ヴァネさん編です・・・
今回は今までと違った雰囲気かも。
某小説と少しシンクロしてるかも・・・(笑)
では・・・どうぞ。
「Arrangement」
オレはギターショップに来ていた・・・
ライブでギターを弾こうと思ってからギターを本格的に始めていた。
「アケちゃんこんちは。ギター見てくれるかな・・・」
「あ、ヴァネス。今日は一人なんだ?」
「・・・・孝天と一緒が良かった?」
「・・・・別に・・・それより今日はどうしたの?その子調子悪いの?」
オレはギターショップに来ていた。
アケは日本から来たリペアで台湾でちょっとした名の売れた子だ。
日本にいたときに孝天と出会ったらしい。
日本のショップから強引にこっちに引き抜かれた。
ま、孝天が一枚絡んでたんだけど。
孝天と今は上手くいっていてオレのギターも面倒見てくれていた。
「ん。ちょっとね・・・見てもらえる?」
「ん。良いよ。その子見せて。」
アケはオレのギターケースを受け取ってギターを取り出した。
アケのチューニングは特別だ。
孝天が納得したのもわかる。
アケと孝天が日本でセッションしたときに二人は不思議なくらいに音が合ったと言っていた。
アケは丁寧かつスピーディーにストリングスを張り替えてチューニングをしなおした。
普通はチューニングマシンを使うのだけれどアケは音叉だけであっという間に終わらせる。
そして綺麗なハーモニクスを奏でていく。
「うーん・・・ちょっとネックが反ってるかも・・・でも心配ないと思う。」
「そか・・・普通に扱ってるんだけどね・・・」
「あとはピックアップ換えてみたらどうだろ・・・音が多少違ってくると思う。」
「ん。じゃぁお願いしようかな・・・」
「承知しました。じゃぁピックアップ選んでくれる?」
「う~ん・・・お任せしたいところだけど。」
「じゃぁあたしが選んでおくね。少し時間かかるよ?」
「店の中周ってるよ。」
「うん。そうしてて。」
オレはアケにギターを預けて店内を見て周っていた。
「もう一本買うかな・・・この際だから。」
オレは色々なギターを目にしながらそう考えていた。
孝天はヴィンテージが好きだがオレはどちらかというと
最近のが好きだったりする。
音楽のスタイルが違うし、俺は孝天より始めたのも遅いから孝天のようにまでは
まだまだ弾けないからだ。
好みのメーカーも違うし。
「これも結構COOLなギターだな・・・」
E,S,Pのギターを眺めながらオレは呟いた。
店内に聞き覚えのある曲が聞こえた。
でも元の曲とはアレンジが違っている。
「この曲って元はスローバラードじゃなかったっけか・・・」
オレは曲を弾いている人間がどんな人間なのか興味が湧いてきていた。
かなりパンキッシュなアレンジだったからだ。
ギターが並んでいるブースの奥から聞こえてくる音に引き寄せられるように
オレは音のほうへと歩いていった。
ひょこっと顔を覗くと予想外なことに女の子が弾いていた。
「ふーん・・・結構良い音出すな・・・この子。」
ギターをアンプから抜いて店員に返しているところだった。
「美和はギターの扱い悪いって。もっと大切にしてやれよ・・・」
店員が呆れ顔でその美和と呼ばれている女の子に言っていた。
「ヴァネス。ギター上がったよ。あれ?美和また来てたの?さっきの音でわかったけど。」
アケがオレを呼びに来てその女の子に気がついて話しかけた。
「あ・・・アケさん。うん。またリペアお願いできます?」
「・・・美和・・・あんたまた殴ったの?ギターで・・・」
「・・・仕方ないじゃん・・・演奏の邪魔するからさ・・・客が。」
「可哀想に・・・あの子。持ってきたの?見せてみなさいよ。」
「ごめん・・・あ、お客さんの先にやってあげてよ。」
