあるとのことで、これはと思い新宿へ行ってきた。

 山崎バニラの活弁大絵巻(vanillaquest )(全労済ホール/スペースゼロ )

おいらが行った3日に上演されたのはこの3本。

■『居酒屋の一夜』昭和11年 村田 安司監督
なんと昭和11年のアニメ映画。白黒でサイレントのアニメなんだが、動きはフルアニメの細やかさ。いやはや、こういう時代にこういう作品があったこと、そして、村田安司という監督が居たことを知ってびっくり。

■『月世界旅行』カラー染色版
1902年 ジョルジュ・メリエス監督
映画がまだ真実の記録としての媒体でしかなかった時代に作られた世界初の本格SF映画。さすがにストーリーや設定は滑稽すぎて、バニラ曰く「自画自賛じゃないですが、流石にこの作品は活弁があったほうがはるかに面白いです」と言うぐらいのもの。だが、創作物のSFと言う意味では紛れもなく人類の第1歩。

■『キートンの蒸気船』1928年
3台喜劇王バスター・キートンの長編10作目にして、自らの撮影所で作った最後の作品。後半の暴風雨のシーンの体当たり的な次々と続くアクションは理屈抜きに凄くて面白い!

サイレント映画自体まともに見るのは初めてで、活動弁士の仕事ぶりもTVや映画でさわりだけ知る程度。どのような仕事ぶりかは知っていても、それで映画を一本まるまま見たことはないのでどういう印象を持つかが楽しみだった。
山崎バニラはその風体と声だけでも十分異色だが、大正琴やピアノを弾き語りしながらの活弁というこれまた独自のスタイル。本人は「活弁の台本書きに疲れ台詞の量を減らそうとした事がきっかけ」と言うが、それは芸があってこそできるもの。声と音楽があっているためテンポが非常にいい上、台詞の量を減らしてある分だけ端的な台詞回しとなってより印象的な言い回しとなっている。ぐいぐい引き込まれていく感じで非常に面白かった。
終演時は万雷の拍手喝采!