美和と呼ばれる女の子はオレに気がついてアケにそう伝えていた。
「ヴァネス。ギターチェックして。美和はギター持っておいで。」
オレはアケと一緒にリペアコーナーへ戻った。
「なぁ・・アケちゃん。あの子知り合い?」
「ん?美和のこと?」
「うん。さっき原曲がバラードの曲をさかなりアレンジして弾いてた子だよな?」
「うん。あの子お得意さんなの。バンドやってるんだけどね。」
「ふーん・・・」
オレはアケと歩きながら話をしていた。
「とりあえずネックは大丈夫だと思うよ。でも今度ゆっくりメンテナンスしたほうが良いね。
ピックアップは少しパワーあるのに変えておいた。
かなり弾くと違いがあると思う。弾いてみる?」
アケはそう言いながらギターをアンプに繋いでオレに渡した。
オレは一番好きな曲のさわりの部分を弾き始めた。
今までよりかなり音が違う。良い感じだ・・・
「あ・・・Greendayだ。へぇ・・・良いギターなんだぁ・・・」
そう声がしてオレはギターから顔を上げた。
さっきの女の子がオレを見ていた。
「あ、美和ギター持ってきた?見せなさいよ。」
アケが美和からギターを受け取ってケースから取り出していた。
「・・・・美和・・・あんたねぇ・・・」
アケがため息をつきながら美和を睨んでいた。
「・・・ゴメン・・・アケさん・・・だってさぁ・・・」
「・・・うわ・・・こりゃ・・・凄い傷だな・・・」
思わずオレは覗き込んで声に出してしまった・・・
「・・・何・・・いきなり人のギター見て・・・失礼な。」
美和と呼ばれるその女の子はオレを睨んだ。
「ヴァネスの言うとおりよ。酷い傷だよ・・・可哀想に・・・」
「・・・この人と知り合いなの?アケさん・・・」
「・・・孝天の友達。ヴァネスよ。」
「あぁ・・・アケさんの彼氏のお友達かぁ・・・そりゃどうも。」
「・・・どうも。アケちゃんの知り合い?」
「知り合いどころか・・・世話になりっぱなし。あたし美和。」
美和はそう言いながらもギターをじっと見つめていた。
「どう?直りそうかな?アケさん・・・」
「うーん・・・すぐには無理かもよ・・・スペアあったっけ?」
「・・・これ一本だもん。どうにかしてよ・・・今夜ライブあるんだ」
「・・・そりゃ無理でしょう・・・ネックかなりヒビ入ってるよ・・・・」
「・・・・最悪・・・今日は持ち帰ってこれ弾くしかないかぁ・・・」
「・・・誰かに借りたら?」
「・・・貸してくれるわけないじゃん・・・アケさんが貸してくれる?」
「・・・冗談でしょ・・・あんたの弾く音には合いませんから。あたしのギターは。」
「安いの1本スペアで買いなさいよ。この際だからさ」
「・・・この子が気に入ってるんだってば。それに金ないもん。」
「・・・ローンで買えば?」
「・・・ローンかぁ・・・今でも生活ギリギリだしね・・・」
「とりあえずこの子一度持って帰るわ。また持ってくるよ。」
「ん。これ以上何かあったらネック折れるかもよ・・・気をつけなさいよ・・・美和」
「了解。今日のライブ終わったら明日メンテだすよ。」
「ん。それじゃね。」
美和はケースにギターを戻してアケに手を振って店を出て行った。
「凄い傷だったな・・・あのギター。」
「まぁね。ステージ激しいからあの子のバンドって。パンクバンドだし。
客も結構激しいの。モッシュしたりダイブしたりするから。ステージに上がってくるし。」
「なるほど・・・今日のステージって?この近くでやるの?」
「ん?あぁ・・・すぐ側のライブハウスじゃないかな・・・いつもそこでやってるからさ。」
オレはさっきのアレンジを聞いて少し興味が湧いていた。
「何時頃からライブやるんだろ?」
「うーん・・・いつも夜だけどね・・・チケットあるんじゃないかな?」
「ふーん・・・後で覗いてみようかな・・・それじゃ孝天にもよろしく。」
オレはアケからギターを受け取って会計を済ませて店を出た。
「しっかし面白いアイデアだよな・・・バラードをアレンジでああいう感じにするのも。」
オレは自分のアルバムの曲のアレンジを丁度ライブ用に考えていたので
面白いアイデアだと思った。
ライブならではのアレンジの違いでギターを弾きながら歌うにも丁度良いかもしれない・・・
そう思いながら時計に目をやってライブハウスへ向かうことにした。
ライブハウスは小さい箱だった。
それでも客はかなり入っていて俺は手にしていたギターを預けて中へ入っていった。
どうやらさっきの女の子がいるバンドと他のバンドが何組か一緒にやるようだった。
周りは若い血の気が多そうな男が多くいたが中には女の子も割りといた。
オレの格好はあきらかにその場では浮いていたがあまり気にせず少し離れた場所で
演奏を聴いていた。
客の何人かはオレに気が付いて話しかけたりしていたがそれほど気づかれずにのんびりとステージを見ていた。
バンドの演奏が終わって次のバンドが入ってくるらしい・・・
客の雰囲気がガラリと変わるのが明らかにわかる・・・
メンバーがステージに上がっていた。
さっきの女の子・・・美和がいた。
演奏が始まると客たちは一斉にモッシュを始めた。
「・・・・凄いな・・・」
オレは演奏と客の様子を見て思わず呟いた。
ステージに上がった客が客席に向かってダイブしている。
ステージ上に上がったままの客もいた。
演奏しているバンドのことなどおかまいなしだった。
客がギターを弾いている美和にぶつかっていた。
美和は客を蹴り飛ばしながら演奏をしていた。
「・・・・なるほど・・・こりゃギターも傷だらけだわな・・・」
オレは下を向いて笑いを堪えた。
バンドはそんな騒ぎの中かなり良い音を出している。
オレの好きなバンドのコピーも演奏していてオレはご機嫌で聴いていた。
突然アンプから鈍い金属音が鳴り響いた。
オレはステージ上に目をやった。
美和のギターのネックが折れていた・・・
客が思いっきり暴れて美和のギターにぶつかったらしい・・・
美和はただ呆然としていた・・・
演奏は中断されていた・・・
ぶつかった客もさすがに慌てて冷静になっていた。
「・・・悪いけど・・・少し待ってて。」
ボーカルの人間がマイクでそう伝えていた。
「・・・・ギターどうすんだ?あれしか無いって言ってたよな・・・」
オレはステージの美和の姿を心配そうに見つめていた。
10分くらい経った後ステージにボーカルの人間が戻ってきた。
「・・・・悪いけど今日はこれで終わり・・・」
客が大騒ぎでブーイングを始めていた。
「・・・ギターが折れたんだから仕方ないだろ・・・」
ボーカルの人間が説明しているが騒ぎが収まる気配は無かった。
「・・・・仕方ないな・・・」
オレはため息をつきながら預けていたギターを受け取りに行った。
ギターを持って戻ってきた俺はステージ上のボーカルの人間にギターを手渡した。
「これ・・・ギターの彼女に使うように言って。見ればわかると思うから。」
「・・・は?アンタ誰?」
「・・・・美和の知り合い。」
ボーカルの人間がステージから一旦消えて美和が慌ててステージに現れた。
「ちょっと・・・来てたの?何で?これ使えって・・・何で?」
「・・・・とりあえず演奏続けろよ・・・客が待ってるぞ・・・」
オレは笑って美和にそう答えた。
「・・・・傷だらけになっても知らないからね・・・後で文句言わないでよ・・・」
美和はオレにそう言いながらオレのギターをアンプに繋いだ。
オレはその姿を見ると後ろのほうへ戻ろうとしたが客の波に押されてステージの前から
動けなくなっていた・・・
「んじゃライブ再会といくか・・・」
ボーカルがそう言って再び演奏が始まった・・・・
「・・・・ありがと・・・助かったけど・・・何でここに来たわけ?」
ステージが終わったライブハウスでオレと美和は話していた。
「ん?あぁ・・・アケちゃんからここでやるって聞いてさ・・・興味あったし。」
「ふーん・・・」
「ギターどうすんだ?折れちゃて・・・・」
「・・・・参ったよね・・・明日アケさんに怒られるだろうな・・・はぁ・・・」
「もう一本買ったら?この際だからさ」
「・・・・無理。しばらくはライブも無理かな・・・」
そうため息をつきながら折れたネックをなでながら美和はギターを見つめていた。
「名前・・・何だっけ?」
「・・・あ?ヴァネスだけど・・・」
「ヴァネス・・・もバンドやってるの?」
「ん?オレ?バンドやってないよ・・・おれどっちかというとHIPHOPとR&B側だし。」
「ふーん・・・ま、格好がそんな感じだもんね。でもならどうしてあたしのバンド見にきたわけ?」
「あぁ・・・店でギター弾いてたろ?スローバラードをアレンジしてさ。
あのアイデア面白いと思って。それにオレ結構好きなんだ。この手の音もね。良く聞くし。」
「そういえば・・・店でGreenday弾いてたもんね・・・・なるほど。」
「ん。色々聞くからなぁ・・・そうだ・・・今何時だ?」
「ん?10時ちょっとすぎかな・・・」
そう美和が答えてオレは携帯を取り出した。
地下のライブハウスは圏外になっていた。
「ちょっと待ってて・・・」
オレは美和に断って店の外へ出てアケに電話をしていた。
「もしもし?アケちゃん?店にまだいるかな?」
『うん。まだいるけど。店もうすぐ閉店だけど・・・』
「今からちょっと行くから。待っててくれるかな?」
『あ・・・孝天が来るけど・・・待ってて貰うよ。ヴァネスに会えるからって伝えとく』
「サンキュ。それじゃ後で。」
オレは電話を切って店へ戻った。
「よし。今連絡したから。アケちゃんの所へ急いで行くぞ。」
「は?何?いきなり・・・」
「良いから。そのギター持って。荷物も!早く。」
オレは自分のギターと美和の荷物を持って二人で店を出た。
「・・・・美和・・・・とうとうやったんだ・・・可哀想に・・・この子」
アケはギターケースの中の無残な姿のギターを見てため息をついた。
「・・・・ゴメン。アケさん・・・客が思いっきりぶつかってきてさ・・・・」
「いきなりで避けられなかったんだよ・・・アケちゃん・・・美和が悪いわけじゃないって・・・」
「はぁ・・・ネック取り寄せて上手く直るかだね・・・結構このギター古いからね・・・」
「・・・・直せるかな?」
「・・・わかんないなぁ・・・やれるだけやるけど。」
「・・・よろしくお願いします・・・アケさん。」
美和はかなり落ち込んでいた。
「どうすんの?代わりのギターは・・・」
「うん・・・」
オレは美和の腕を掴んでギターが並ぶ店内を歩いた。
「・・・・どれか1本選んで。」
「・・・何?急に・・・ちょっと冗談はやめてよ・・・」
「ギターが無いと困るんだろ?早く選んで。」
「・・・・まさかギター買ってやるとか言わないでしょうね・・・ヴァネス」
「・・・・アイデア貰ったからね・・・美和に。コンサートのさ。そのアイデア料として。」
美和は慌ててオレの腕を振り解いていた。
「・・・・何訳わかんないこと言ってんの?冗談やめてよ。」
「・・・・冗談じゃないけど・・・何で怒ってる?」
「意味わかんないことするからに決まってるでしょ。」
「あぁ・・・そか・・・」
オレは美和に自分のアルバムのスローナンバーのアレンジで悩んでいたときに
美和の演奏を聞いてアイデアが浮かんだことを説明した。
「だからって買ってもらう理由にはならないでしょ・・・何なの・・・ヴァネスって何者?」
「買って貰ったら?アイデア料としてさ・・・良いんじゃないかな・・・甘えても。」
振り向くと孝天がアケと立っていた。
「悪いな・・・アケちゃん引き止めて。約束してたんだって?孝天」
「ん。久々に仕事早く終わってな。久しぶりヴァネス。」
「あ・・・どうも。」
美和は孝天に軽く頭を下げていた。
「ギター無いと困るんでしょ?ヴァネスに甘えたら?美和・・・」
「アケさんまで・・・何言ってるんですか・・・」
孝天は頭を掻きながら下を向いていたが顔を上げて美和に言った。
「ライブで演奏するのにさ・・・結構アレンジって悩むんだよ・・・確かに。
美和ちゃんの演奏聞いてアイデアが浮かんだんだろ?ヴァネスはさ・・・
ギター無いと困るんだし・・・
それにプロのアレンジャーに頼んだらギター1本分より高くつくんだよ・・・
ヴァネスにとっても助かるんだしさ・・・」
「そうは言っても・・・・」
「それに何よりも・・・・オレはアケと早く家に戻って二人の時間過ごしたいんだ。
久々にアケとの時間持てるんだよ・・・解るか?
早くアケのこと襲いたいんだよ・・・飯食ってさ・・・だから早く買って帰らないか?」
「・・・・孝天!何言ってるのよ・・・」
アケが真っ赤になって孝天の脇を小突いていた・・・
「アケちゃんと孝天のためにもさ・・・どうだろ・・・オレの申し出受けてくれよ・・・」
「・・・・でも・・・」
「それじゃ・・・オレのギターを渡す。それでオレが新しいの買うから。それで決まりだ!」
「ちょ、ちょっと。あのギター凄い良いギターのはず・・・」
「そうだけどオレに買わせないならそれしかないだろ・・・なぁ?アケちゃん」
「・・・・そうだね・・・どうすんの?美和。決めなさいよ。」
「・・・・解ったってば!買ってもらいます。好意に甘えます。
あのギター貰うより全然気分が楽だし。
それで孝天さんとアケさんが早く帰れるし、ヴァネスも気が済むなら・・・」
美和は諦めて一気にヤケクソ気味にそう答えた。
「ん。決まりだな・・・ヴァネス。」
孝天はアケちゃんの肩を抱いて笑っていた。
「それじゃ・・・早速選んで。あたしストリングスとかチューニングの用意するから。
孝天は二人と一緒にギター見る?」
「あ?オレはアケと一緒にいるさ・・・二人の邪魔しちゃ悪いしな・・・
お二人さんごゆっくり・・・・なのは困るけど良く見て選んでこいよ・・・」
そう笑いながら孝天とアケちゃんはリペアブースに歩いて行ってしまった。
「・・・・ホント皆強引なんだから・・・」
「美和もかなり強情だと思うけどな・・・」
「・・・強情とかの問題じゃないよ・・・いきなりギター買ってくれるっていうほうがおかしいって。」
美和は呆れながらギターを眺めていた。
「・・・・せっかく買って貰うから・・・高いけど・・・これで良いかな?」
美和は1本のギターを手にした。
「これ?別にかまわないよ・・・」
「本当に?ヴァネスって何者?このギター高いよ・・・
そりゃヴァネスのあのギターよりは全然安いけど・・・・」
「ん?孝天と同じ仕事してる人間。孝天から聞いてないのか・・・」
「うん。孝天さんはアケさんの彼氏だってのは知ってるけどさ・・・
仕事は何してるか知らないし・・・」
「そか・・・」
「決まったか~?」
孝天が大声で声をオレ達に尋ねてきた。
「おう。決まったぞ。今持っていく。お待たせ」
「あ、そうだオレもついでに・・・・」
オレは美和が選んだのと同じギターを手にした。
「練習用に1本買おうと思ってたんだ・・・これも気になってたしな」
「どれにしたの?あ、この子か・・・良いんじゃない?
あれ?ヴァネスも同じのにするの?」
「練習用にね・・・あとこいつ今日メンテ出して行くよ。」
「OK.それじゃ2本とも今用意するね。」
アケちゃんは笑顔でオレと美和のギターを手にして作業を始めた。
「ケースはどれだぁ?アケ・・・」
「あ・・・ハードケースだよね?そっちの棚にあるやつ。孝天取ってくれる?」
「ん。了解。」
孝天はアケの作業を手伝いながら楽しそうに動いていた。
「・・・お礼言ってなかった・・・・どうもありがとうございました。」
美和はオレの顔を見て恥ずかしそうにそう言った。
「いえいえ・・・アレンジのアイデア貰ったしね。助かった。」
「アレンジって・・・自分の曲?」
「ん。アルバムの曲」
「プロのミュージシャンだったんだ・・・ヴァネスって。」
「ミュージシャンっていうかなぁ・・・」
「ヴァネスどの曲をアレンジするんだ?」
「あぁ・・・『I Hate~』をアレンジしてやろうかと思ってさ・・・」
「へぇ・・・楽しみだな・・・」
「かなりパンキッシュにしようかと思ってさ・・・」
「面白いかもね・・・良いアイデア貰ったじゃない。美和に」
「だろ?ギター一本だったら安いよな・・・」
「・・・意味わかんないんだけど・・・あたしだけ・・・・」
美和はきょとんとした顔でオレたちを見た。
「後で原曲聞かせるよ・・・アレンジしてみてくれよ・・・」
「はぁ?あたしが?」
美和は驚いた顔をして言った。
「そりゃそうだろ・・・ギター1本分のアイデアは出さないと・・・」
孝天が大笑いしながら美和に答えていた。
アケがチューニングを仕上げる音が店内に響いた。
「ほら・・・出来上がったよ。お待たせ。」
「サンキュ。美和も確認しなよ・・・」
「あ・・・うん。」
「あたし店長に会計頼んでくるね。」
「あ、支払い済ませないとな・・・一緒に行くよ。」
支払いを済ませたオレはケースを二つ手にして孝天とアケちゃんと美和と一緒に店を出た。
「店長ありがとうございました。遅くまで付き合ってもらって。」
アケが店長にお礼を言っていた。
「さて・・・オレ達はこれで帰るからな・・・やっとアケと二人っきりの時間過ごせそうだな。
またな・・・ヴァネス。今度はのんびり飲もう。今日は悪いけど帰るよ・・・」
「OK.アケちゃんと楽しい時間過ごしてくれよ・・・
アケちゃんもサンキュ。つき合わせちゃって悪かったね。」
「いえいえ。お買い上げありがとうございました。
美和のことよろしく。
美和もちゃんとヴァネスにお礼言うのよ。
アレンジもちゃんとやりなさいよ・・・」
「解ってます・・・アケさん、孝天さんありがとうございました。
お休みなさい・・・」
孝天とアケちゃんは笑ってタクシーに乗って行ってしまった。
「さてと・・・どうするか・・・」
オレは美和の顔を見て言った。
「・・・腹減ってないか?アレンジ頼む前に飯食ってくか・・・」
「・・・今から?アレンジするんですか?」
「・・・当たり前だろ・・・アイデアはすぐに形にしないと消えちゃうんだ・・・」
「・・・解りました・・・原曲聞いてからですね・・・」
「ん。飯食ってからオレんちのスタジオに篭るか・・・二人で。」
「は?スタジオまであるんですか?何者?」
驚いた顔の美和を見てオレは笑った。
「・・・飯食いながらゆっくり説明するさ・・・行くか・・・」
不思議そうな顔をしている美和に声をかけて
オレ達もタクシーに乗り込んだ。
きっと美和はオレの仕事を知っても大して驚かないだろう・・・
オレからしてみればあのライブハウスでの美和のほうがよっぽど驚く姿だ。
これからのスタジオでの美和との時間を想像して
オレはとてもワクワクしていた・・・